月収1万5000円の就労継続支援B型事業所とは
雇用契約を結ばず働いている方が、日本には約25万人います。この方々の平成28年度の平均月収は1万5295円。この方々といいながら、わたしもその中のひとりです。
”障害者の働く” を支える場所のひとつ「就労継続支援B型事業所(以下B型事業所)」は、雇用契約はしません。利用という形での契約となります。就労訓練という意味合いが強いからでしょう。
平成30年4月、国による障害福祉サービス事業に関する報酬改定が行われました。この改定はB型事業所には厳しいものとなり、改定後、約6割の事業所が減収となっています。
B型事業所の利用者のひとりとして、今回の報酬改定について、B型事業所のあり方についてなど、当事者目線で書いていければと思っています。
B型事業所で働くということ
正直きついですよ、お金に関しては。わたしは実家暮らしなので、何とか工賃と障害年金で暮らしていけますが、まぁ厳しいものがあります。
重い障害のある方や継続的に仕事を行うことが困難な方が、B型事業所を選んで働いているイメージがあります。わたしも障害の特性上、今までは長期的な休みをとりがちだったことがB型を選択したひとつの理由です。
B型事業所では、利用者が継続的に職場に来られることが1番大切なことだとわたしは思っています。また、自信をつけ、仕事としてできることを増やしていく場であることも重要なのではないかと思います。
報酬改定について
報酬改定があったことは知っていました。今回の改定で、わたしが働いている事業所の収入がどうであったか、とても興味深い事柄ではありましたが、そこのところは聞けずにいます。
ざっくりいうと、B型事業所では、工賃の高い事業所ほど高い報酬を得られるしくみが新たに組み込まれたようです。このしくみを取り入れたことで、全体の6割が減収になったとのこと。制度に振り回される福祉業界の悪い面が、今回の報酬改定では出てしまったのかなと思いました。
バランス感覚が重要なB型事業所
工賃が高くないと報酬が減額されるからといって経営にばかり偏った運営は、利用者をないがしろにする可能性があります。反対に、利用者の居心地の良さばかりを考えた運営は、工賃低下、仕事の質の低下を生み出してしまうでしょう。
ならどうしたらいいか…
・仕事中心のセクションと、居場所という意味合いを強くしたセクション、その中間のセクションと3つに分ける
・単価が高く、それでいて障害者だからこそ追求できる仕事に特化する
・スタッフの割合は、福祉分野専門・経営分野専門・未経験者の偏りをなくす
・ある意味、変わった事業所を目指す
・経営者・スタッフ・利用者の風通しを良くする
・興味を持って、楽しく仕事ができる
バランス感覚に優れた事業所にすることが、利用者にも、スタッフにも、経営者にも、国にもメリットがあると思います。
”障害者の働く”を考えると、問題山積です。B型事業所はその中でも、難しい位置にあると思います。だからこそ、B型事業所をどうするかという問題をブレイクスルーしていくことが、多くの問題の風穴をあけることになるでしょう。