岡山県倉敷市の就労継続支援A型事業所5ヵ所が7月末で閉鎖され、これらの事業所と雇用契約を結んでいた障害者223名と職員49名が解雇されました。
経営不振を理由に一般社団法人「あじさいの輪」と株式会社「あじさいの友」が閉鎖した事業所は、パンなどの食品製造や食品包装材加工、ダイレクトメールの封入などの軽作業を中心に行っていたようです。7月28日(金)現在、まだ18名しか再就職先が決まっていません。事業所の事情で解雇されてしまった皆さんの安心して働ける新たな職場が全員に確保されているわけではありません。
A型事業所の数が急増、でも…。
2012年に707ヵ所だった就労継続支援A型事業所が、2017年3月時点で3,596ヵ所に(厚生労働省調べ)と、5年間で約5倍に増えています。
利用する立場からすると、事業所が増えることで単純に選択肢が増えるように感じますが、個人的には、魅力的な職場は少ないという印象があります。同じような職種の事業所が多すぎるという感覚も。
障害者だからこれくらいの仕事しかできないだろうとか、支援もしないといけないから仕事内容を工夫するのはちょっと難しいとか、福祉の現場しか知らないからどんな仕事をすればいいのか分からないとか…。働きたいと思うような職場が少ないのは、このような理由からかもしれないと、考えることがあります。
本当に経営努力をしないと生き残れない時代に。
障害者が働いています、だから…的な内容を全面にうたっている事業所が今だ多いことに違和感を感じています。それと、本当にメンバーに賃金払う気があるの…この仕事内容で、と思うこともあります。
現在、様々な理由でなかなか企業などで働くことが難しい方が在籍しているA型事業所。
しかし、社会的に適応することだけが正しい訳ではないと思いますし、障害個性を持っているからこその経験や強みをメンバーたちは持っています。そこを強みに仕事を生み出すことは可能です。
誰にでもできる仕事を障害者に。単価が安くすむから障害者に…。
こんな仕事だけを請け負っていては、利益は上がらないですし、メンバーの賃金を払うのも難しくなるでしょう。スタッフの賃金も同様に。
事業所が傾いてしまうのは目に見えています。経営がうまくいっていない事業所は、2017年3月末までは、賃金を給付金から払っていたところもあったのではないでしょうか。
「就労継続支援A型の運用の見直し」が事業所閉鎖のきっかけでは。
障害者総合支援法の一部改正「指定就労継続支援A型における適正な運用に向けた指定基準の見直し」によって、賃金を自立支援給付費や特定求職者雇用開発助成金などの給付金から支払うことが原則禁止となりました。
この見直しによって、賃金が払えない状況に陥った事業所は1つではないと思います。自治体の監査の目はより厳しくなり、単純に利益を得られなければ、事業所の継続は自ずと難しくなっていきます。
今回の倉敷の事例のように、三桁の解雇は今までなかったとのことです。また、倉敷に続き、香川県高松市でも2ヵ所の事業所が閉鎖され、59名の障害者が解雇されました。倉敷・高松合わせて282名の大量解雇。
福祉とビジネスのバランスは難しいと思いますが、A型事業所を運営される方々には、より工夫した経営をお願いしたいです。雇用しているメンバーとの対話も大切にしてください。
A型、B型、就労移行支援事業所など、私を含め、障害者が働く場所を提供していただいていることにはとても感謝しています。しかし、今のままでは、この制度自体に無理がくるのではないかと感じています。厚生労働省、地方自治体、事業所の運営者、相談支援専門員、当事者はもちろん、現在この事業に関わっていない方も含め、様々な立場の方々の知恵を集結して、障害者のより良い働き方の形を新たに作っていくことが必要だと考えます。
今後、このような大量解雇がニュースを賑わすことがないように…。
http://www.sanyonews.jp/article/567114
via:山陽新聞デジタル
https://mainichi.jp/articles/20170725/ddl/k33/040/547000c
via:毎日新聞
http://www.pref.okayama.jp/page/517377.html
via:岡山県
http://zen-a.net/