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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

柔道ルール改正、ポイント逃げ切りから「一本」を取る柔道へ

1996年アトランタオリンピックの女子柔道48kg級決勝、田村亮子現・谷亮子)対ケー・スンヒ(北朝鮮)の試合は長い膠着状態の後、ケーが試合終盤に奪った「効果」のポイントにより勝利。

敗れた田村は銀メダルに終わりました。

この試合がもし新ルールのもとに行われていたとしたら、結果は変わっていたかもしれません。

オリンピック初出場だった1992年バルセロナ大会に続いての銀メダルに終わった田村は、金メダルを本命視されながら2大会連続の銀。

落胆も大きかったものと思われます。

>>田村対ケーの試合動画はこちら

これまでのルール

柔道は、試合終了時に上位のポイントをより多く取っている選手の勝ちとなります。

ただし、「一本」は取った瞬間に試合が決着し、一本を取った選手の勝ちとなります。

ポイントは上位から順に、「技あり」「有効」とあり、2009年のルール改正まではこの下にさらに「効果」というポイントがありました。ポイントは奪った瞬間には勝敗は決まりません。

ただし「技あり」は2回取ると合わせて「一本」となり、2回目の技ありを取った瞬間に勝ちとなります。

反則は「指導」と呼ばれ、4回受けると反則負けになります。
2003年のルール改正まで反則の名称は4種類あり、1回目から順に「指導」「注意」「警告」「反則負け」と呼ばれていました。

さらに「警告」の反則が「技あり」のポイントと同値であることから、警告の反則を取られた相手に「技あり」のポイントを1回取れば、合わせ一本扱いとなる「総合勝ち」というルールも存在していました。

また、制限時間内に勝敗がつかなかったときには副審2名が優勢と思う選手の帯の色の旗を上げ(カラー柔道着導入前)、1−1のときは主審が3本目の旗を上げ決着をつける旗判定のルールも存在しました。

旗判定にも変遷があり、その後主審副審3名同時に旗を挙げるようになり、さらに2分間の延長を行って先にポイントを奪うか相手が反則を取られた場合に勝敗が決まるゴールデンスコア方式の導入。
それでも勝敗がつかない場合の旗判定など、柔道はルールが頻繁に変更されています。

この傾向に対しては、批判する意見や、時代に合わせた柔軟な対応と肯定する意見の双方が存在し、賛否両論あります。

新ルール内容、改正点

「有効」ポイントが無くなり、今まで「有効」とされていた技によるポイントも「技あり」と評価されます。
今後は「一本勝ち」または「技ありポイント」の2種類によって試合が決着すると考えれば分かりやすいでしょう。

さらに、これまで「技あり」は2回取ると合わせて一本でしたが、このルールも無くなります。
「技あり」を何回取っても一本にはなりません

つまり、ポイントをどれだけたくさん取られても、試合時間内に一本を取りさえすれば逆転勝ちできます。

この点では、一本を取る柔道を目指してきた日本にとって、新ルールは追い風になるのではないかと言われています。

一方、試合時間は男子で5分だったものが女子と同じく4分に短縮されます。
猛練習して試合に臨む日本選手はスタミナが豊富で、5分の試合でもスタミナを切らさず戦い切る選手が多くいました。

相手がスタミナ切れとなる後半に勝負をかけることも多い日本選手にとっては僅かなマイナス要素かもしれません。

抑え込みによる「技あり」は、現行の15秒から短縮されて10秒で成立します。

柔道に期待すること

柔道は武道であり、同時にスポーツとして広く世界に普及しています。

スポーツですから、勝利を目指して最大限の努力を尽くすことは当然です。

しかし、勝つことだけを目的に武道の精神に外れる行為をしてほしくないと思います。
そんなことを言っているから勝てないんだ、という声も聞こえてきますが、勝つこと以外にもスポーツを通して得られるものは数多くあります。

死力を尽くして対戦した後には友情も生まれるでしょう。負ければ負者の悔しさを知ることができます。
勝ったら相手を思いやり、負けても相手を称える。

勝っても負けても大切なことは、お互いに尊敬し合うことです。
その心がなければ、スポーツは傷つけ合うだけのものになってしまいます。

柔道に限ったことではないかもしれませんが、武道もスポーツも、精神的な修練が最も大切な到達地点であるはずです。

今や、「柔道」は、世界の “Judo” です。
ルールが変わっていくのは仕方のないものだと思います。

時代に合わせて変化していくことを拒んではいけません。むしろ、こんなにも世界中で愛されるスポーツになったことは喜ばしいことです。

新たなルールが採用された柔道が、試合を面白いものにしてくれることに期待します。

特にドイツ、フランス、イギリスなどの欧州では、競技人口や普及率の点では日本にも引けを取りません。

もともと護身術として嘉納治五郎が生み出した柔道がこれほどまでに普及し人気を博した理由は、「前に進み続ける」ことを要求されるスポーツであり、格闘技でありながら必要以上に相手を傷つけることがない、という点にあります。

むやみに下がるとすぐに反則を取られますし、相手が動けなくなるまで攻撃し続けるタイプの格闘技でもありません。

勝敗については、ルールの変更は大いに影響するだろうと思います。
勝つはずだった選手が負けて、その逆も生まれるということです。

自分にも相手にも敬意を払って戦いましょう。
勝つことを目的に競技することと、武道の精神を学ぶことは、両立できます。

 

ルール改正その後:

国際柔道連盟(IJF)による柔道のルールはその後さらに見直しが行われ、技あり2回による「合わせ技一本」のルールは再び成立することとなりました。2018年1月の国際大会から適用されます。

 

http://www.asahi.com/articles/ASJDB3W4CJDBUTQP00K.html

via:朝日新聞 DIGITAL

http://number.bunshun.jp/articles/-/827116/feedbacks?per_page=10

via:Number Web

https://matome.naver.jp/odai/2148142783930613801

via:NAVERまとめ

http://www.nikkansports.com/sports/news/1750355.html

via:日刊スポーツ

https://nj-clucker.com/judo-rules-rio-olympics/

via:NJ-CLUCKER

https://sportslink-mag.com/articles/ixlaY

via:SPORTS LINK Magazine

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