ライム色の思い出
ログハウス調のカフェで、湧き水を使用したレモネードをいただきました。薄黄緑のグラデーションが綺麗なソーダ水に、みずみずしいマスカットが浮かべられていて、とても幻想的でした。透き通った水が、体に、心にすっと浸潤していきました。
レモネード
湧き水を汲みに行った帰り、近くのカフェでレモネードをいただきました。薄い黄緑のグラデーションのソーダ水に、つややかなマスカットがいくつも揺蕩うように浮かべられています。それは、翠雨で色づいた葉に、淡く降り注ぐ光をぎゅっと集めたような幻想的な美しさがありました。
そっと、ストローでひと回しすると、ダイヤカットの氷がカラン、コロンと鳴り、しゅわわ…と心地よい音を立てて小さな泡が水面上に消えていきました。ほのかな甘さとレモンのやわらかな酸味が、暑さで火照った体を癒してくれます。しばしの間、口の中でぷちぷちと弾ける炭酸の食感を楽しみました。
窓辺から差し込む光がグラスを照らし、翡翠のようなマスカットがきらきらと輝きます。黄金に光る観音様、娘の身を憂い海に身を投げた母の涙…。翠の黒髪と幸運を手に入れた『髪長姫』のワンシーンが、透き通ったスクリーンに浮かび、朧げな物語の断片が、うたかたと消えていきました。
水の中で遊ぶ宝石をそっと一粒、口に入れると爽やかな甘みが広がります。風が吹き、窓の木枠に伝う緑葉がそよいで、初夏の始まりを告げてゆきました。