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2024/11/10:フリーペーパーvol.104発刊!

音と語学の力

音と語学の関わり

音楽的なトレーニングを行うことで外国語のスキルが上達することが判明しています。しかし、逆ルート現象、「語学スキルが上達する=音楽ができる」については研究されていませんでした。

この一方通行な結果を解明するような研究論文をフィンランド大学が発表したようです。論文によると、外国語を学ぶことによって、子どもの音楽的なスキルが高まることが判明したとのこと。これにより、「音楽ができる=外国語のスキルが上達する」とされる一方通行だった結果は、逆ルート現象も実は起きることが分かりました。加えて、研究で脳の「共通回路」が活発化していることも判明しました。逆ルートが、どのような影響を脳に与えていたのか、それぞれ音と語学のパワーを通して説明します。

逆ルート現象で判明した脳の共通部位

8~11歳の子どもを対象に2グループにわけて、英語の学習と、音楽の学習グループ(2/w)に1年間教育をした後、音楽的能力を測定しました。結果として、単純なメロディーの聞き分けなど、英語を学んだグループのほうが良い成績を収めたようです。

研究によれば、外国語も音楽の「音を処理する脳回路」は共通する部位を使っていて、片方を学習すると、学習していないほうの成績も上がるとのこと。加えて、外国語の学習で「音を処理する共通の脳回路」が強化されることにより、音楽的スキルの上達が見込めることを示しました。聴覚がかかわる学習には、分野を超えた伝達効果があり、外国語で脳の音を処理する共通回路を鍛えることで、音楽的能力の強化も促されていたのです。

外国語スキルも音楽スキルも、脳内の音を処理する領域を「共通回路」としているため、脳を音楽で鍛えると、外国語のスキルも勝手に上がっていくという現象。

詳しくみていくと、音の処理を担う脳領域の聴覚野全体でニューロンの動きが活発化していたことが分かったようです。加えて、耳にした声の高低によって活発化する部位が異なっていたうえ、活発化する部位は個人によって場所に「差」があることも明らかになりました。

フィンランド大学の研究者らは、聞く音によって活発化するニューロンが異なることこそが、人によって語学習能力に差がある理由だと指摘。母国語を認識するニューロンを維持しながら、独自のニューロンで新しい言語を学ぶことで、バランスよく脳全体を使っていると結論付けしました。

古くから「一芸に秀でるものは多芸にも通じる」という奇妙な現象が知られていました。

例えば、天才数学者が並外れた記憶力を持っていたり、ノーベル物理学者が優れた音楽家でもあるような、「天は二物を与えた」うらやましい事例などです。

「天は二物を与えた」は、脳科学の言葉で翻訳すれば「共通回路」に答えがありました。となれば、「天は二物を与えず」という表現は正解と言えますね。

自然音の力

アメリカ科学の学術誌に「自然音」に関するユニークな論文がありました。アメリカの68の国立公園の251ヶ所で録音された自然音を使用し、それが人にどのような効果を与えるのかを分析したものです。

論文に携わった研究者の一人によると、自然音を聴くことで、ストレスや痛みの軽減のほか、気分の高揚や認知機能の向上も見込めると分かったそうです。また、自然音といっても、種類ごとに効果が異なるとのことでした。

例えば、小鳥のさえずりは、ストレス軽減効果がある。水のせせらぎの音は、気分の高揚やメンタルヘルスに良い影響を与える。ほかにも、人間は5分だけでも自然の中に身をおくと、ポジティブな感情が高まると分かっています。

語学の力

世界で研究報告されたものによると、語学学習は、音楽とのかかわりだけでなく、ほかにも素晴らしい効果があることが判明していました。

イギリスのエジンバラ大学の研究によると、外国語を学んだ人はそうでない人と比べて、学力や記憶力のほか、情報処理の速さが総合して高いと判明したようです。

加えて、バイリンガルの人よりも、トライリンガルの人のほうが、結果はさらによかったとのことでした。

スウェーデンのルンド大学の研究によると、1年と1ヶ月間、語学の学習をさせた被験者の脳の構造が大きく変化したようです。

語学以外の勉強をさせたグループと比べると、海馬や大脳皮質が発達していたと判明しました。

カナダのヨーク大学の研究によると、母国語しか話せない子どもより、バイリンガルの子どものほうが、マルチタスクになったときの反応が速いことが分かったようです。

マルチタスクとは、異なる作業を同時に処理することです。外国語の習得は、物事を多方面から見る能力を養うようです。

たとえば、少数民族のイヌイットは、「雪(氷)」に対する呼び名が99語あるそうです。降っている雪をカニック、飲料水を作るための雪をアニユ、吹雪をベシュトック、というように、ほかにも幾つも呼び名があるようです。日本では粉雪、吹雪、牡丹雪といったところでしょうか。

語学と音の関わりから、それぞれが持つ力を調べました。もしかしたら、ほかにも私たちが知らないパワーを秘めているかもしれませんね。

それでは、最後までご覧くださりありがとうございました。

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