文理系クラブの甲子園
アマチュア無線のコンテストは、定められた時間内にどれだけ多くの無線局と交信できるかを競う「競技」です。夏休み中の8月最初の土日にあるフィールドデーコンテストは屋外競技のない中高文理系クラブのなかにあって、ARDFと並ぶ屋外競技で「文理系クラブの甲子園」と言えるコンテストです。試合時間が18時間と長いのと、参加者が老若男女、団体、個人を問わないバトルロイヤルである点は純然たる甲子園とは言い切れませんが。
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今年もフィールドデーコンテストに参加してまいりました。交信していただいた各局ありがとうございました!ブログ記事も合わせてご覧ください。 pic.twitter.com/efs9mT9nsx— 名古屋大学アマチュア無線研究会 (@ja2yka) 2019年8月9日
許可の下りない合宿試合
顧問教師も何らかの無線免許を持っていて、若干たりともコンテストに関する知識があって…と言う場合は泊まりがけの合宿試合にも比較的簡単に許可が出たり、資材運搬用にマイカーを提供してくれたりしてくれました。
でも、免許もなければ興味もない最悪の教師が顧問だったりすると、必要最低限の校外合宿(キャンプ)の許可が下りなくて、せめてもの抵抗で校庭の隅に運動会用のテントを張ってアンテナユニットを4階屋上からおろして、グラウンドの真ん中に置いて移動局を名乗ったり。
電源とトイレが確保できるので便利ではありましたが…あとで体育教師に呼び出されたり、近所の局からは不正だとクレームが入ったり結構大変でした。
結局高校3年間で合宿試合参加が認められたのは1年生のときだけ。
プロジェクトX
卒業して大学にクラブもサークルもなかったため、同じ学校に進んだ元部員と学校で知り合ったライセンス持ち数人で倒産防止プロジェクトチームのようなサークルを立ち上げてサポートをしました。
工業系を除いてとにかくどこの学校も何かやらないと部員不足で即倒産という状態で、それは他校出身のメンバーにも言える深刻な問題でした。
人手不足解消のため「多校」合同移動展示運用や国家試験免除の養成講習会の誘致運営など自分たちの授業や勉強を放り出しての東奔西走。
時間は風のように通り過ぎ、最初の夏。
人手不足
メインの高校生の数が揃いきらず、3校合同チームで乗り切るという変則参加でしたが、このような形態の参加は私達も初めて。免許を取ったばかりの高校生たちには何がなにやらの状態でした。
アマチュア無線は、試験に合格する→無線従事者免許を取得→無線機を買う→無線局免許を申請。局免許取得ですからコールサインがまだないという部員が多く、開局後の「初鳴き」に備えるトレーニングのためにクラブ局は存在すると言っても間違いではないのですが、マイクを握らせると、途端にシャイになって喋れない、喋らない。
ここで挫折されて「やめた」と言われても困るので、まずニューカマーにはバーベキューの支度をしてもらい、飲ませ(もちろんコーラですよコーラ)、食わせる作戦で緊張を解いてもらうことにしました。
合同といってもなにもかも共用では後で問題になりかねないので、発電機からアンテナまで各校持ち寄り。とはいえ学校備品はコードリールくらいであとは発電機から無線機、アンテナに至るまでOBの個人装備でした。
このとき行ったのはいつ行っても車がいないお寺の駐車場でしたが、さすがに個人装備のアンテナユニットが3基並ぶと壮観、てか邪魔。
そこで駐車場外の桜並木にアンテナの位置を後退させ、一般車が利用できるようにしました。
ハローCQ!
コンテストのとき一番活躍するのがモーター回転式短波アンテナですが、異様に大きいため家の屋根の上にあっても家族から邪魔にされるのに、それが公共の場にあったら、それも3基も。
邪魔ですよね。
一般の人と折り合いをつけながら、この大きなアンテナを建てるのってコンテスト以上に難しいかもしれません。
朝7時に設営を開始して途中のバーベキューもそこそこに働いて、試験電波が出せるようになって高校生たちにバトンタッチできたのが11時55分。ダンボールに書いたカンペを見せながら第一声、「ハローCQコンテスト!」長い長い18時間の始まりです。