ロンドンオリンピック、ボクシングミドル級の金メダリストで現在WBAミドル級2位の村田諒太(31)が東京・有明コロシアムで5月20日、同級1位のアッサン・エンダム(33)とWBA世界ミドル級王座決定戦を行うこととなりました。WBA同級スーパー王者のジェナディ・ゴロフキンが、レギュラー王者のダニエル・ジェイコブスとの統一戦に勝利し、空位となった王座を1位のエンダムと2位の村田が決定戦で争います。
チャンピオンの上にスーパーチャンピオンがいるという興行を主眼とした近年ありがちなランキング構成のもと、とにかく、村田がミドル級世界タイトルマッチのチャンスを手にしました。
ボクシング界随一、層の厚いミドル級
日本人ボクサーの世界チャンピオンといえば、白井義男、大場政夫、具志堅用高など往年の名チャンピオンから、井岡弘樹、辰吉丈一郎、薬師寺保栄、川島郭志、西岡利晃、長谷川穂積、山中慎介、近年では井岡一翔、井上尚弥など、フライ級、バンタム級あたりの軽量級チャンピオンが圧倒的に多くいます。
ライト級のガッツ石松や畑山隆則、スーパーウェルター級(かつてのジュニアミドル級)では輪島功一が世界チャンピオンとなっていますが、ミドル級以上の重量級でタイトルを獲得したのは、1995年にWBA世界ミドル級王者となった竹原慎二のみです。
オリンピック金メダリストの鮮烈なプロデビュー戦
ロンドンオリンピックで日本人史上初となるミドル級での金メダルを獲得した村田は当時26歳。当初、プロへの転向は否定していましたが、その後プロ転向を表明。プロデビュー戦の相手は東洋太平洋ミドル級チャンピオン柴田明雄でした。
いきなり東洋太平洋王者との対戦はいくらオリンピック金メダリストとはいえ無茶だという声が高いなか村田は相手を圧倒。第2ラウンドにラッシュをかけようとした村田の前にレフェリーが割って入り、村田のテクニカルノックアウト勝利となりました。
この試合のストップに関しては「妥当」「早い」と賛否両論ありましたが、後々のダメージや東洋とはいえ現役のチャンピオンが10カウントで敗れる意味の重さを考えれば、双方にとって妥当な判断だったと捉えるべきでしょう。
ゴロフキンという怪物の下だけど…
王者、暫定王者、スーパー王者など、やたら「王者」の冠を付けたポジションを増やしてそれぞれの試合を興行的にお金の取れる試合にする傾向の強い昨今の流れに乗って、村田のタイトルマッチも王座決定戦ながら、その上にはスーパー王者のジェナディ・ゴロフキンがいます。
かつてはWBAで顕著だったこの傾向ですが、今ではWBCなどもこの手法を採用しはじめています。
しかし日本人ボクサー、特に重量級にとってはなかなかマッチメイクできない試合が組めるのですから、試合が出来ないより必要となる資金源としてこの手法が有効なら大いに取り入れて欲しいものです。
ゴロフキンの現在の肩書ですが、WBAミドル級スーパー王者、WBC、IBF、IBOともに同級ミドル級王者です。WBO王者のビリー・ジョー・ソーンダースとの統一戦も一度交渉のテーブルに乗りましたが、決裂しています。
強すぎて対戦相手がなかなか組めなくなってしまった、まさにスーパー王者が、ゴロフキンなのです。
日本人がミドル級で世界タイトルマッチを組めるのは本当に稀で、とくに日本で試合ができるのは2002年に保住直孝が当時王者のウィリアム・ジョッピーに挑戦して以来となります。
軽量級のスピードあふれる試合も気に入っていますが、ミドル級はスピードとパワーを兼ね備えた迫力ある試合が見られるということもあり個人的にも気になりますし、世間的にも注目を集めています。
ボクサーは、試合前はほとんど食べずに水の摂取も抑えながら凄まじいハードなトレーニングを積み、「減量」といって短期間に10キロ程度の水分と脂肪を削ぎ落とします。
厳しい条件で命を落とす危険まで孕みながら、他のスポーツと比べればファイトマネーは見合った額とは言い難いものです。細かく体重で区分された階級でほとんど同じ体格の相手とのみ戦う、徹底した精神力の勝負である点が、ボクシングの魅力です。このようなスポーツは他ではなかなか見当たりません。
村田はすでにアマチュアボクシングでオリンピック金メダルという頂点を極めた選手であり、長身でかなりのイケメンボクサーですから、今後さらにファンを増やしてボクシングという日本ではメジャーになりきれないスポーツの普及にも一役買って欲しいと思います。
http://www.asahi.com/articles/ASK435F24K43UTQP00R.html
via:朝日新聞デジタル
http://www.nikkansports.com/battle/news/1802295.html
via:日刊スポーツ
http://ameblo.jp/higege91/entry-11600004913.html