日本で初めての児童精神科医の漫画
2023年、児童精神科医の漫画が日本で初めてドラマ化される。その名は『リエゾン 心の診療科』。2020年からマガジンで週刊モーニングで連載が開始され、話題を呼び、現在累計100万部のベストセラー作品が、山崎育三郎、松本穂香主演でドラマ化が決定した。少子化である現在、子供の数は減っているのに児童精神科を受診する子供たちは増えているため、昨今の生きづらさに寄り添うような作品だ。
自身も発達障害の当事者である児童精神科医・遠野志保
リエゾンでは二人の医師が登場する。山崎育三郎さんが演じる、児童精神科医の佐山卓さん、松本穂香さんが演じる研修医の遠野志保さんだ。
おっちょこちょいの研修医・遠野志保は憧れの小児科に研修医として配属されたが、思うように指示された仕事ができず、困っていた。受け入れてもらえる派遣先もなく、唯一受け入れてくれた先が、佐山さんが営む、『 子供の心の診療所』だった。
志保はそこで佐山から自身が発達障害だと告げられる。動揺した志保は自身の子ども時代の境遇を 思い巡らし、自身の人生においてのトラウマと向き合う。
全てを受け入れた志保は自分と同じように苦しんでいる子供たちに寄り添う児童精神科医になると決めた。そして、佐山卓さん自身も発達障害だったのだ。
現代の思春期・児童期における様々な問題
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来年1月よりドラマ放送開始!#リエゾン ―こどものこころ診療所― インタビュー
\児童精神科を舞台に、発達障害のある大人や子ども、その家族、様々な当事者の生きづらさを描く本作。
作者のヨンチャン(@yahoosum)さんと竹村優作さんに作品に込めた思いを聞きました📖https://t.co/zp1pBVx46C— ジョブメドレー (@job_medley) December 19, 2022
令和になってから子供たちを巡る問題は悪化した。その要因の一つに新型コロナウイルスのパンデミックが大きく考えられるだろう。実際、私が10代だった2010年代よりも児童精神科を受診する子供たちの数は肌感覚としても激増した、と感じる。発達障害と診断される子供たちの数も2006年当時から2020年代には10倍以上に跳ね上がり、子供であってもODや自傷行為などの希死念慮に見舞われるケースは後を絶たず、うつ病などの精神疾患を発症する子供たちも多くなっている。
10代の頃、児童精神科病棟に入院していた私が読んでもこの漫画は切実で、リアルに満ちていた。
当事者が読んでもオモシロイ。
児童精神科医は全国的にも数が少なく、子供の数は減少しているのに児童精神科を受診する子供の数は年々右肩上がりに増加し、新たな児童精神科医の養成が急ピッチで進められている。ただでさえ少ない児童精神科医の元で治療を受けた私が読んでもこの漫画は、あの頃の焦燥感ややりきれなさを実感として湧く漫画だった。
1月20日🐰
>「リエゾン精神医学」とは――医師・臨床心理士などの精神医療の専門家が他の診療科と、さらに広義には教育・行政・福祉などと連携しながら、ひとつのチームとして総合的な医療サービスを行うこと。
フランス語で「連携・つなぐ」#発達障害・ドラマ#リエゾンhttps://t.co/nMEleNwGpG
— 発達障害 令和を生きる ※情報配布アカ (@mirai4510) January 3, 2023
2023年1月20日から始まる本作は手術シーンがない異例の医療ドラマになるばかりか、日本で初めての児童精神科医を扱った医療ドラマともなるだろう。子供たちを巡る問題は年々深刻さを増し、本作でも様々な子供を巡る問題を扱っている。決して発達障害の問題だけでもなく、定形発達の子供たちの心のケアにも言及する回も登場する。
普遍性のある問題課題に挑んだ本作
個人的な意見であるが、私は発達障害・精神障害だろうが、定型発達だろうが、心を巡る問題は同様に負荷がかかる時代になり、誰もが精神的に病んでしまう時代だ、と思っている。私自身が幼少期に発達障害への診断を早めに下り、発達障害への偏見などで悩んできたので、どうしても健常者とか、普通とか、そういったワードに過敏に反応することが多かったが、コロナ禍で様々な問題が浮上すると、それは一概に言えないことが日を追うごとに分かるようになった。
令和の時代、21世紀の時代、子供たちの心のケアが急務において、本作はトンネルの中にもたらす光になるだろう。