土日は渋滞が当たり前!?の磯エリアに新しい駅が開通
鹿児島市吉野町に位置する磯エリアは、毎度渋滞エリアになっています。そんな中、磯エリアに新しい駅が開通します。
今年3月15日に開通予定のJR日豊本線『仙巌園駅』。薩摩藩島津家の別荘と言われている仙巌園(せんがんえん)の目の前に開通するとのことです。鹿児島県民は知らない人が多いかもですが、鹿児島市内には世界遺産があるのです。それが仙巌園内にある尚古集成館です。
私個人の感想としては『この記念すべき2025年に仙巌園駅が開通するのか(泣)』と大変感激しています。その理由とは?
ざっくり
仙巌園は観光名所として有名だが・・・鹿児島の人はあまり足を運ばない?
2015年に『明治日本の産業革命遺産』が世界文化遺産に登録されました。
明治日本の産業革命遺産は岩手・静岡・山口・福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島の8県にまたがっており、背景に繋がりがある国内の遺産が点在していることをシリアルノミネーションサイトと呼びます。
鹿児島県には『関吉(せきよし)の疎水溝』『寺山炭釜跡』仙巌園に隣接する『尚古集成館(旧集成館)』が明治日本の産業革命遺産の構成資産のひとつとされており、今年の2025年には、世界遺産登録10年を迎えます!
冒頭でお伝えした「この記念すべき2025年に〜」というのは、2015年に世界遺産登録されてから10年を迎えるタイミングで駅開通のニュース。私には嬉しいことです。
地元民があまり足を運ばないのは観光地あるあるかもしれませんが、地元民だからこそ鹿児島の世界遺産を見るべきだと思います。
鹿児島の世界遺産といえば、屋久島や奄美大島の自然遺産が有名ですが、ここ鹿児島市内にも立派な世界文化遺産があるんだと鹿児島県民に知ってほしいのです。
![](https://i0.wp.com/1234times.jp/wp-content/uploads/2025/02/IMG_2519.jpeg?resize=680%2C510&ssl=1)
(鹿児島市役所に展示されている明治日本の産業革命遺産のパネル)
私は世界遺産検定の資格を取得してから、鹿児島の歴史などを学べる黎明館という場所へ行き、そこで初めて反射炉跡のレンガ(一部)やジオラマを見て『近々仙巌園に足を運んでみよう!』と思ったのが仙巌園に行くきっかけでした。
桜島望む磯エリアに観光新時代…JR日豊線「仙巌園駅」3月15日開業、ビーチハウスリニューアル、カフェもオープンへ https://t.co/pPRnGZYGsK #南日本新聞 #鹿児島
— 南日本新聞 373news.com【公式】 (@373news_twit) January 5, 2025
日本の近代化事業集成館事業を立ち上げた薩摩藩28代・島津斉彬
明治日本の産業革命遺産の構成資産の一つである『尚古集成館(旧集成館)』。隣接する異人館と反射炉跡も含めての尚古集成館と呼ばれており、現在尚古集成館は博物館となっています。
仙巌園とは薩摩藩19代将軍、島津光久が築いた別荘。そして尚古集成館は薩摩藩28代将軍、島津斉彬によって始められた近代的西洋式工場群であり、『集成館事業』とも言います。
ここでは様々な紡績事業が行われており、初めは反射炉や溶鉱炉、その後に硝子工場や鍛冶場が建設されたといいます。
斉彬の死去後、斉彬の父である斉興(なりおき)が事業を一度縮小させますが、1859年には島津久光が島津忠義の後見人となり再び事業を進めることに。しかし1863年に薩英戦争で集成館は焼失。再び事業を再開し、明治5年から9年まではいくつも改称されました。
集成館が正式に廃止されたのは大正4年になってのこと。以降は、島津斉彬による集成館事業を顕彰するため大正12年に集成館の一部を活用する形で尚古集成館が開館しました。
集成館の建築様式は西洋式ですが、斉彬は一度も本物の西洋式の建物を見ることなく作ったそう。
集成館が焼失してからは忠義が集成館事業を再興させますが、レンガの代わりに溶結凝灰岩が使われていたり、薩摩で使われていた梁(はり)と言われる骨組みが西洋式ではなかったりと西洋式のようで幕末薩摩の異国情緒な建物になっています。
斉彬は斉興の祖父である重豪(しげひで)に西洋かぶれなところが似ていたようで、影響されていたのではと思います。
世界遺産検定の合格者には嬉しい特典が!
この仙巌園駅の記事を書いている最中に『どうせなら取材を兼ねて世界遺産巡りをしよう!』と仙巌園へ足を運びました。
そこで、NPO法人『世界遺産アカデミー』主催の『世界遺産検定』の合格者だけがもらえる世界遺産検定認定証を家から引っ張り出し、仙巌園へ。
認定証を仙巌園の受付で提示するとなんとポストカードが特典でもらえるのです!(4級3級2級準1級1級マイスターどれでも)
正直初めてもらった特典なので心なしかオドオド。これも世界遺産検定を勉強した証拠!なんだか背伸びをしたような気分になれます(笑)
また、九州では福岡県は遠賀川水源地ポンプ室、長崎県はグラバー園(旧グラバー邸)、熊本県は万田坑この3つの県でも世界遺産検定の認定証を提示すると認定者特典がもらえるそうです。(九州でもらえる全ての場所が、明治日本の産業革命遺産の構成資産なのがポイントです!)
世界文化遺産オリエンテーションセンター
仙巌園入り口付近には世界文化遺産オリエンテーションセンターがあります。
世界遺産登録までの沿革や集成館事業等のパネルやジオラマ、明治日本の産業革命遺産のVTRを見ることができる施設。だいたい10分から15分ほどの所要時間で楽しむことができます。
しかし当の本人は一つ一つの展示物に時間をかけて見ていて、ふと時計を確認するとなんと1時間ほど滞在してしまい、『入り口で1時間なんて時間の使い方が有効的じゃない!大変!これ以上いたら入り口で帰ることになって1600円が水の泡になる!』と焦る始末でした(汗)
全国的に珍しい!仙巌園には猫にまつわる神社がひっそりと点在
仙巌園には神社があるんです。その名は『猫神社(ねこがみしゃ)』。
猫神社(ねこがみしゃ)は 戦国時代、17代島津義弘(しまづよしひろ)が戦場に連れていった7匹の猫のうち、帰国した2匹を「猫神さま」としてお祀りしています。
義弘が猫を戦場に連れて行ったのは、猫の瞳の変化で時間を知るためという話が伝わっています。(猫神社公式HPから引用)
至るところに猫!猫!猫!かわいい〜と癒やされながら神社へ参拝。
境内には17代将軍島津義弘が戦場に連れて行った2匹の猫がお出迎え。ふと見た財布の中には100円玉だらけ。『えいっ!猫様には惜しみないぞ!お布施だ〜!』と思いながら参拝しました。
この時点で2時間は滞在。たくさん歩いたので一先ず休憩。
茶店へ入り、両棒餅(ぢゃんぼもち)といわれる鹿児島名物の甘いお餅と季節限定の桜島小みかん茶を頂きました!温かい桜島小みかん茶と両棒餅が冷え切った体に染みてちょっとした幸せを感じました。
2年ぶりに行った二度目の仙巌園。磯工芸館や異人館、スターバックスコーヒーまでは回りきれずだったので、次回三度目のリベンジといきたいところです!
仙巌園駅の開通で緩衝地帯(バッファーゾーン)どうなる?
世界遺産に詳しい方や世界遺産を勉強しているかたには聞き馴染みがある『緩衝地帯』。
緩衝地帯(バッファーゾーン)とは、核心地域(人間の開発ができない場所)と呼ばれる世界遺産(移動不可の土地や建造物)。
その核心地域の周辺(人間の開発ができる場所)が緩衝地帯とされています。
この緩衝地帯の問題等で世界遺産登録の抹消例が3件あります。最近だと2021年に登録抹消されたイギリス『海商都市リヴァプール』。
創建当時の教会やレンガ倉庫などが残っており、歴史的建造物が立ち並んでいましたが、再開発により高層ビルなどが周辺に並び景観が損なわれたため世界遺産から抹消されました。
そういう事例もあり、私は『駅の開通で緩衝地帯の問題は大丈夫?景観を損なったりしないだろうか』と、とても心配をしていました。
新しく開通予定の仙巌園駅近辺は世界遺産の緩衝地帯で、開発規制区域でもあるため色々と建築制限があるそうです。駅舎の外観デザインや配色については厳しく制限されます。
駅建設予定地は集成館に伴う周知の埋蔵文化財包蔵地であり、2022年に遺構の存在を確認する試掘調査を実施したところ、石造倉庫の地盤となる人工的に地固めした痕跡を検出したことから、駅建設に際しては地中の埋蔵文化財を傷めない基礎工事を行わなくてはならない。(ウィキペディアから引用)
駅の完成予想図を作成し、文化庁、世界遺産センター、世界遺産委員会に提出し承諾を得ます。そういった面もきちんとされており、今のところは旧集成館周辺の緩衝地帯は特に問題はないように感じます。
交通の便もよくなって気軽に観光できる場所に
2025年2月現在、鹿児島シティービューという巡回バスが1時間に2本ほど走っていますが、鹿児島中央駅から仙巌園まで行くのにおおよそ40分ほどかかります。鹿児島縁の地などをぐるっと巡回して仙巌園前に着くのですが、そこまででだいぶ体力を削られてしまいます。
新駅舎ができてより観光客や地元住民も鹿児島の歴史、世界遺産について興味を持ってもらえたらなと思います。
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