通訳案内士という職業があります。
通訳案内士国家試験という難しい試験に合格しなければ就くことができない仕事です。
日本全国で現在通訳案内士の資格を持つ人は約2万人います。
しかし、その4分の3は東京、大阪などの都市部に集中しており、地方のニーズに応えることができていません。
最近では、観光客が地方に分散して多く訪れるようになりました。
都市部では豊富に調達できる有資格者が、地方では地元の人材として調達できず、東京在住のガイドを招いて業務を依頼しているのが現状です。
観光庁は昨今の外国人観光客の増加や需要の変化に対応して、地域限定で通訳案内士の仕事ができるよう、今の国会に通訳案内士法改正案を提出する予定です。
資格ニュース 「地域限定ガイド」政府創設へ…訪日客増に対応: 改正案によると、地域通訳案内士は、既存の国家資格とは異なり、都道府県や市町村が独自に付与できる資格とする。各自治体は、案内士の育成計画を策定した … https://t.co/9t6G0iPc4Y
— 資格情報 (@info_shikaku) March 7, 2017
通訳ガイドという仕事
英語が得意な方や本格的に学んだ経験のある方なら、この資格をすでに持っているか、もしくはその存在くらいは知っている方が多いのではないでしょうか。
英語のテストとして有名なものなら他に、英検、TOEIC、TOEFLなどが挙げられるでしょう。
「通訳案内士」あるいは「通訳ガイド」と呼ばれるこの資格は、仕事で英語を使いこなしている方にとっては比較的簡単なものだといわれますが、一般的にはかなり難しい試験です。
試験で扱う外国語は英語以外にも、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語、などがあります。
受験者数は英語が圧倒的に多く、合格率も英語に限っては最近では20%を超えています。
もはや、一昔前ほどの難関試験ではなくなってしまったという印象です。
この試験に合格して実際に業務に就こうとするなら、合格後、その都道府県知事の登録を受けなければなりません。そのため、試験を他の英語検定と同じく自分の英語力の判断材料に使うにとどめ、合格しても都道府県への登録をしない方もいます。
もちろん人それぞれ自由なのですが、今ほど有資格の通訳ガイドが地方で特に必要とされているなか、もったいないと思ってしまいます。
仕事内容は、ガイドというくらいですから簡単に言えば観光案内の英語版です。
通常、日本人を対象に行う観光地の案内、交通機関での添乗業務を英語で行うというものです。
ですから、この仕事は英語さえできればいい、というものでもありません。
まず何より必要なのは、体力ですね。それから調整力や交渉力、問題解決能力など、結構大変らしいのです。
というのは、私自身が、まだこの試験に合格していないから。
「地域限定ガイド」政府創設へ…: 政府は、自治体が行う研修を受講すれば資格を取得できる地域限定の「地域通訳案内士」を創設する方針を固めた。 訪日外国人旅行者の急増に対応するのが … https://t.co/mwDh4n3ZXd
— インバウンド情報まとめったー (@inbound_honichi) March 7, 2017
地域限定ガイド
通訳ガイドの免許を取得すると、法的には全国どの地域でも通訳ガイドの仕事をすることができます。
ただ、現実にはそれなりにそれぞれの土地のことを知らなければ仕事になりませんから、生まれ育った土地勘のある地元で活動することが多いのではないでしょうか。
最近はどの都道府県でもそれなりに外国人の方を見かける機会も増えてきました。でも、10年、20年前なら、仕事の多い東京に拠点を置くガイドも多かったかもしれません。
コンスタントに仕事を得るには、どうしても都市圏が有利ですから。
ところで、「地域限定ガイド」という制度自体は、昔からあるものでした。
その時々により地域が指定され、管轄する省庁である国土交通省が指定する都道府県のみの地域限定の試験が実施されていました。
最近まで九州の全県がその対象でしたが、国土交通省の観光庁のホームページを見てみると、現在は沖縄県のみとなっています。
今回の法改正が実現すると、その対象がほぼ全国に広がることになるでしょう。
【 #震災 #岩手 】「美しい砂浜は津波で7万本の松とともに流されてしまいました」と英語で外国人観光客に津波跡地をガイドする。「特区」を利用し認定された、東北6県初の「地域限定特例通訳案内士」が陸前高田でデビューしたよ。 https://t.co/xXFDQbgo4R
— アレアちゃん・朝日新聞地域ニュース (@asahi_chihen) February 19, 2017
通訳ガイド試験の内容
試験は、1次と2次に分かれており、まず1次試験では該当する外国語の試験はもちろん、案内する対象である日本そのものに関する科目があります。
日本の歴史、地理、政治や文化に関する知識を問う、産業・経済・政治及び文化に関する一般常識、がテストされます。英語に関してはマークシート方式で行われます。
その他の外国語は記述試験のみ、または記述試験とマークシート方式の併用となっています。
ここでは英語について書きます。
各科目には免除のシステムがあり、英語なら実用英語技能検定1級、またはTOEICのRLテストで840点以上、ライティングテストで160点以上、スピーキングテストで150点以上のどれか1種類を取得すると英語科目が免除となります。
日本歴史なら歴史能力検定の日本史で2級以上、またはもう無くなってしまいますが、大学入試センター試験日本史Bで60点以上取ると日本歴史が免除となります。
日本地理なら地理能力検定で日本地理2級以上、または総合又は国内旅行業務取扱管理者試験の合格をもって日本地理が免除となります。
産業・経済・政治及び文化に関する一般常識は大学入試センター試験の現代社会で80点以上取ると免除となります。
本試験での負担を減らし、限られた科目に集中して対策をとるためにもあらかじめ取得できる資格は取っておくと有利に資格取得できるでしょう。
もちろん本試験で全科目合格すればそれが最も望ましいのですから、自分は免除などに頼らないという考えも良いと思います。
1次試験に合格すると2次の面接試験に進むことができます。
時間は約10分で、多くは日本人と外国人の面接官の前でスピーキングのプレゼンテーション試験が行われます。この試験に合格し、1次2次ともに通過すると「通訳案内士」を名乗ることができます。
2月3日(日)14:00~特別セミナー 「 #通訳ガイド の資格が広げてくれた私の世界」を実施します。CEL卒業生で現在多方面で活躍中の松石さんをお招きし、通訳ガイド資格取得まで/その後のご自身の実体験を具体的に語っていただきます。http://t.co/BAwgRH2F
— CEL OnlineShop (@CELeigo) January 16, 2013
今回、観光庁が地域限定通訳ガイドを欲しがっている理由は、まず2020年東京オリンピックを控えて観光客の増加がさらに見込まれること。
さらに、観光客の需要の変化が挙げられるでしょう。
今まで主流だった、有名な観光地を団体で訪れる形式から、日本人である私たちが日常的に歩いているような町並みを散策したいという観光客が増えてきたことにあります。
そのような能力は、通訳ガイドの試験だけでは判断しづらいものです。
その土地に精通し、景勝地の歴史やその土地ならではの言い伝えなどに対応できる土地ごとのガイドが必要になってきたという事情があります。
さらに、地方の有資格者が少ないこともあるでしょう。
インターネットで世界中の情報が自由に入手できるようになった現在、日本に関する大まかな情報は自分であらかじめ調べることが可能となりました。
その先にある観光客が欲しているものは、本やネットには載っていないものです。そういったところまで日本のことを知りたいと思ってくれるのは嬉しいことですね。
国家試験のあるこの仕事は、資格が無ければどうしてもできません。
しかし、その機会が広まり、実力を基準にガイドが淘汰される時代が来ています。
観光産業が人材を求めています。
腕に覚えのある方は、この試験に挑戦してみませんか。私は挑戦します。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170307-OYT1T50004.html
via:読売新聞
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=76724
via:Travel vision
http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/tsuyaku.html
via:観光庁
http://www.jnto.go.jp/jpn/projects/visitor_support/interpreter_guide_exams/exam_details.html
via:JNTO日本政府観光局
http://www.cel-eigo.com/exam/guide_info.html
via:CEL英語ソリューションズ
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