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障がい者でも健常者でもない人口の14%に相当する境界知能とは

57万部のヒット書籍で話題になった「境界知能」

今、話題になっている著者・宮口幸治さんの書籍「ケーキの切れない非行少年たち」は年間ベストセラー1位の書籍で、今大人気の書籍です。今年(2021年)4月に「どうしても頑張れない人たち」という書籍を新たに出版。ケーキの切れない非行少年たちの続編となっています。また、漫画本も1巻〜2巻まで出版されています。

私がこの【ケーキの切れない非行少年たち】という書籍を知ったのは、Twitterの検索でした。

別件でエゴサーチしていると【ケーキの切れない非行少年たち】の紹介ツイートと概要欄が出てきました。お笑いコンビ・メープル超合金のカズレーザーさんが絶賛している書籍だと聞き「この本を読んでみたい」と興味が湧き、書籍を読んで初めて【境界知能】という言葉を知りました。

境界知能領域とは

平均的なIQが100と言われています。IQ70以下だと軽度知的障害と診断されます。今回取り上げる境界知能とは、知能指数と言われるIQが70以上84以下(一概には言えません)のことを指します。境界知能は軽度の知的障害とも言えず、健常者とも言えない間のグレーゾーンに立っており、学校や社会生活をする中で生きづらさを抱えている境界知能の方がたくさんいます。

医療少年院にいる非行少年たちの約半数以上が境界知能領域

今現在、医療少年院があるのは全国で2ヶ所ほどあります。(ケーキの切れない非行少年たちの書籍では全国に3ヶ所と記載されています)

医療少年院とは、発達障害や知的障害をもった少年たちが収容されます。言い方が悪いのですが、「少年院版特別支援学校」のような場所です。

この医療少年院に収容されている約半数の少年たちの知能指数と言われるIQが70以下(軽度知的障害)または84以下(境界知能領域)なのです。彼らたちは、簡単な足し算や引き算、漢字の読み書き、簡単な図形の書き写し、短い文章の復唱などが難しいのです。

境界知能の特徴とは

境界知能を持つ非行少年たちの特徴を5つ挙げると(ケーキの切れない非行少年たちを引用しております)

1.認知機能の弱さ・・・見たり聞いたり想像する力が弱い

2.感情統制の弱さ・・・感情をコントロールすることが苦手。すぐにキレる

3.融通の利かなさ・・・何でも思いつきでやってしまう。予想外のことに弱い

4.不適切な自己評価・・・自分の問題点が分からない。自信がありすぎる、なさすぎる

5.対人スキルの乏しさ・・・人とのコミュニケーションが苦手

など5つの特徴が挙げられます。

上記にあげた5つの特徴は医療少年院に収監されている境界知能を持った非行少年たちの特徴ですが、境界知能の方すべての方に当てはまることではありませんので、境界知能で生きづらさを抱えている人達を【境界知能=非行少年たちのような特徴】と一括にしないようにお願いします。

境界知能の特徴はこれだと断言ができないのです。境界知能と診断されていても頭の回転が良く、効率よく後先のことを考え動く方もいるので、境界知能だからといってこの5つの特徴が必ずしも当てはまるとは言えません。

境界知能である私が苦手なこと

冒頭で、境界知能という言葉を書籍で知ったと言いましたが、ケーキの切れない非行少年たちを読んだ後に「もしかして私は境界知能ではないか」と疑いWAIS−Ⅲという知能検査を医療機関で受けたところ境界知能という診断を受けました。

【暗記や解き方を覚えること】境界知能の当事者である私は、学生生活でも生きづらさを抱えていました。1日学校を休んでしまうと授業内容が理解できず、「1年後には高校受験が待っている・・・」というプレッシャーもあり、勉強から逃げたいという思いで不登校になりました。不登校になった後に、久しぶりに登校すると待っていたのは数学の証明。ここで自分の記憶力の悪さに絶望しました。

そして一番問題だったのは理科、数学、英語科目。授業中は、きちんと先生の板書をノートに書き写したのですが、自分が理解できるようなノートのまとめ方はしませんでした。

授業中その場では理解するのですが、1ヶ月後には解き方を忘れて、また復習するの繰り返しで国語社会以外のテストの結果はあまり良くはありませんでした。

【多くの指示を理解し行動に起こすこと】人の話を聞くことは苦手ではありません。ですが私の場合、頭の中で想像をしながら理解することはできますが、口頭で多くの指示をされると、頭の中でストックを作ろうと必死になり覚えきれないことが多くあります。

【投げかけられた質問に答えること】仕事の会議などで「なにかここまでで質問はないですか?」「この件に関してどう思いますか?」と投げかけられると私は黙ってしまい、理解力がない自分と理解力がある人達との間に壁があるような気がして、泣きそうになっていました。なぜ、投げかけられた質問に対して答えられないのかと自分を責めていましたが、今は自分と他人と比べてしまう劣等感を抱き過ぎる性格を受け入れ、投げかけられた質問に答えられないという問題に自分はどう向き合うかを考えるようになりました。

 

自分がやりやすいと思ったトレーニングを見つけてみる

医療少年院では、境界知能を持った少年たちに「コグトレ」というトレーニングを行っています。このコグトレを行うことで、対人スキルの向上や基礎学習の土台作り、不器用さの改善ができ、認知力の向上を図るトレーニングができます。

私は「コグトレ」というトレーニングではなく自分にあったトレーニングをすることにしています。私がやっているトレーニングは、読解力や想像力を鍛えることが主です。

人の話を聞く時は、頭の中で想像、映像化して理解をしています。これができたのは日々の読書と、とんでもない早口で大学の研究結果や論文を科学的に解説し、語りだすメンタリストDaiGoさんの動画をBGMにし何時間も聞いているからだと私は思います。

最初は、読書をしても頭に入らず、想像しながら読書することが苦手でした。しかし、読書を続けていくと、想像力や読解力まで身につけることができ、読書中に分からない漢字を見つけたらすぐにメモをし後で調べてインプットすることにしました。

 

【境界知能=非行に走る】という勘違い

ケーキの切れない非行少年たちで境界知能という言葉は広がりましたが【境界知能=非行に走る】と世間に勘違いされてしまっているのではないかと私はソワソワしています。

読み手側によってはそう勘違いしてしまう方もいると思いますが、あくまでも非行に走る境界知能の人は一部であって全員が非行に走る訳ではないので、そこは誤解していただかないようにお願いします。

そして、境界知能の方が助けを求めていたら手を差し伸べてあげて下さい。生きづらさを抱えている当事者たちは手を差し伸べてくれたあなたにきっと救われると思います。

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