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別に幸せになりたくなかった

backgrounds night sky with stars and moon and clouds. wood. Elements of this image furnished by NASA

自分はなぜ生まれてきたのか

小さな頃から

まだ小学生の時に、40歳になったらユウレイになれたらいい、と思っていた。それ以上は世界にとどまりたくなかった。それくらいにしか世界は、僕にとって価値が無かった。

何もいじめや虐待、貧乏だったわけではない。むしろ恵まれた環境だったと思う。
なぜか小学生の僕は疲れていた。なぜか。

中学生になりバスケットボールを始めた。全く芽が出なかった。その頃から強烈な劣等感を感じるようになった。心の内側に爆弾を持つようになった。ずぶずぶと沼に落ちていく感覚があった。

高校生になった。僕には何も無かった。だから勉強を頑張った。学年で1番を取った。親が喜んでくれた。毎日10時間勉強した。心がすり減っていく。そしてうつ病になった。泣きたかった。大声で泣きたかった。

音楽が好きだった。とても。ギターを弾いて曲を作った。もうこれしか僕には残っていなかった。音楽しかやりたくなかった。それ以外は終わりにしたかった。

東京へ上京する。

大人になって

「男性はもちろん、女性と交わりたくない。人を愛せない」
それに気づき始めた。ああ、僕は本当に欠陥品だったんだ。アア、ボクハホントウニ。

でも僕には音楽があるじゃないか。それでいいじゃないか。

毎日毎日、花の都、東京で季節を感じよう。
コンビニで募金をしよう。
レコードを探しに行こう。
恋なんてしなくていいじゃないか。
子供をつくらなくてもいいじゃないか。
だって僕には音楽があるんだからー。

25歳、桜が舞う頃、統合失調症になった。
なぜだろう、なぜ何もかも奪っていくんだ。

怒りと絶望、そんなものいらないのに。
好きなことをやれただけ幸運だった?

僕はまだ何も成し遂げていないー。

自分の血を愛せないと人を愛せないのか

「精神病院」

ずっと沈殿の状態が続く。

もう終わりにしたかった。
逃げて、逃げて、逃げて、そして信頼を失った。

「音楽」

手から、すくいあげても、すくいあげても、こぼれていく感覚。

僕の音楽は水か砂のようで。
それは過ぎ去ってしまったもののようだ。



「割愛」

「割愛」

「割愛」



誰にでも「神様」っているんですか、と聞いた。

「救い」よりも「確認」したかった、生まれた意味を。

そんなことしている場合じゃなかった。
僕はまた「失敗」した。
母を失った。

あなたは幸せになりなさいと聞こえた

母さん、
教えてもらったから。あなたに。
生きる喜びも、苦しみも。
相変わらず、人を愛せないけど、僕なりに頑張ってみるよ。
だからまた、生まれ変わったら、あなたの子になりたい。

雨上がりの夜空に

今日も月は綺麗だった。
ほんの少し勇気をもらえた。

「まだ生きていたい」

そう思えた。
手はまだ震えている。

「関係ない」

震えていても構わない、構わないんだ。

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