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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

エドワード・ヴァン・ヘイレンが遺したこと

ありがとう、ヴァン・ヘイレン!

2020年10月6日、ヴァン・ヘイレンのギターリスト、”エディ”こと、エドワード・ヴァン・ヘイレンが65歳で亡くなった。エディの息子であり、後年ヴァン・ヘイレンのベーシストとしてプレイしたウルフが、ツイッターで彼の死を公表した。
2000年以降の長きにわたる彼のがん闘病は知っていたが、その間も時おり元気な姿をみせてくれていたので、今もどこかで笑顔でプレイしているような感覚がある。

彼の魅力は少年のような笑顔のプレイ

1978年に発売されたヴァン・ヘイレンのデビューアルバム『炎の導火線』は、プラチナ・ディスクを獲得している。
さらにハードロックバンドに対して壁をもつ人々にも広くエディのプレイを知らしめたのが、マイケル・ジャクソンの「今夜はビート・イット」でのソロパートのプレイだった。
日本では「ライトハンド奏法」と呼ばれる、右手でタッピングしながらの速弾きをサラッと弾いてみせるエディの姿は、まさにギター・ヒーローそのものだった。
そして何よりも彼の笑顔、心の底からギターが楽しくて仕方がない者にしか絶対にできない『笑顔』が、人々に愛される理由だった。

東南アジアの血も流れるエディ

ヴァン・ヘイレンのメンバーであるエディと兄のアレックスは、オランダで生まれた。
母親はインドネシア人で、移民だった。子供の頃に、家族はアメリカへ移住した。
アレックスはヴァン・ヘイレンでドラムをプレイし、バンド「ヴァン・ヘイレン」はいくどかのメンバー入れ替えもあったが、兄弟は一度も離れることなくその仲の良さは生涯変わらなかった。私達ファンは「お兄ちゃん」と呼んでいる。
日本にヴァン・ヘイレンが来日した際の兄弟のインタビューでは、母親がインドネシア人であるがためにオランダの小さな町でいじめにあったこと、同じアジアの日本人に親しみを感じると話していたことが印象深かった。

バンド、「ヴァン・ヘイレン」の素晴らしさ

ヴァン・ヘイレンの初期メンバーはエディ(ギター)、アレックス(ドラムス)、デイヴィッド・リー・ロス(ヴォーカル)、マイケル・アンソニー(ベース)の4人だ。
アレックスとアンソニーの高い技術と安定したリズム隊の音の上で、子供のように自由に跳ね回ってプレイしていたのがエディ。

私もヴァン・ヘイレンを観に行ったことがありますが、エディはよく走りまわるし、本当にステージ上で楽しそうな上に、上手すぎて簡単そうに聴こえてしまうレベルのプレイだった。
そしてフロントマンであるデイヴィッド・リー・ロスのショーマンシップも素晴らしく、その派手なパフォーマンスとショウマンとしてのクオリティの高さは、後に彼が作ったデイヴィッド・リー・ロスバンドで最高潮となって観ることができる。
ヴァン・ヘイレンで彼のヴォーカルを支えていたのが、マイケルとエディの素晴らしくレベルの高いコーラスだ。
エディのプレイだけがヴァン・ヘイレンの素晴らしさではない。4つの素晴らしい才能が偶然あわさって出来上がったのが、ヴァン・ヘイレンだ。

ハードロックへの壁を低くしたエディの貢献度

先ほども述べた通り、エディがマイケル・ジャクソンの「今夜はビート・イット」でソロパートをプレイし、同時期に発売されたヴァン・ヘイレンのアルバム「1984」からのヒットの連発で、1984年のビルボート・ホット100はエディのプレイであふれかえることになった。
マイケル・ジャクソンの楽曲でのプレイが、明らかにハードロックへの壁を低くした。そのエディの貢献度は、本人が意図したものではなかったとしても大きい。

そしてアルバム「1984」のファースト・シングル「ジャンプ」では、エディのプレイするシンセサイザーで始まり、その聞きやすさも時代にマッチしたものだった。「ジャンプ」はビルボート・ホット100で一位を獲得した。
さらに子供だった私が度肝を抜かれたのが、「ホット・フォー・ティーチャー」をシングル・カットしたことだった。あのアレックスのドラムスとエディのプレイが米軍放送で流れまくり、私のメタル魂の炎の導火線へ火をつけたことは間違いない。

故郷オランダの教会の鐘で追悼

エディがいなくなってから、たくさんの追悼文を読んだ。そして彼の人柄とそのプレイが、どれだけ多くの人々に愛されていたのかを改めて知った。

彼のプレイスタイルが、数々のロック・ギターリストたちに与えた影響は計り知れない。

先日、彼の故郷オランダで最も高い塔をもつ教会の鐘で、ヴァン・ヘイレンの曲が3曲追悼演奏された。
アルバム『1984』から『5150』世代の私にドンピシャな3曲の選択、誰が決めたのかわからなかったが、大きなヴァン・ヘイレン愛を感じた。

そしてこの鐘の音を聴いて、初めて彼が天国に行ったという実感がわいたのだった。

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