『数値化の鬼』の要約と思考法を紹介
ビジネスにおいて「心を込めていれば結果は付いてくる」、「サービスは質、数字ではない」といった考え方がある一方で、「一生懸命やっても成果が出ない」という壁に突き当たる方がいらっしゃるかと思います。
本記事では、『数値化の鬼』という数値化をビジネスに取り入れるためのメソッドをまとめた本をご紹介します。
「仕事ができる人」に共通する5つの数値化
『数値化の鬼』は、数多くの会社のコンサルティングや人材トレーニングを提供している株式会社「識学」の代表を務める、安藤広大氏が自身のメソッドをまとめた参考書です。
タイトルのとおり、「数値化された客観的な評価と向き合うこと」、「自分の失敗を数字として受け入れること」の2つを仕事に取り入れることで、主体的に動けるプレーヤーとなる成長ができるとされています。
本中では、仕事ができる人(評価者からの評価を得られる人)になるための、マスターすべき数値化されたノウハウとして5つの要素にまとめられています。
1、行動量(自分の行動の数を正確に数える)
2、確率(割り算による安心感のワナに気を付ける)
3、変数(仕事の中で何に集中するか考える)
4、真の変数(ムダな変数を削り、さらに重要な変数に絞り込む)
5、長い期間(長期的・短期的の2軸で物事を見る)
1,行動量を数値化する
あらゆるビジネスに取り入れられる「PDCA」サイクルですが、本書ではプレーヤーが行う「D=Do(行動)」の回数を重視すべきとされています。どんなに素晴らしい「P=Plan(計画)」でも、「D」が漠然としていては、行動量は増えません。よって「KPI(目標を達成するための数値化された指標)」を立て、より具体的な目標を設定して行動することが重要となるのです。
数値化を使ったPDCAサイクルの例を以下に挙げます。
1、P=Plan(計画):半年で12件の新規顧客を獲得する
2、D=Do(行動):「1日4件のアポを入れる」というKPIを設定する
このように「Plan」が数値化によって具体的になることで、「Do」の目標も設定しやすく素早い行動に移すことが可能となります。また、行動に対して「1日3件のアポだったが、半分以上なのでよしとする」といった、曖昧「C=Check(測定・評価)」にしないことも大切です。「1日3件のアポだったために未達成」という評価を出すなど、正確で公正な判断をするよう心掛けましょう。
2,確率のワナに気を付ける
人によっては長く仕事を続けるほど、量より質にこだわっていくケースがあります。この状態を放置することで、徐々に行動量が減っていきます。以下のような例について考えましょう。
●社員A:成約率80%(アポ10件のうち8件成立)
●社員B:成約率50%(50件のうち25件成立)
この場合、評価されるのは確率の高い社員Aではなく、行動量の多い社員Bとなります。社員Aは「失敗したら成功率が下がる」などの心理により行動量が減っているのです。
このように、確率を見る際はその分母を見て行動量を確認することが重要と言えます。
3,変数に注目する
たとえPDCAを回しても行き詰まった場合は、変数について考えます。変数とは「仕事上で変えられること」のことを言い、それ以外は「仕事上で変えられないこと=考えても無駄なこと」に該当されます。
変数を見つけるためには、「何を変えれば結果の改善に繋がるのか」を行動に移したり、試行錯誤したりするより他はありません。行動の結果から「なぜこの結果が出たのか」との理由を考え、次の改善策となる行動を打ち出し、その結果の変化につながった要因を「変数」と考えれば良いのです。
4,真の変数を見極める
変数は放っておくと増えてしまいがちです。変数が増えることで計画を立てたり、トライアンドエラーを繰り返したりして、多くの時間を消費します。
そこで、本当に実行するべきの「真の変数」を見極めます。目標は固定しつつ、取り組むべき変数を絞り込んでKPIを設定し、それを繰り返します。目標に近づかない場合は、その要素を「変数ではなかった」と割り切って手放すことが重要です。
また、マネージャーからの「こちらが変数ではないか」、「それは変数ではない」とフィードバックや働きかけをする必要も出て来るでしょう。
5,長期的視点で物事を見る
ビジネスでは、短期的視点と長期的視点の両方が必要と言えます。短期的視点ばかり偏ることで長期的な利益に気付きにくくなったりします。
長期的視点で「目標」を見据え、逆算してKPIを設定することで、「今日のKPIは5年後の姿とつながっている」ことを念頭に、行動を積み重ねることが可能となります。
またプレーヤーからマネージャーへと役職が昇格するに連れ、目先のことだけではなく、5年後や10年後を見据えた判断が必要になってきます。マネージャー視点となると、「短期的評価」、「長期的な評価」の2つ軸での評価が重要となるでしょう。
まとめ
人のやりがいや喜び、モチベーションなど、数値化できないことがビジネスにおいて大事であるという方もいらっしゃるでしょう。
ただ、現状の結果に満足してなかったり将来的にさらなる成長を遂げたいと考えている方は、数値化に向き合うことが大切と言えます。
『数値化の鬼』では、ビジネスにおける様々な要素を数値化することで「仕事のできる人」になれるとされています。行動や変数を分析しつつ、KPIを反映させれば、行動量を最大化した上でPDCAを回すことができたり、自らの失敗に気付いて成果につながる要素を導き出したりすることが可能となります。
仕事の「不足」を数字で捉えます。数値の確認作業は自分しか行えないと考えてください。数字と向き合うことを怠らず成長していき、「仕事ができる人」の評価を獲得しましょう。
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