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2019.11.10:フリーペーパーVol.44発刊!

障害者就労できる農園 エスプールプラスの仕組みとは!?

合法かつ、斬新な仕組みで障害者雇用の促進に貢献するビジネスモデル

私が事務所を構える埼玉県さいたま市に、障害者雇用を目的とした大規模な農園が創設されたというニュースが報道されました。

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エスプールプラス(東京・千代田)は、障害者の就労を目的とした企業向け貸農園「わーくはぴねす農園 さいたま岩槻」(さいたま市)の運営を本格的に始めた。契約先の企業が雇う知的・精神障害者に農作業の場を提供する。

同農園では、さいたま市在住者を中心に100人を超える障害者が働く予定。埼玉県内に支店を持つ企業など17社がそれぞれ雇う。 (引用: 2019/10/31 日本経済新聞)
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この農園の仕組みは、運営主のエスプールプラス社が直接雇用する障害者が働くのではなく、エスプールプラス社と契約する様々な企業に雇用される障害者がここに集まり、農作業に従事するということです。

労働者派遣法のコンプライアンスはOK

私は、このニュースを見たとき、斬新な取組であるとは思ったものの、最初、労働者派遣法に違反するのでは無いかという懸念を持ちました。

しかし、ニュースを詳しく読むと、合法的な形で仕組みが作られていることが分かり、安心しました。

具体的には、エスプールプラス社が、他の企業から集まってきた障害者に指示を出して農作業を行ってもらうということではなく、エスプールプラス社は、「農園の貸し手」としての役割にとどまり、契約する各企業に農場の区画を割り当てるとともに、設備や栽培の管理を行います。

エスプールプラス社と契約する企業は、農場長として管理者となる社員を自社から任命し、その農場長の指揮命令のもと、自社で雇用する障害者の方に農作業を行ってもらうという形になります。

このように、エスプールプラス社が直接、契約企業の障害者の方を指揮命令しないような仕組みになっているので、労働者派遣法に違反することはありません。

障害者雇用促進法の潜脱では!?

次に、私が懸念を持ったのは、この農園の仕組みが障害者雇用促進法の潜脱ではないかということです。

障害者雇用促進法では、民間企業に2.2%以上の障害者雇用義務を課しています。すなわち、社員48名あたり、1人の障害者雇用義務があるということです。

そのような前提がある中、法律上の義務をクリアするため、形の上だけ障害者の方と雇用契約を結び、実際にはエスプールプラス社の農園で農作業に従事させるというような形をとることは、一見、障害者雇用義務を実質的に放棄しているようにも考えられます。

しかし、私自身は、冷静に考えると、このような障害者雇用の形も、法的にはもちろんのこと、社会正義に反しているようなものではないと思いました。

と言いますのも、実務上は様々な事情があり、全ての企業が、障害者の方が生き生きと働く場を独自に提供することができるわけではありません。

無理やり仕事を作り出して、働く喜びを感じられない仕事に障害者の方が従事したり、社内で充分なサポートを受けられずに出社するだけで放置をされてしまうのは望ましいことではありません。あるいは、障害者の方を雇用することを断念し、反則金の納付で済ませている企業も少なくはないというのが実情です。

そうであるならば、社外の働き甲斐を感じられる場所で、障害者の方の就労を支援することは、決して悪いこととは言えないのではないでしょうか。

まとめ

障害者の方の社会参加は年々進んでいるものの、まだまだ充分ではありません。昨年は、中央官庁の障害者雇用数の水増しも大きな社会問題となりました。

様々な形でビジネスモデルをつくり、障害者の方の社会参加を促進していくことは、とても重要なことだと思います。今回の記事で取り上げた、エスプールプラス社の農園のような、新しい障害者雇用のビジネスモデルが、他の産業分野においても次々と誕生していくことが、障害者雇用をさらに促進していくのではないでしょうか。

 

プロフィール

榊 裕葵(ポライト社会保険労務士法人代表)

大学卒業後、製造業の会社の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。その後、社会保険労務士として独立し、個人事務所を経てポライト社会保険労務士法人に改組。マネージングパートナーに就任。勤務時代の経験も生かしながら、経営全般の分かる社労士として、顧問先の支援や執筆活動に従事している。また、近年は人事労務freee、SmartHR、KING OF TIMEなどHRテクノロジーの普及にも努めている。

主な寄稿先:東洋経済オンライン、シェアーズ・カフェオンライン、創業手帳Web、打刻ファースト、起業サプリジャーナルなど

著書:「日本一わかりやすいHRテクノロジー活用の教科書」

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