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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

英検準1の僕が大学入学共通テスト英語民間資格活用を語る

大学入学共通テスト【新テスト】英語の民間資格が8種類もあるのに公平なの?

1990年(平成2年)1月に第1回が実施された大学入試センター試験は、2020年(令和2年)1月実施の2019年度試験を最後に、廃止されます。

そして2020年度の大学入試つまり2021年1月からの大学入試で「大学入学共通テスト」が開始されることになりました。

現在のセンター試験からの大きな変更点は、英語の受験において民間の英語資格を活用することです。

「読む」「書く」「聴く」「話す」4技能を評価する指標として、民間の団体が実施する試験を利用するのは悪いアイデアではないと思いますが、いくつもの試験が乱立するなかで本当に受験生への公平性を保ち、彼らの英語力4技能を的確にはかることはできるのでしょうか?

英語民間資格

大学入学共通テスト民間資格活用とは、一定の評価が定着している複数の資格・検定試験を英語4技能の評価基準とするもので、現在すでに多くの英語資格が認可を受けています。日本で従来から最も一般的な英語検定として知られてきた英検などを中心に、参加要件を満たすものとして2018年3月末の最終結果に残った英語資格は8種類。しかしその後7月2日、国際ビジネスコミュニケーション協会は、運営する「TOEIC」(トーイック)の参加を取り下げると発表しました。現在残っている英語資格は7種類となります。

民間英語資格7種類

・ケンブリッジ英語検定
・TOEFL iBTテスト
※・TOEIC® Listening & Reading TestおよびTOEIC® Speaking & Writing Tests(運営母体の国際ビジネスコミュニケーション協会が大学入学共通テスト英語からの撤退を発表)
・GTEC(Advanced、Basic、Core、CBT)(株式会社ベネッセコーポレーション)
・Test of English for Academic Purposes(TEAP)
・Test of English for Academic Purposes Computer Based Test)(TEAP CBT)
・実用英語検定(英検、1級(対象:「公開会場実施」)
/準1級(対象:「公開会場実施」・「1日完結型」)
/2級(対象:「公開会場実施」・「1日完結型」・「4技能CBT」)
/準2級(対象:「公開会場実施」・「1日完結型」・「4技能CBT」)
/3級(対象:「公開会場実施」・「1日完結型」・「4技能CBT」))
・International English Language Testing System(IELTS)(対象:「アカデミック・モジュール」) (ブリティッシュ・カウンシル)

地方の資格試験事情

受験生に、学力以外の面で不都合を強いたり、居住地の規模によって試験に有利不利があってはなりません。

各都道府県の主要市町村まで受験会場が設置されている条件で適当な資格検定を選ぶなら、事実上、実用英語技能検定以外の運用には難しいものがあるかもしれません。

一旦は決定していたTOEICでさえ、受験会場に関しては地方では県庁所在地に1ないし2カ所だけようやくあるといった現状です。移動距離も短く隣接している便利なはずの都心部だけで6カ所以上あったり、東京にいたっては22カ所もの受験会場が設置されているという状況です。

東京は単に人口が多いという事情もあるでしょうが、九州南部の小さな地方では、受験会場への移動手段の不足、スコアアップにつなげるための学習手段の選択肢の少なさ、受験に必要な書籍を購入するための書店の不足など、不都合を強いられることにはうんざりさせられるほど思い知らされています。

試験ごとに異なる特徴

新しい制度では、主に高校生や浪人生、18〜20歳ぐらいの受験生が、指定された資格を英語の判定資料として受験し、その結果を大学入試センターに申告します。

その資格は、受験生により異なる試験を選ぶ可能性も含みながら、英語という同一試験の判定材料として利用されます。資格の内容も活用目的も異なる7種の民間検定が、目盛りの等しい大学受験英語1つの物差しとして、活用されることが可能なのでしょうか。

この受験制度は、同一人物が受験したのであれば、どの資格を選んだとしても、大学受験に変換された後の英語力の判定結果は同じものが出ることを保証したものになっているはずだからです。

小さな違いが大きな結果の差に

英検などのメジャーな検定だけで、すべての受験生がある程度の高い成績を残せるなら、その結果を共通テストの結果として使えばいいでしょう。その場合、不公平は生まれづらいのかもしれません。

数年の間は試用期間のようになる

しかし、東京を始めとする都市部に居住するということは、その事実だけでも地方の受験生より多くの機会に恵まれていることを示しています。それだけでも、公平性という点はすでに守られていないでしょう。「まったく受験できない」と「1回でも受験できる」の間には、もはや公平性など存在しません。おそらく、大学入学共通テストの英語については、不満の伴う不公平な事例が、数年にわたって発生するのではないでしょうか。

実際に受験したのか?

文科省は公平な試験を行うと謳っていますが、選定に合格した英語民間資格を自分自身で実際にすべて受験し、身をもって内容を確認している職員が、一人でもいたのでしょうか?

試験の実施団体である各試験機構にしてみれば、彼らは民間の法人ですから、収益を考えずに試験を実施することははじめからありえません。

受験生の側に立ってみれば、家庭によって経済力に差があるのは当たり前ですし、試験の活用ルールを「地方の」「経済的に苦しい」家庭に合わせるというのも政府の勝手な妥協案でもあります。

経済的に余裕のある家庭の子どもが、その家庭の経済力の範囲で受験機会を活用することにも、何ら問題はないはずです。

文科省は、これから始まる制度が不公平な受験にならないという検証を、試験を経験していくことで何度でも繰り返さなければなりません。

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