心温まるマイナーなグリム童話3選
皆さんは「グリム童話」をご存知ですか?
「シンデレラ」や「ヘンゼルとグレーテル」は、グリム兄弟の書いたどなたでも楽しめる勉強にも用いられた世界で有名な作品です。グリム童話は他に約200ものタイトルがあり、まだ馴染みのない心打たれる物語が沢山眠っております。
そこで今回、「グリム童話」の中から、あまり知らされていない3つのグリム作品を紹介したいと思います。この記事を読むことにより、グリム兄弟の心温まる思いをさらに感じられることとなります。
グリム童話の3つの物語
グリム童話にはあまり知らされていない色々な作品がありますが、その中から私が薦める面白い3つの作品を紹介します。
土まんじゅう
ある家に、自分の死を間近に感じているお金持ちがおりました。ある日、貧しい人が金持ちの家へ訪れ、麦を4袋貸して下さるようお願いされると、金持ちは「8袋あげる代わりに、私の死後に3日3晩墓守をしてくれ」とお願いしたのです。
金持ちの死後、貧しい人が金持ちの墓を3日3晩守る最後の3日目の夜、墓の近くで休んでいた元兵士がいたので墓守のことを話し、一緒に墓の番をすることとなりました。
二人が墓を守っていると何と、墓の前に悪魔が現れ「一袋の金貨をやるからそこどけ!」と言いました。しかし兵士は、「俺の乗馬靴一杯分くれたらどいてやる!」と言い、悪魔は仕方なく靴一杯分の金貨を取りに行ったのです。
悪魔が取りに行っている間、兵士は靴の底に穴を開け、墓近くにある小さな穴の上に靴を置きました。悪魔が戻り、靴に金貨を入れましたが金貨は靴底の穴から地面の穴へと入っていき、靴いっぱいにはなりませんでした。
悪魔が何回も金貨を持ってきて靴の中に入れましたが、靴いっぱいにならなかったので悪魔が感づき靴を取ろうとしたところ、ちょうど朝日が登ってきたので、悪魔は大きな悲鳴をあげて何処かへ消えてしまったのです。
その後、大量の金貨は貧しい人々に分け与えられ、兵士と貧しい人は一緒に幸せに暮らしたのでした。
勇敢さと知恵を使った悪魔との取引が実に面白いでした。兵士に出会った貧しい人の運も素敵で、出会わなかったことを考えるとゾッとします。
グリム名作劇場。どまんじゅうの話が大好きだった。 #このアニメ覚えてる人or知ってる人はRT
— ジョセフ (@bluco53) March 9, 2012
どまんじゅうは、グリム童話で覚えた言葉だ。懐かしーい。
— さんちょす (@gutwelt_tag) June 16, 2012
グリム童話のどまんじゅうって話が異様に好きだった
— ミヤ (@miya_ok) April 18, 2014
鉄のハンス
ある城に、わがままな王子がおり、召使に偉そうな態度を取っていました。ある日、遊んでいたボールが「鉄のハンス」と呼ばれた大きな山男のいる牢獄の中へと転がって行ったのです。牢の鍵を開けてボールを取りましたが、鉄のハンスは脱走して森へと逃げてしまったのです。
追いかけたところ、鉄のハンスは牢から出してくれたお礼として、「お前は口先だけで一人では何もできない。王子の身分を捨て自分の力で幸せを見つけるんだ!」と教えたのでした。それを聞いた王子は一人で生きていくことを決心し、国を出たのです。
大きな町に差し掛かった王子はお腹を空かせていたので、町の人に「食事をくれ!」と言ったところ、町人は「生意気なやつだ、飯が食いたけりゃ仕事をするんだな!」と怒りました。
王子は早速、城へと行ってコックの見習いとして働きましたが、仕事ができずに庭師の仕事へまわされたのです。庭で掃除をしていると、城の窓際にいる姫から「そこに咲いている花を持ってきてくれませんか?」と頼まれたので、花を持って姫に渡しました。
時が経つと、国で戦争が起こり、町の人々が逃げていく姿を見た王子は「何で、みんな自分の国を守ろうとしないのだろう」と嘆き、森にいる鉄のハンスから数十人の兵士を借りたのです。王子はその兵士を従がわせ、見事、敵を倒したのでした。
礼を言いたい王様に呼ばれた王子は凛々しい顔立ちとなっており、「どこかの王子であろう」と聞きかれると「いいえ、私はここの庭師です」と誠実に答えました。それを聞いていた姫が「あの花の人だわ!」と思い出し、王子と姫は結婚をすることとなったのです。王子は心の中で「鉄のハンスありがとう、自分の力で幸せを見つけたよ!」と言ったのでした。
他力本願から、決意に屈しない精神や人を愛おしむ心へ変化となった王子の言動に心を打たれました。読み終わった後に「自分も頑張らないと…」と、自分へのコンプレックスを感じてきます。
童話・・・どうわ・・・ど・・・うわ・・・!? グリム童話系がすきなのよね・・・なんていったっけ、鉄のハンスってやつだったかな・・・
— 高瀬 (@takase_pixiv) October 17, 2012
「鉄のハンス」がまた読みたくて読みたくて、いつでも手軽に読めるように「おはなしのろうそく20」を買った。グリム童話の中で特に好きな作品のひとつ。
— ゆずり (@storyholic) August 1, 2010
グリム童話(KHM136) 『鉄のハンス』 内在する強い道徳性、共感性https://t.co/q3kiUN781G
— かがり’s Diary~ (@ohanasi_sansaku) April 18, 2017
森のなかのばあさん
ある森で、ある金持ち一家が旅をしていました。そこに突然、山賊が現れ、殆どの一家を皆殺しにし財宝を奪って逃げて行き、唯一残された女中は、帰り道を探すこととなりました。
女中が木の下で休んでいたところ、金の鍵を咥えた一羽の鳩が降りてきて「あの木にある錠前を外して下さい」と言いました。錠前を開けたところ、何と食べ物と服とベッドが出てきたので、そこで眠ることにしました。
朝を迎えると、鳩があることを頼んできました。「向こうの小屋の中にある、無知の指輪を取ってきて下さい。その中では決して、一言でも喋ったりキラキラ光る指輪に触ったりしないように」と。
早速、小屋へと行き中へと入ると、おばあさんが「こんにちわ」と言ってきました。女中は何も言わずに奥へ行こうとしたところ、「私の家で勝手なことはさせない」とおばあさんは怒り狂い、魔物を呼び出して女中を殺すよう指示したのでした。
悲鳴をこらえながら魔物から逃げ、無知の指輪を探していると、指輪のある部屋を見つけました。部屋にはキラキラ光る指輪がたくさんありましたが、無知の指輪は見当たりません。
近くにある鳥かごに目をやったとき、おばあさんはそれを取って逃げようとしたので、女中はそれを追いかけて奪い取ると、何と、その中の鳥が無知の指輪を咥えていたのです。
急いで指輪を持って帰ると、不思議なことにあの鳩やあたりの木が人の姿になり、鳩の姿をしていた男が「魔女から指輪を奪ってきてくれてありがとう!おかげで王子へと戻ることができました」と感謝を述べて女中を城へ招き、二人は結婚したのでした。
女中が鳩の恩を命がけで返す姿に、人を尊う心を感じました。女中の勇敢さや何事にも逃げない強い心が素敵ですね。
アーサー・ラッカム(『森のなかのばあさん』より) 継母に追われた娘が森をさまよっていると、娘は鳩に助けられ、その恩返しに、森のおばあさん(魔女)から魔法を奪う。森の木は魔法が解かれ、王子になった。pic.twitter.com/OWmhPt4Kyp
— おとぎと挿絵 (@otogi_art) June 28, 2019
あとがき
グリム童話は老若男女問わず、世界中の人々が読まれるほどかなり面白く勉強にもなる作品です。感情的言動や他力本願など、幼少期から持つ未熟な心から大人へ成長させたいグリム兄弟の願いが込められています。
私自身も幼少時代にこの本を読んでから、他人から何かされないと生きていられない人生は嫌と思うようになりました。今でも、他人から何かをしてもらう時は、無理だと思わずに自分自身が一生懸命行った後に頼むことにしています。やっぱり、グリム童話は良いですね。