フィンランド語の格について1
フィンランド語には15の格があります。(分け方によって14~16と幅があります)
主格、分格、対格、属格、内格、出格、入格、接格、奪格、向格、様格、変格、欠格、共格、具格です。
この格にはそれぞれ単数と複数の形があります。
今回はフィンランド語の格のうち、主格と分格と対格と属格を見ていきます。
フィンランド語の基本的な格
主格、分格、対格、属格はフィンランド語の文法において基本的な格です。
主格
主格は、日本語の「~が」に相当し、文の主語である事を表します。
フィンランド語で主格の名詞、単語には特別な接辞はつかず、そのままの形で現れます。
単数の場合は何も変化がありませんが、複数の場合-tが付きます。
Kissa nukkuu 「猫が眠る」
Kissat nukkuvat 「猫たちが眠る」
分格
分格は日本語の「~を」に似ています。文の目的語を表します。
分格の形は直接、主格の単数形から作られます。
単語の終わりの部分によって三つの格語尾の中から適切なものを選びます。
- -a/ä:主格単数が一つの母音(eを除く)で終わってる場合
- -ta/-tä:主格単数が子音か二つの母音で終わっている場合
- -tta/-ttä:主格単数が母音のeで終わっている場合
対格
対格は、フィンランド語において目的語になるもう一つの格です。
Minä näen koiran 「私は犬を見る」
Minä näen koirat 「私は犬たちを見る」
このように主格の単数と対格の単数、主格の複数と対格の複数、対格の単数と属格の単数は形が同じなので、対格と他の格を同じ格にまとめる分け方もあります。
属格
属格は、日本語の「~の」に似ています。属格の単語は名詞の前に置かれます。
属格は単数の場合単数語幹に-nがつきます。複数の場合は少し複雑です。
属格複数は分格の複数から作られます。
- 分格複数語尾が-a/-ä→-en
- 分格複数語尾が-ta/-tä→-den~-tten
- 分格単数が「子音+ -ta/-tä」なら①の語尾以外に→-ten この場合は、単数の子音語幹に直接-tenをつけます
- 子音+iで終わる語→主格単数に直接-en
例えば「家」「talo」で複数属格を作る場合…
- まず talo に、主格以外の格語尾が付く場合に複数を表す-iをつけます。→talo-i
- 主格以外の複数になった talo-i- に、まず複数分格を作るために -a をつけます。(これは語幹の最後の母音が一つの場合なので -a がついています)→talo-i-a
- 複数分格になった talo-i-a の i は j に変化します。→talo-j-a
- 複数属格にするために、この複数分格の形の語尾は-aなので、-aを-enに変えます。→talo-j-en
分格と対格の違い
フィンランド語では、目的語を表す場合分格が使われるのが普通です。
分格が使われる基本的な場合:
- 否定文の中の目的語は必ず分格
- 目的語が物質名詞(水やチーズのように、分けられるもの)
- 動作・行為の継続を表す場合 ※例:「私は手紙を書いている」「私はプレゼントを探している」など
- 常に分格を取る、継続動詞・感情動詞などの動詞 例:「私はバスを待っている」など
- 1以外の数詞+名詞の単数分格(1以外は主格のまま) ※例:「ペッカはりんごを二個食べる」など
上記以外で対格が使われる基本的な場合:
- 動作の完了を表す場合
- 名詞が個体名詞(人間や動物や物など、具体的な事物、分けられないもの)、全体を意味するため、部分に分けられない名詞
注:数詞の1は名詞と一緒に変化し、やはり対格になります。
参考
言語学大辞典セレクション ヨーロッパの言語(三省堂)
ニューエクスプレスフィンランド語(白水社)
フィンランド語(Wikipedia日本語版)
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