近年、幼児虐待事件が増えています。2015年度に児童相談所が対応した児童虐待数は前年度比の16.1%増の10万3260件だったと発表されました。

そんな児童虐待・育児放棄事件を題材にした映画があります。2013年に公開された「子宮に沈める」。この映画は2010年に実際起きた大阪2児餓死事件をもとに制作されています。

2006年にも似たような、苫小牧 幼児放置虐待死体遺棄事件が起きていますが、年々増え続ける育児放棄の根本にあるものとは?

オレンジリボン推薦映画「小さな命を闇に閉じ込めたのは、誰なのか?」実在の育児放棄事件を基に、家庭の密室を描いた社会派フィクション映画

私は先日この映画をレンタルビデオ店で借りて家で観ていたのですが、非常に残虐で、悲しくなり鑑賞中は涙が止まりませんでした。衝撃的なタイトルについジャケットを手にとったことのある方も多いのではないでしょうか。ただ、他人事ではない、そう心から感じました。

この映画の舞台となった母は、父親・本人・姉弟の4人で暮らしていました。しかし父親とは離婚し、シングルマザーで子供たちを一生懸命育てていました。しかしある日、母親の友人が家へ遊びに来たことで母親の心境が変わります。

母親は夜の仕事へ行き、帰ってくるのは深夜という日が続きます。服装もだんだん派手になり、自宅に男性を招き入れ、部屋は散らかり、母親らしい生活が出来ていない状況でした。

ある日、「何が食べたい?」と聞く母親に対し娘は「オムライスが食べたい」と言います。しかし出てきたのは、尋常ではないほどの大量のチャーハン。

チャーハンを出し母親は出て行ってしまいました。

娘と息子が家の中で二人きりになり、息子が泣くと娘があやします。ミルクを作ろうと、水と粉ミルクを溶かした冷たいミルクを息子に飲ませますが、いつしか息子も動かなくなります。娘も大量のチャーハンを食べていましたが、次第に食料もなくなりシンクの上にあったパイナップルの缶詰を見つけ包丁で必死に開け汁を飲んでいました。

冷蔵庫をあさりマヨネーズを舐め飢えをしのぐ娘。しかし、母親が帰ってくると「ママ、遅いよ」と嬉しそうに言うのです。

子どもは自分の親が大好きなもの。いくら帰りが遅かろうが、疑うことなく嬉しそうに駆け寄り甘えたくなるもの。そんな子どもに対し虐待や育児放置にまで追い詰められた母親の心境を痛々しく描いた作品です。

この映画を見ていて、母親に腹が立ったのはもちろんなのですが、母親の周りにも相談する相手が必要だったのだろうと思いました。孤独であった母の闇は想像はるかに超えるものなのかもしれません。

正直、映画を見たあとは精神的ダメージが大きいのは確かですが、子ども達の悲痛な声、母親の心の叫びは無視できません。

全国的に相談件数も増えてきているネグレクト(育児放棄)や児童虐待、他人事ではないと考えさせられる映画です。

「子育ては女の手ひとつで」そんな言葉や「母性本能・母性神話」という言葉に苦しめられている母親は多いもの。「良き母を演じることに疲れた」普通にいる母親の孤独を描いた見て見ぬふりはできない作品です。