そのニュースに目を見開いた
2024年の9月に入った頃、朝にネットをしていたら衝撃的なニュースが飛び込んできた。それは、『メキシコでダウン症の弁護士が誕生した』というニュースだった。
一瞬、私はそのニュースが信じられなくてフェイクニュースと思い、おおもとのニュースを調べてみると確かにそのニュースは本物だった。ついに、というより青天の霹靂となるダウン症の弁護士が誕生したのだ。
実は、『私自身もダウン症の弁護士なんて絶対にありえない』と、心のバイアスで思っていた。事実は小説より奇なりというが、まさしくそんなニュースに驚く他なかった。
ダウン症の弁護士、25歳のアナ・ビクトリアさんの母校がすごかった
メキシコで、世界初のダウン症の弁護士が誕生。
日本も続きますように、ビッグニュースだ!https://t.co/GL5xrIicb6— 松田崇弥・文登【ヘラルボニー / HERALBONY|双子起業家】 (@heralbony_twins) September 1, 2024
世界で初のダウン症の弁護士になったアナ・ビクトリアさんは現在、25歳。2024年7月にサカテカス自治大学を卒業し、法学の学位を収得して晴れて弁護士となっている。
メキシコでは、法学部を卒業すれば弁護士になれると言うが、このサカテカス自治大学を調べるとすごかった。何と国立の大学だったのだ。『入学したいがダウン症だから』という理由ではなく、実力で入学できたアナ・ビクトリアさんは本当にすごい。
サカテカス自治大学は何と、アメリカ大陸の中でも2番目に古い名門大学で歴史のある大学だそうだ。1551年に設立されたラテンアメリカで最大規模の国立自治大学で、しかも、メキシコでは最も有名な名門大学であり、一番古い歴史を持っている。日本で言えば、京都大学や東京大学みたいな立ち位置だろうか。
キャンバスにあるアステカ時代の壁画はかなり有名で、2007年には何と世界遺産にもなっているという文化的にも保護すべきキャンバスとなっているのだ。
ちなみに私は、高IQの発達障害者(よく知られた2Eギフテッド)だが、度重なる病気で大学進学を断念している。だからこそこのニュースは本当にすごいし、お世辞抜きで褒められていいと思う。今、書きながら『このニュースって本当にすごいんだな』と手の震えが止まらない。
このニュース、日本で置き換えれば、ダウン症の生徒が東大や京大に合格し、卒業まで果たすくらいのインパクトがある。ちなみに、サカテカス自治大学は世界の大学ランキングでトップ100目前の105位にランクインしたこともある。日本の大学となる早稲田大学は181位となっており、サカテカス自治大学に入学して卒業できたアナ・ビクトリアさんが如何にすごいか分かるだろう。
ダウン症の読書家の知り合いを思い出す
【飛ぶ教室65号】
<エッセイ>
「ガラスのこころ」岸田奈美筆者とダウン症の弟の、ガラスをめぐる「ひみつ」。人生でたった二回、弟がガラスを割ったときのことを振り返ります。言葉で伝えるのが苦手な弟の心に寄り添ってつむいだエッセイです。https://t.co/1AcKOKpMGy pic.twitter.com/uVdbg7ELeC
— 飛ぶ教室 児童文学の冒険 (@tobu_kyoshitsu) May 12, 2021
このニュースを知って思い出したことがある。それは、前に出会ったダウン症を患う読書家の彼女の存在だ。
前に在籍していた事業所で、ダウン症の読書家に出会ったことがある。彼女は趣味で物語や小説を書いており、時には原稿用紙換算で200枚ほどの作品を執筆したこともある。好きな作家は、芥川賞作家の柴崎友香さんや綿矢りささん、羽田圭介さんとなる、根っこからの純文学好きな読書家だ。
彼女の自慢は、芥川賞を受賞する前の又吉直樹さんの『火花』が掲載された『文學界』を前もって購入しており、今でも大切に持っていると言う。
彼女と出会って、私はダウン症のイメージが変わった。ダウン症は知的障害を伴うケースも多いがそれも絶対的ではないし、ケースバイケースだ。彼女は聡明だし、並みの本を読まない健常者よりも語彙力が豊富だった。
ダウン症を巡る環境は激変している
今日の朝7時ぐらいに、ドラマ見学レポートをnoteで公開します〜!(ツイートは起きてからやるので遅くなるぞい、時差ボケなう)
「有名で演技がうまい役者さんじゃなく、ダウン症の役者さんを起用するのが、どうして良いんですか?」
っていう問いにも、今、確信を持って答えられる。 pic.twitter.com/aTFUq8dxDY
— 岸田奈美|Nami Kishida (@namikishida) May 3, 2023
きっと、アナ・ビクトリアさんも彼女のように聡明で読書家な女性なのだろう。
ひふみよタイムズでは、前にダウン症のモデルである斎藤菜桜さんや、書家であるダウン症の金澤翔子さんを特集したが、ダウン症を巡る環境は本当に多種多様になっていると思う。
医療が発達し、かつて短命だと言われていたダウン症当事者も今では多くが長生きできるようになり、その理由で才能を発揮したり、様々なことにチャレンジしたりなど、活躍のできるダウン症当事者も増えたのだ。
多くのダウン症当事者は毎日を穏やかに過ごし、生き生きと生きている。出生前診断のような悲しいニュースもあるが、ダウン症の当事者はそれ以上に懸命に生きている。
これからも、ダウン症の当事者が社会で活躍できるような世の中になれるよう、祈りたい。