忘れられない記憶に残るレース「平成7年 桜花賞 ワンダーパヒューム」
私が経験した20年以上の馬券生活で忘れることのできないレースがある。それは、ワンダーパフュームが勝った平成7年の桜花賞。レース前から後日談まで書いていく。競馬を知ってる方なら少しは共感してもらえると思う。
ざっくり
バイト先での桜花賞の予想を巡る出来事 ワンダーパヒューム
1995年(平成7年)、競馬を始めて結構な年が経っていた。この年は全然馬券が当たらずかなり辛い思いをしていた。そんな時バイト先で桜花賞の話になり、どの馬がいいかと聞かれ、ワンダーパヒュームの名を挙げる。
バイトの同僚は揃って笑いながら否定した。それもそのはず、前走のトライアルアネモネS2着で優先出走権を得たが、過去のレースでアネモネSから馬券に絡んだ事はほとんどなかった。
私もそれは充分分かっていたが、ただレース内容を見て狙いたくなったのである。周りの人たちにもこれはないと言われ続け、半信半疑のままレース当日を迎える。
レース直前の買い目変更 ワンダーパヒュームからプライムステージへ
当日の朝起きたら実はもう一頭気になる馬が出てきた。名はプライムステージといい、サンデーサイレンスを父とする良血馬。
乗っていたのは、武豊が現役最多勝利記録を更新する前の記録を持っていた岡部幸雄である。私は、この人と相性がいいのかよく馬券を獲らせてもらい、抜群の信頼を寄せていた。
先に見ていたワンダーパヒュームは、7番人気。騎手は当時天才と言われながらムラっ気のある性格で馬券の相性も悪かった田原成貴騎手。
片やプライムステージは、2番人気で勝てはしないが安定した成績で馬券に絡んでおり、鞍上も岡部幸雄だったのでどっちにしようかレース直前まで迷っていた。
最後は悪魔の囁きもあり〆切直前にワンダーパヒュームからプライムステージを軸とする馬券に変更してレースが始まる。
天敵武豊との相性 買わないと来るが買うと来ない
「マジかよ本当に来やがった」
最後の直線でワンダーパヒュームが凄い脚で先頭に立つ。しかし、プライムステージも伸びて2番手を走り「これなら馬券が獲れる」と思った瞬間、2頭の外から超えげつない脚で一頭の馬が飛んで来た。
名はダンスパートナー。騎手は世界のいや自分にとっては、にっくき天敵の武豊で3番人気の馬だ。後のオークス馬になるのだが、ゴール直前で計ったかのようにプライムステージを交わし2着でゴールして、私は馬券を外したのである。
私は武豊とは相性が悪く、彼が乗ってる馬から買って当てた事が数える位しかない。逆にこのレースみたくゴール前で彼の乗る馬に交わされ馬券を外す事が数多くあった。
いつしか、武豊を買わない時は来る。買った時は来ないから外せ、という暗黙の了解が私の周りに出来た。これだけならよく聞く競馬あるあるで済むのだが、話はこれだけでは終わらなかった。
文句言われまくりだった翌日の同僚の反応
翌日、凹んだままバイト先へ向かったのだが、着いた瞬間同僚に囲まれた。みんなの顔は何故かニヤニヤしている。
何事かと尋ねると「幾ら買ったのか」「どの位儲かったのか」「私たちにも何か奢ってくださいよ」との言葉が返ってくる。
そういう事かと思い、昨日の出来事を話した。迷いに迷ってワンダーパヒュームから買わなかった事、そして馬券を外し3万円分擦った事。
すると周りの人全員に文句を言われる。「何やってんだよ」「馬鹿じゃねぇの」「奢ってもらおうと思ったのに」何でここまで言われないといけないのかと思ったらこういう事らしい。
競馬中継をみた従業員がワンダーパヒュームが勝った、誰か買った人はいないのか?と。前日働いていた従業員は誰も買ってないので馬券は獲ってない。
するとあるバイトがそういえば数日前に私がワンダーパヒュームがいいと言ってた事を話すと、従業員みんな大興奮。
何故か馬券を獲ったかという話を通り越してどの位儲かったかの話になり、おそらく十万単位で勝っただろうからみんなに奢ってもらおうと意味不明な思考になり、先の会話に至る。
競馬をやってる人間に言われるのなら未だしも、競馬のケの字も知らない後輩女子大生に「何で買わなかったんですか、折角ご馳走してもらおうと思ったのに(怒)」とキレられた時は流石に頭にきたが、反論する元気がなかった私は、「ごめんなさい」と言うしかなかったのである。
こうしてあれから20年以上経ち、馬券を買うどころか見ることさえしなくなった私の競馬人生でこのレースは最大の屈辱であり耐え難いトラウマとして今に至る。
この先競馬を始める人に馬券を獲るためのアドバイス
最後に馬券を獲るためのポイントを2つ挙げたいと思う。一つ目は、自分の直感を信じることである。
よくビギナーズラックで初めて買った馬券が当たった話を聞くが、まさに深く考えずに直感に頼り買ったからだと思う。変にデータ等を頼ると訳が分からなくなり絶対に当たらなくなるのが競馬の恐ろしさである。だからこそ買い目に迷ったら自分の本能に任せ直感で馬券を買った方がいいと思う。
二つ目は周りの意見に振り回されず、ぶれない心を持つことである。悪魔の囁きに惑わされ、買い目を替えて馬券を当てた試しが無い経験からこれは自信を持って言いたい。
ただこれは言うほど簡単なことではない。負けてばかりだと自分の予想に自信が持てなくなり、他人の言葉を受け入れてしまう。そうなった時の悔しさは半端ではない。
だからこそ、どんな時も自分を信じ周りに惑わされないぶれない心が大事だし、これから競馬を始めようと思う人に少しでも参考になれば幸いに思う。