アメリカ合衆国コロラド州ジェファーソン郡コロンバインのジェファーソン郡立コロンバイン高等学校で1999年4月20日、「コロンバイン高校銃乱射事件」が発生しました。
同校の生徒エリック・ハリスとディラン・クレボルドが銃を乱射し、12名の生徒と1名の教師が射殺され、他24名が負傷しました。犯人である2人は犯行後自殺しています。
この悲惨な事件は、アメリカの銃乱射事件の中でも1966年に起きた「タキサスタワー乱射事件」に次ぐ大規模なものでした。
犯人の一人であるディラン・クレボルドの実の母親、スー・クレボルドはアメリカの有名なプレゼンテーション番組「TED」に出演し、実の息子が犯した犯罪を参考に「自ら命を絶つ思考と人を殺す思考との関連性」を研究するよう専門家に訴えかけます。
黙祷 ──コロンバイン高校銃乱射事件(1999年4月21日)で亡くなった方々に:事件発生時刻(現地時間20日11時19分)。米コロラド州の高校で起きた、トレンチコートマフィアを自称する同校の生徒による銃乱射事件。生徒ら13名を殺害し犯人両名は自殺。犯人はいじめの対象となっていた
— 黙祷bot (@mokutou_bot) April 20, 2017
犯人とその母親は別、という考え方
凶悪な殺人犯の母、と聞くと、その母親なのだから同じく凶悪なのだろう、と思うことはありませんか。少なくとも凶悪な人格を形成した家庭環境を作った張本人なのだから、少なからず同様の傾向はあるはずだと、人は考えてしまいます。
しかし、この考えは正しくありません。少なくとも、凶悪な殺人犯の家族が同じく凶悪であるということを立証する術がない以上、このような考えは許されないのではないでしょうか。
TEDで発表するスーの話は客観的で、数値とデータに裏打ちされた「研究」とも呼べるものです。自分の息子だから感情的になることを、必死にこらえているようにも見えました。
このような母親の真摯な態度が、アメリカ人の多くが知る未曾有の殺人事件実行犯の親族による発言でさえ聴衆の耳を集める、その拠り所となっているのだと思います。
https://twitter.com/minamilovejb/status/842678299474055168
被害者の前で話すとき、スーが心に置く3つの課題
犯人の母親であるスーは、息子の犯した殺人について人前で話すとき、聴衆の中には被害者の家族がいるということを常に考えます。その際、彼女が必ず心にとどめておく課題が3項目あります。
1.被害者家族の心の痛みを実感し、心の底から謝罪する
2.加害者ディランが犯行後自殺した背景となる、犯行に至るまでの数年間にわたる自傷行為について説明する
3.この話が「メンタルヘルス」に関するものであることを踏まえて話す
スーは、息子がどれだけ精神的に追い詰められていたのかについて丁寧に説明します。反抗前、ディランがひどいいじめを受けていたことは明らかになっています。スーが涙を流す場面もありますが、聴衆がそのことに同情するわけでもありません。
「私たちは私たちの悲しみを悲しむ、あなたの悲しみを悲しむのはあなたの仕事」と、責任の所在をきちんと割り切って考えるところは、いかにもアメリカ人らしいなと思わされます。
映画探訪①『エレファント』
カンヌでパルムドール&監督賞を受賞して日本上陸するもパッとせず。コロンバイン高校の銃乱射事件をモチーフにした物語で、日常から凄惨な事件までの流れを淡々と描いている。現実を直視する映画。妙な期待を求めてはいけない映画。#シネセゾン渋谷 #エレファント pic.twitter.com/BoWfgxNqUJ— あきらん (@akiran1979) February 5, 2017
犯人は徹底的に糾弾すべき、しかしその家族に罪は無い
千葉県松戸市立六実第二小学校3年のベトナム国籍、レェ・ティ・ニャット・リンさん(9)が殺害され、遺体が遺棄される事件がありました。容疑者は同じ学校に自分の子どもも通う保護者会会長でした。
現時点で容疑者であるということを踏まえて書きます。
犯人が判明して刑が確定すれば、犯人に対して法に従った厳罰が下されるべきものと考えます。
しかし、容疑者の家族、特に同校に今も通学する子どもに罪はありません。自分の父親が容疑者となり、その子どもは周囲から今どのような扱いを受けどのような思いで学校に通っているのでしょう。
自分の父親が凶悪卑劣な犯罪の容疑者となり、被害者が自分の学校の友だちだとすれば、子ども当人の心のケアさえ必要になるのではないかとさえ思えます。
罪の所在の範囲は、きちんと区切らなければなりません。人権をきちんと守る市民の意識は、刑事裁判における、より正当な判決の実現に繋がるはずです。
ニャット・リンさん殺害事件の容疑者渋谷恭正はPTA会長? pic.twitter.com/ovDEvJ18qJ
— まさひろお父さん (@kamuigaiden) April 14, 2017
我孫子の女児殺害事件は女児の通う学校のPTA会長が犯人だということに防止の限界を思い知らされた。
女児の名前のニャット・リンとは日本と輝きを意味するものらしい。
それを知ってなおさら犯人に対して怒りがこみあげる。— キヨタン (@kiyo69kazu73sec) April 14, 2017
アメリカで起きた事件の実行犯の実の母親があらゆる場で聴衆の前に立つ苦しみは想像するに難くありません。
ではなぜ、彼女はそれをするのか?
犯人である彼女の息子は精神病を患っていたといいます。しかし、彼女はそれを犯行の根拠にしたくないと語り、精神障害者の人権を守るために自らの人生と時間を捧げています。
犯行直前の犯人ディランは、救急医療における「ステージ4」の状態にあったとスーは語ります。実行犯は2人とも自殺し、刑を執行することすらできなくなりました。
自分の息子の犯罪のせいで、精神障害を患う方々が不当な差別的認識にさらされることは避けなければならないとも語っています。
彼女の活動を見聞きして思うことは、私たちは他者を批判するとき、簡単にひとまとめにして考える癖をやめなければならないということです。
犯罪や人権が関係するとき、人が人を評価するという行為はとてもデリケートなものになります。
一人ひとりをきちんと区別して評価しましょう。そして、罰を受けるべき犯罪者への厳しい目は長期にわたって抱かれるべきものと考えます。
それは、再び同じ犯罪を起こさないために最低限必要とされる、市民の義務とも呼べるものです。
via:TED
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%B3%E9%AB%98%E6%A0%A1%E9%8A%83%E4%B9%B1%E5%B0%84%E4%BA%8B%E4%BB%B6
via:Wikipedia
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