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「ねほりんぱほりん」 NHKが繰り広げる、このニッチな世界

ニッチすぎる話題を扱う、人形劇トークショー番組

昨今では、テレビ離れが深刻に叫ばれているが、そんなテレビ番組の中でも一際、異彩を放っているのが、NHK教養番組放映の『ねほりんぱほりん』。

NHKというと堅苦しいイメージがある方もいらっしゃるかもしれないが、この『ねほりんぱほりん』はそんな堅物のイメージをぶち壊すような、切実であり、ダークであり、新発見だったり、毎回、目を丸くするような多様な話題を扱っている。

根掘り葉掘り聞きたいテーマも波乱に満ちている。今年で7周年を迎えた、『ねほりんぱほりん』から個人的に興味深かったテーマをピックアップする。

『刑務官』

直近のねほりんぱほりんで放送された回。2021年に『女子刑務所にいた人』という根掘り葉掘り聞いたら耳を疑うような反響にお答えして、実現した、とモグラに扮した司会者の山里亮太と YOUが可愛いモグラの人形のまま、あっさりと放送したとき、さすが、NHKだ、と感銘した。

刑務官。それは受刑者たちの更生を見守り、厳しく接する国家公務員。刑務官になって怖かったこと。刑務官がどう、罪を犯した受刑者と接し、更生に導くか、その裏側の根掘り葉掘りに、確かな人間性に圧倒された。そして、刑務官なら通ることのできない死刑の問題。

『女子刑務所にいた人』の放送回でも、ゲストの豚さんたちが答えていたが、罪を犯して迷惑をかけるのは、他ならない自分自身と他者である社会なのだ、と痛感した。

『LGBTQカップルの子供』

昨今、大きく社会で扱われたLGBTQは当事者にとっても、多様性のある社会実現に対しても切実で、繊細な話題をねほりんぱほりんでは、そのLGBTQのカップルの元で育った子供たちを焦点にクローズアップされる。

立ちはだかる法律の壁、無理解にぶち当たる日々の日常、そして、家族が欲しい、という悩み、葛藤などが人形劇トークを通して、事細やかに描かれている。

私自身も知らなかったLGBTQカップルの悩み、そして、家族とは何か? その大きな問いに何度もハッとさせられた。

『駅員』

日本に住んでいて、誰もが一回は必ず利用したことのある駅。そんな駅で働く駅員さんの内情を根掘り葉掘りに聞いたこの放送回は、よく電車を利用する私にとっても興味深かった。お客さんとの対応、乗客同士のトラブル、毎秒ごとに発進する電車の裏側には途方もない、駅員さんの努力があるのだ、と改めて、その仕事ぶりに脱帽だった。

特に駅員だと、必ず通らねばならない人身事故の裏事情には、何度も死にたくなった私にはとても、他人事じゃない既視感を覚えた。

それでも、電車が好きな駅員さんは、旅に出かける乗客さんのお子さんのエピソードで心救われた、と話す。

電車が好きだ。車窓の風景が何よりも好きだ。今日も駅員さんは電車を走らせるため、切符を切る。

『羽生結弦選手で人生変わった人』

国民的スターとも言える羽生結弦選手で人生が変わった人に着目した放送回。羽生結弦選手と同じ1994年生まれの私にとっても、羽生結弦選手がどれだけ、与える影響が大きいのか、とても感心しながら視聴し、今でも心に残った放送回だった。ゲストの中には自分の人生を見つめ直し、不良少女から介護の仕事を選んだ人など、羽生結弦選手のパワーで人生観が変わったエピソードを紹介。

羽生結弦選手は2022年にプロスケーターになり、SNSも開設。

ねほりんぱほりんではその後のゲストという放送回もあり、何度か、この『羽生結弦選手で人生変わった人』のゲストさんたちが招かれているが、個人的にもその後を知りたいところだ。

最後に『人間って面白い』

ねほりんぱほりんでは普段だったら聞けないような話題や事物、人、関係者などに豚の人形を通して、明かされる内情を時にはコミカルに、時にはセンチメンタルに描くのが醍醐味だ。

そして、必ず最後には『人間って面白い』の決め台詞で幕を下ろす。

ねほりんぱほりんを視聴すると、世知辛い世の中で多様性があり、人間の業や喜び、生きる力を感じる。ダークな話題をあえて人形劇で表すことで、そんな陰気な暗さも昇華させてしまう、ねほりんぱほりんはNHKならではの名物番組だろう。

もし、ねほりんぱほりんを視聴したことのない方はこれを機にNHKの世界へ足を踏み入れるのもいいかもしれない。

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