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2019.09.10:フリーペーパーVol.42発刊!

社労士が説明する「障害者雇用と『同一労働・同一賃金』の原則」

単に「障害者だから」という理由だけで賃金差別は許されません!

働き方改革法の施行により、大企業では2020年4月1日から、中小企業では2021年4月1日から、「同一労働・同一賃金」が適用開始となります。

「同一労働・同一賃金」とは

同一労働・同一賃金とは、「同じ仕事をしていて、責任の重さも同じなのに、正社員と契約社員といった雇用形態の違いだけで、賃金等の待遇において差別をしてはならない」という考え方です。

これまでは、「そりゃ、そういうもんだろう」ということで、何となく「正社員は賞与ありだが、契約社員は賞与なし」とか、「正社員は定期昇給があるが、契約社員は昇給なし」といった扱いが社会通念上も許されてきました。しかし、同一労働・同一賃金の法改正の施行後は、理由のない賃金差別は許されないということになります。

たとえば、飲食店で、正社員と契約社員が同じように調理や接客を行っていたとします。この場合、原則として正社員と契約社員で賃金の差別を行ってはなりません。時給制のパート社員であっても、同等の能力や勤続年数の正社員の月給を時給換算した場合とイコールの水準となる時給でなければならないのです。

もし、正社員と契約社員で賃金に差を設けるのであれば、そこには明確な理由が存在しなければなりません。

たとえば、「正社員はお客様からクレームがあったときに矢面に立って対応しなければならないが、契約社員は正社員に報告をすればよい」とか「正社員は売上目標やお客様満足度の数字の達成責任を負っていて未達成の場合は人事考課に影響があるが、契約社員は特段マイナス査定の影響はない」といったように、業務範囲や責任の重さに違いがある場合に、はじめて賃金の差も許されるということです。

障害者雇用と「同一労働・同一賃金」

このような「同一労働・同一賃金」の考え方は、障害者の雇用にも当然、適用されます。

従来は、「障害者だから健常者よりも賃金は低くても許される」といったことが、社会通念上も、何となく許されていた風潮があったと思います。

しかし、「同一労働・同一賃金」が適用されると、単に「障害者だから」という理由だけで賃金差別をすることは許されません。

当該障害者の方の業務量や、責任の範囲などが、健常者の方とは異なっている場合に、はじめて、賃金の差を設けることが許されます。

例を挙げれば、身体障害者の方が製造業で働いていて、同じ作業をしている健常者の方よりもどうしてもペースがゆっくりになってしまうとか、知的障害者の方が事務職に就いていて任せられる作業の範囲が限られるといったケースでは、賃金差を設けることは許されます。

しかし、身体障害者の方がデザインを考えたり企画を立案する仕事に就いていて、会社から求められるアウトプットは健常者と同じで、障害があることが仕事のパフォーマンスに何ら影響を与えていないといった場合は、健常者の方と同じ賃金を支払う必要があります。

まとめ

同一労働・同一賃金の法改正を機に、「障害者雇用」をひとくくりに考えるのではなく、様々な個性を持った障害者の方がいることに、しっかりと目を向けていかなければなりません。

まず、健常者と遜色ないパフォーマンスを発揮している障害者の方については健常者と同等の賃金を支払うことは当然です。そして、障害によってパフォーマンスが制限されてしまう障害者の方についても、「とりあえず最低賃金を支払えばよい」というような乱暴な賃金の決め方ではなく、その方のパフォーマンスが健常者の方の何パーセントくらいなのかをしっかりと把握して、パフォーマンスに見合った割合の賃金を支払わなければならないという認識を、企業経営者や人事責任者は持つ必要があるのです。

 

プロフィール

榊 裕葵(ポライト社会保険労務士法人代表)

大学卒業後、製造業の会社の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。その後、社会保険労務士として独立し、個人事務所を経てポライト社会保険労務士法人に改組。マネージングパートナーに就任。勤務時代の経験も生かしながら、経営全般の分かる社労士として、顧問先の支援や執筆活動に従事している。また、近年は人事労務freee、SmartHR、KING OF TIMEなどHRテクノロジーの普及にも努めている。

主な寄稿先:東洋経済オンライン、シェアーズ・カフェオンライン、創業手帳Web、打刻ファースト、起業サプリジャーナルなど

著書:「日本一わかりやすいHRテクノロジー活用の教科書」

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