地域農業。簡単に言えば地域農業とは、農家個人だけで担えることばかりではないことから、集落や地域社会で兼業農家を含めた農家同士が、様々な場面での調整や協働関係をしっかりと築き、メリットを享受しあう枠組みだ。私も田舎に住んでいた時などには、大根の葉とりや、サツマイモの収穫、大根の仕分け、養鶏場での卵の収穫などに従事した経験がある。
大変な重労働ではあるが、自然の中で何も考えず体を動かして汗を流すのには最適な作業である。もちろん、仕事後のご飯も格別に美味しい。
農家の仕事は、朝から働いて10時くらいと昼に一回づつ休みを設けて仕事をする場合もある。いわゆる、お茶休憩である。農家のおばちゃんからお菓子を貰ったり、「あんた嫁さんはおらんとね」などと余計なお節介を言われながらの楽しい座談会だ。
そんな中に障がい者を入れて仕事をしたら、障がい者にとっても働きやすく、農家にとっても後押しとなる環境なのではないだろうか。余計な物事は考えずに体力の続く限り頑張り、美味しいご飯を食べて、汗水垂らし、コミュニケーションを計り、収穫の楽しみを知る。いいことだらけである。
佐渡市で近年注目される農福連携についてのセミナーを開催: 近年話題の農福連携についてのセミナー新潟県佐渡市で2016年10月19日(水)に「農福連携促進セミナー」が開催される。
働き手不足の農業と職場を求める障がい者… https://t.co/I0RQ2ImVEs
— 障害者雇用 (@challenged_info) October 17, 2016
今、「障害者に農業はできるのか」という疑問を覆す事例が数多く現れ始めているという。
「当初は疑問を抱いていたプロの農業者も、まず草刈りから任せてみて、できることが分かってくると、収穫作業や剪定作業も頼むようになり、いまは戦力と認識するようになっている例もある」という。「(1人で全作業をやるのでなく)農作業を切り分け、複数の障害者が、それぞれ得意な作業を行うチームとしての対応は可能」だという。
まさに「農」と福祉の連携、「農福連携」がここにある。
静岡県浜松市にある「京丸園」では、静岡県内でも有数の規模を誇る水耕栽培農園で、ミニミツバ、ミニネギ、ミニチンゲンサイをはじめ、自社ブランドも栽培している。
「農福」取り組みのきっかけは、求人に障害者が応募してきたことだったそうだ。そうして働きだすと、パートさんたちが彼らをサポートしてくれるという、予想もしなかったことが起きたと代表は話している。職場の雰囲気もよくなり、結果、作業効率が上がったのだ。
福井県あわら市にあるNPO法人「ピアファーム」では、現在25名の障害者、27名の職員を雇用しているそうだ。
「認定農業者となることで(2011年)、福祉関係の補助金だけでなく、農業関係の補助金、融資も積極的に活用し、耕作放棄地となっている農地を上手く再生して経営面積を拡大している」
このような事例は、単に障害者の居場所づくりや賃金向上だけにとどまることはない。新たな商品開発はもちろん、地域の農作物の販路拡大に貢献するなど、障害者が地域の重要な担い手になっているのだ。
一方、農業に参入しようとする障害者施設にとっては、農業技術の習得が課題となるとも言われている。
私たちHIFUMIYO TIMESを運営している、鹿児島県にある就労支援B型事業所「ひふみよベース紫原」では、新しい形の「農福連携」を行っている。
このプロジェクトは、株式会社Zitenと東京を中心に活躍するミスキャンパスで構成される「Campus lab(キャンパスラボ)」のコラボから生まれた。服の内側に貼って使える、日本産オーガニック精油のアロマパッチ「香実(かじつ)」だ。
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特徴は、日本各地の精油を使用し、いつでもどこでもオーガニックのアロマテラピーを楽しむことができる点だ。アルコールも使用していないため、安心・安全。第1弾のラインナップは「甘夏ベルガモット(水俣)」・「地杉精油(屋久島)」・「月桃精油(浜比嘉島)」の3種類。
この香実(かじつ)プロジェクトでは、「ひふみよベース紫原」のCWSチームでブランドロゴの開発やパッケージのデザイン、web構築などを担当し、商品のセットアップや受注・発送業務などはMWSチームで担当している。
障害や難病を抱えた人たちが、農業に従事せずとも、ブランディングや通販管理などでプロジェクトに携わることができている。これは、現実的で新しい「農福連携」の実現ではないだろうか。
実際に農業を行う際でも、周囲のサポート体制があれば、障害者は新しい価値を生み出していける存在だ。
障害者が地域の農家を助け、地域住民と関わっていくことで地域の理解が進んでいく。そんな好循環が生み出されることを期待したい。
障がい者が後継者不足に悩む農業の担い手となる「農福連携」。働く場所の確保が困難な障がい者にとっては自立にもつながる取り組みです。今回、その普及に向け活躍中の濱田健司さんを取材しましたhttps://t.co/mIpqnL1ocq pic.twitter.com/bJHMnb8eO6
— HELPMAN JAPAN (@HELPMAN_JAPAN) June 9, 2016
今、注目を集めている「農福連携」。地域には就職先のあまりない障害者に地域農業の担い手を任せ、農業を行う施設や農業者にもメリットを持たせて連携してやっていけば、相互作用でいい効果があり、万々歳である。
農業者にも障害者にも画期的なこの取り組みを是非、良い方向へと導き、障がい者の根本的に持つ力や、活躍の場を増やしていって欲しいものである。「農福連携」は大きな可能性を秘めている。
近い将来、地域にとって障がい者は、欠かせない存在になるかもしれない。
https://www.foods-ch.com/shokuhin/1477029787407/
via:FOODS CHANNEL