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2024/6/10:フリーペーパーvol.99発刊!

暮らしの記録 レースの花

ミツバチとレースの花飾り

しゃらしゃらとした小さなビーズのような花をつける低木を見つけた。なんとはなしに観察していると、琥珀色をしたミツバチたちがやってきた。蜜や花粉を集め飛び回る姿が優雅だった。やがて月日が流れ、旅立っていった。

ミツバチのお茶会

白い石に囲まれた花壇に一本の低木が植えてある。何の木かは知らないのだが、毎年この時期になると小さな白い花が咲く。この小さな木を私は気に入っている。特定の植物を意識して観察することはあまりないのだが、この木は不思議な雰囲気を醸し出している。

まっすぐ伸びた木の幹から、いくつもの枝が分かれ、その枝から小さな緑葉を茂らせている。葉の形が全体的に丸く、木の形もすらりとしているので、ヨーロッパの伝統的な庭園のトピアリーを思わせる。ただ、庭園のトピアリーと異なる点は、人の手で刈り込まれたのではなく、この木自身の意思で好きにしているということだ。

その低木に咲く花の蜜や花粉を求めて、ミツバチたちがやってくる。つややかな葉の上にふわりと降り立ち、小さな肢を動かし蜜や花粉を集めている。うららかな午後に開かれたミツバチたちのお茶会を、私はぼんやりと眺めていた。

月日が流れ、お茶会もお開きとなる。ミツバチたちは小さな恋人に、敬愛のキスをし別れを惜しみつつ帰ってゆく。雨上がり、水気を含んだ風がさわさわと吹き、花は落ちていった。地に散らばった花々は、しずかに、次の季節を待つ。低木の枝葉から覗く空のかんばせを眺めながら。

私は一つ、そっと地面に落ちた花を手に取ってみた。花弁はすべすべと柔らかく、はらはらと崩れてしまった。陽の光にさらされ、色褪せてもなお、美しさと儚さを纏っていた。

ふと、白い石の隙間にミツバチの亡骸を見つけた。透き通った羽、黄色いベロアのショール。木の根元近くに土を掘り、ミツバチの亡骸を横たえる。その周りにアンティークレースのような花をぱらぱらと散らし、土を被せた。

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