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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

痛みしびれ脱力の原因はアレルギーが関与する希少難病だった

やっとわかった病名は推定患者数500人の指定難病 

10歳の頃、首や左の肩周りが強く傷むようになりました。整形外科へ行き、レントゲンを撮っても異常はなくて、湿布薬がでただけでした。しかしその後も痛みは広がり、手足のしびれ、体の脱力もしやすくなっていきました。常にその症状があるわけではないけれど、年齢を重ねるほど治りが悪くなり、日常生活に支障をきたすようになっていきました。

幼少期からの持病といえば、アレルギー関連の病気が多いくらいでした。今までにアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、慢性じんましん、クインケ浮腫の診断を受けたことがあります。数年前には、食物アレルギーでアナフィラキシーショックを起こしたこともあります。その頃から、強いアレルギー症状がでる時期に痛み・しびれ・脱力が起きやすいと感じていました。根拠はないけれど、アレルギーも炎症だとすれば同じように体内にも炎症が起きて、これらの症状が起きやすいのではないかと疑っていました。

そしてある日、ネットのおすすめ記事をながめていたら「アレルギー炎症が神経因性疼痛を誘発する機序を解明」というタイトルが目に入りました。自分がなんとなく感じていたことに近い研究を知り、さっそく脳神経内科を受診することにしました。

精神的なものが原因といわれ、諦めていた日々

これまで怪我や病気で病院へ行くたびに、症状を伝えてもあまり詳しく診てもらえませんでした。整形外科ではテニス肘だといわれたり、ヘルニアだとか言われてきました。眠れないほど痛いことを内科で話すと、そのうちに精神科を紹介され、精神的なものが原因だと言われるようになりました。

我慢するしかない症状

症状が酷いときには、手足のしびれや痛みで力が入らなくなります。脱力をすると物がつかみにくい、立ち上がれない、足が前に出なくてうまく歩けない、頭を洗う時やドライヤーをかける時、食事の際に腕を上げていられなくなる、着替えに時間がかかる、首や背中が痛くて起きていられないといった症状で、まともな生活ができなくなります。

もし大人になってから突然このような症状が出ていたら、早い段階で脳神経内科を受診したと思います。それが幼少期から症状が出ていたことで、不調のない体をほとんど知らなかったことが我慢へと繋がる原因でした。母へ痛みを伝えても、大げさに騒ぐなと怒鳴られていたことで、みんなも我慢をして生活していると思っていました。時間をかければ多少は回復するので、安静にしては無理をして悪化、という我慢を繰り返してきました。

脳神経内科で検査 四週間の入院へ

やっと見つけた研究記事がきっかけで、初めて脳神経内科を受診しました。初診では、握力が両手とも10キロ無いくらい、手足の反応にも異常があるようでした。後日、MRIや神経に関するさまざまな誘発電位検査を受けました。

そして脊髄の中枢神経(運動神経)に異常があり、脳から両手脚への信号がうまく伝わっていないことがわかりました。

はじめての治療へ

抗体検査の結果を待ちながら、詳しい検査と治療のために4週間の入院をすることになりました。最初の一週間は再度MRI、さらに詳しい神経の反応をみるような検査を受けました。腰椎穿刺、つまり背骨の腰のあたりに針を刺して脳髄液もとりました。

翌週は、ステロイドパルスという大量のステロイドを点滴する治療に入りました。錠剤のステロイド剤は1ミリとか5ミリの単位ですから、一日に1000ミものステロイドを三日間入れ続ければ、副作用がある反面、効果も高いといわれ、様々な治療に使われている治療です。しかし、体がポカポカしても痛みやシビレは良くならず、私にはステロイドの効果はみられないと判断されました。

ステロイドパルスから一週間空けて、免疫グロブリン療法という点滴を受けました。輸血製剤を使用する点滴で、一日5時間くらいかけて五日間行いました。これも古くから使われる治療だけど、効果の仕組みはハッキリとわかっていない治療だと聞きました。点滴の終わり頃、首の痛みや手足のシビレが強くなり、症状が悪化しました。せっかく献血していただいた血液を使わせてもらったのに、そのどれかにアレルギー反応を起こしたようです。そのアレルギー反応の後遺症で、症状が悪化してしまいました。

抗体がみつかり診断へ

入院前から行っていた抗体検査の結果、抗プレキシンD1という抗体がみつかりました。そして指定難病の「アトピー性脊髄炎」という診断がつきました。推定患者数が500人という希少難病です。

診断の基準には、アレルギーを持っていることが含まれています。病名から誤解されそうですが、アトピー性皮膚炎の人だけが対象の病気ではありません。私自身も、アトピー性皮膚炎の症状は軽度です。アトピーの語源は「奇妙な」「不思議な」という意味だそうです。

医師からは、実際に抗体が脊髄を攻撃して痛みが出ていると考えられると言われました。長いこと原因のわからなかった辛さが、気のせいではないことがわかりました。しかしまだ治療薬も無く、参考にできる他の患者さんの発信する情報もごくわずかです。診断がついても、安心は出来ませんでした。

退院後の経過

現時点で、退院から数ヶ月が経ちました。シビレや痛みが全身にでて、今までにない不調が続いています。全身に脱力がでやすく、カフスで腕を支える杖を使って歩いています。座っていてもキツくて、なるべく横になって休む時間をとるようにしています。横になっても、肩や腕、脚がしびれて痛くなり落ち着いて眠れません。

ステロイド剤は減らしながらも飲み続けているので、副作用の不眠や筋力の低下も感じています。ムーンフェイスになり顔が腫れ、食欲の増進と運動不足もかさなって体重も増えました。疲れやすく最低限のことしかできず、それも時間をかけてこなすのがやっとです。体中がシビレて痛むので、なんだか脳の働きも悪い気がします。出来なくなることの多さ、そのスピードに心身がついて行けないままです。

アトピー性脊髄炎は、アレルギー症状の悪化で不調が出やすくなるので、アレルギーを起こさないように気をつけて回復を待っています。

今後の治療

今回の入院治療の効果がなかったので、今後は血漿交換という治療をすすめられています。血液を取り出して、抗体を除いて体内へ戻す、人工透析と似た仕組みの治療です。検査を含めると、二ヶ月くらいの入院が必要だといわれています。

先に受けたステロイドパルス、免疫グロブリン療法、そしてこの血漿交換も、症状をおさえるための対症療法で効果が何年も続く訳ではありません。もし血漿交換をしても、治療の効果は数ヶ月で切れます。その後も入退院を繰り返すことになります。根治はできなくても、せめて何年間か症状をおさえる治療や飲み薬があれば良いのですが、今のところありません。

今後の治療については、医師によく相談しながら選択していこうと思っています。まだ自力で歩行が出来るし、わからないことが多い病気だけに、積極的に治療を受けないで様子をみていくという選択肢もあると考えています。

病名を知ってもらことから治療の未来へ繋げたい

脳神経の仕組みは難しくて、自分の病気のことですら上手く説明ができません。脳神経内科系の病は、症状に個人差があり診断も難しいそうです。

さらにアトピー性脊髄炎においては、アレルギーという症状が関わっています。みなさんもアレルギーがでたら、症状によって皮膚科・眼科・耳鼻科・内科などさまざまな科で診てもらっていると思います。西洋医学では、科をまたぐ症状の研究はとくに進みにくいと実感しています。しかし様々なアレルギーを発症する人が増えている今、未診断の患者がまだまだいるかもしれません。

アトピー性脊髄炎と診断をされた人、そして未診断の患者も、今後適切な治療を受けられるようになるためには、まずこのような病気があるということを皆さんの記憶に残していただくこと、それがアトピー性脊髄炎という病気に必要なことだと思い記事にしました。

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