令和の時代でも通用する大正時代の挿絵画家
皆さんは、高畠華宵という大正時代に活躍した挿絵画家をご存じだろうか。
高畠華宵は1920年代、ちょうど大正浪漫が花開く大正時代から昭和時代初期に一世を風靡した挿絵画家だ。彼が描くロマンチックなタッチは、令和の時代でも通用するファンも多い作風となっている。
今回は、LGBTQを先取りした大正時代の挿絵画家・高畠華宵をご紹介する。
モダンガールと高畠華宵
国貞えがくの乙女もゆけば
華宵ごのみの君もゆく
宵の銀座のオルゴール
吉屋信子『わすれなぐさ』の新装版が発売されました✨
当館学芸員が解説を担当しています。弥生美術館で開催中の「高畠華宵 麗しの好一対(ペア)」では、
華宵が描いた「わすれなぐさ」の口絵を展示しています。男装した牧子の頬をハンケチで拭う陽子…
わすれなぐさの香水の香り漂う一枚です。 https://t.co/9hqkvuchvg pic.twitter.com/j9hicLRt5n— 弥生美術館・竹久夢二美術館 (@yayoi_yumeji) August 8, 2023
上記は、大正時代当時に流行った流行歌『銀座行進曲』の歌詞の抜粋である。流行歌の中に挿絵画家で入ったのは、後にも先にも高畠華宵だけだ。
『華宵ごのみ』とは、当時流行ったモダンガールたちがよく彼を好み、時代の最先端を好んで行っていた様子を差している。
ちなみに、モダンガールたちは今でも使われる銀座を闊歩した『銀プラ』の生みの親となっているのだ。
大正時代の作品なのに耽美な作風
✦「高畠華宵 麗しの好一対(ペア)」✦
弥生美術館3階展示室にて開催中です。
会期:2023年7月1日㊏~9月24日㊐#高畠華宵#弥生美術館 pic.twitter.com/ba4uFIJd8i
— 弥生美術館・竹久夢二美術館 (@yayoi_yumeji) July 1, 2023
高畠華宵の作品は、令和に生きる私が見ても飽きない古さを覚えないものがある。
彼自身は男性であるが、画風は少年を描いた際に発揮される。彼の描く少年は、『少女の中に少年がいて、少年の中に少女がいる』とよく指摘されるほど、憂いに満ちて傷つきやすく優しく脆くような繊細な生々しい出立ちで、今でいう『LGBTQ』を先取りした画風となっているのだ。
LGBTQが言われる時代だからこそ知って欲しい高畠華宵
「高畠華宵 愛しの好一対」
時代を先取りし過ぎでは?と思うような作品の数々…とても良い😌
当時はどういう風に捉えられていたんだろう?#弥生美術館 #高畠華宵 pic.twitter.com/RjJ5rxskI7— えりん (@eriiin320) August 14, 2023
昨今、LGBTQが盛んに喧伝されるようになり、メディアやSNSでも多く話題になっている。高畠華宵の描くイラストは、大正時代の作品でありながら、一歩先にあった令和の時代の感覚を先取りしたような画風でもある。
実際、高畠華宵の作品は戦後、挿絵画家が衰退しても、竹宮惠子、萩尾望都、山岸凉子など花の42年組の少女漫画家に受け継がれ、それが現代の少女漫画の礎となっているのだ。
高畠華宵から強い影響を受けた竹宮惠子の作品『風と木の詩』も、華々しく連載が始まっている。LGBTQで書かれたジャンルこそ、今の原点があるのだ。
LGBTQが盛んに言われている時代だからこそ、高畠華宵の絵をもう一度見つめ直してほしい。
最新情報を購読しよう!
就労継続支援・就労移行支援事業者様へ
HIFUMIYO TIMESでは毎月フリーペーパー版を発行しており、各エリア版の加盟店を募集中です。福祉事業者に最適なブランディングと広報力をご提供します。詳しくはお問い合わせください。