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映画『ミリキタニの猫《特別篇》』。年老いた路上画家の絵が激動の時代を語る。

サクラメント生まれ、ヒロシマ育ち

日系アメリカ人アーティスト、ジミー・ツトム・ミリキタニ。

頑固だが、写真を撮られることが好きで、赤いベレー帽がトレードマークのちょっと気になるおじいちゃん

何があっても絵を描き続けていました…猫、原爆ドーム、強制収容所、柿、富士山、お城、9.11世界貿易センタービル…。

『ミリキタニの猫《特別篇》』を私は、鹿児島『ガーデンズシネマ』で鑑賞しました。

『ミリキタニの猫』と『ミリキタニの記憶』の2本立て。劇場ロビーで、ミニ原画&写真展も開催されていました。

時代に翻弄されながら、プライドを捨てず、生涯アーティストとして生き続けた彼の生きざまから、さまざまなものを感じましたが、その中で最後に残ったことばが『希望』でした。

ミリキタニの猫 (2006年)

リンダ・ハッテンドーフ監督とジミー・ミリキタニの関係は、とても不思議でした。

友達?親子?親戚?…どれにも当てはまらないけれど、なんかいい関係

ジミーの描く絵は、共通点がないようにみえますが、思い出というか、彼の心の中に印象深く残っている光景、風景、動植物…すべてにストーリーがあり、それらの絵を描く事で、感情の整理をしているように私は感じました。

第二次世界大戦、原爆投下、人種差別、強制収容所での生活、市民権放棄、貧困、路上生活、9.11…。

ジミーの時代に翻弄されながらもアーティストとして生き抜くそのパワーと、リンダ監督のジミーを思うその気持ちが、出合い、つながり、そして小さな奇跡を起こす源になったのではないかと思います。

収容所で生き別れたお姉さんとの再会…観ていて、何とも言えませんでした。

ミリキタニの記憶(2016年)

ニューヨークで直接ジミーと交流した方々と、広島で暮らす親戚の話から、ジミー・ツトム・ミリキタニという人物は、義理堅く、頑固、だけど優しいという印象を持ちました。

9人と1匹!?から見たジミー…やはり興味深いです。

ミリキタニ=三力谷、初めて見た名字でした。

東洋と西洋を融合した新しいアート日系アメリカ人2世の彼だからこそ目指せるもの…それを使命として描き続けていたのかもしれませんね。

やり続けること、想い続けること…。

ジミーが、なぜ、どんな時も絵を描き続けたのか?何のために描き続けたのか?プライド、仲間への鎮魂、アメリカ政府への反発、日本への思い、世界平和…本当のところは、彼にしか分かりません。

でも、彼の生きざまとその絵が、周りの人達を少しずつ変化させ、また、彼自身も変化していったように感じました。

生きていると、自分の力ではどうにもならない場面に遭遇することがあります。

世の中を1人の力で、変えることは出来ません。

でも、何があってもプライドを持って生き続ける事出合い・つながりを大切にする事人を愛おしく思う事…で、何かが少しずつ変化していくのではないか…そんな希望を感じる映画でした。

もう1度、観たい映画です。

 

http://nekonomirikitani.com/

via : ミリキタニの猫《特別篇》公式サイト

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