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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

「無性愛」アセクシュアル・アロマンティックという生き方

恋愛感情の存在しない愛の姿「アセクシュアル・アロマンティック」

性が男と女だけに限定されるものではないように、性的嗜好についても他人が他人について一方向的に決めつけることなどできません。したい、したくない、だけでなく、そもそも「セックスが要らない」人だっています。「セクシュアル」を反意語化する「ア」を接頭した ”asexual” と、「ロマンティック」を反意語化した “aromantic” の存在が、彼らを産み出しました。人生からセックスを拒絶し、排除した人、そして、異性は好きだしセックスも好きだけど、恋愛感情は伴わない人たちの心について考えます。

性の概念を愛に含まないアセクシャル

異性の2人が仲睦まじく顔を寄せ合い言葉をかわす様子はたまに見る光景です。そこには、男女がお互いが持つ特徴を、自分の不足物として埋め合う関係だけがある訳ではないようです。

あなたの愛はあなたの中にだけ存在する

あなたが誰かを好きになって、その誰かに対する好きの感情が尊敬になって、自分の人生の目標そのものになって、絶対に離れることのできない存在になったとします。その誰かもあなたの真剣に愛するココロに深く自分の心を打たれ、あなたを欠くことのできない存在として認めて愛し合うことになったとします。なのに、知らない他人の誰かが、あなたたち2人の関係を精神的なつながりも知りもしないで「おかしい」と勝手に批判したら、あなたはどんな気持ちになるでしょう。

性的関係をのぞまない愛し方

愛し合うことは性的関係を抜きには考えられないという意見があれば、それはそれで。もちろん存在して構いません。愛が深まった末にセックスするのは自然だ、という意見も同様です。それと同じように価値を持つ考え方として、セックスを永遠に必要としない愛し方が何より純粋に愛を濾過してくれるなら、それに勝るものはないでしょう。

恋愛感情のないアロマンティック

誰かを愛すという行為は、人間だけではなく生き物すべての本能のようなものです。しかし、恋愛感情を絶対に持たない人が存在するという事実も、私たちは受け入れていかなくてはなりません。

プラトニックという親密

アロマンティックとは恋愛感情(ロマンティック)を持たないという意味です。人に対して親密さを持たないということではありません。恋愛関係のような束縛を好まない特徴はありますが、アロマンティックも先天的な性的嗜好と呼べるもので、本人にとっては当然のものとして存在する性的嗜好と言えます。アロマンティックの特性を持つ者は、他者と煩わしい関係を持ちたがらないことから、プラトニックなつながりの中で親密さを構築する傾向にもあります。

asexual, aromantic

LGBTという頭文字の集まりが、正しくその意味が伝わっているか疑わしいものまで含めれば、最近では一般に普及してきたと感じられるようになってきました。

性も容姿も「愛」にとっては周辺事項

それと同時に、今までマイナーな概念だったLGBTという用語が一般に普及してくると、さらに次の新たなマイナーな概念が人々の目に触れてくることになりました。互いに親しみあい深く愛していることは確かであっても、性的接触を希望しないという嗜好は、単に「嗜好」という単語で片付けることすら難しい概念なのかもしれません。もちろん、相思相愛の関係は男女間に限定されるものでもありません。それも、考えてみれば当然のことなのかもしれません。そこに存在するものは確かに「愛」であり、愛に規則などは無いのですから。

多様な愛の存在する権利

個人間の同意を確固とした根拠として、その存在を脅かされてはならないものが「アセクシュアル」であり、身体の触れ合いとセックスに十分な心の充足を感じ、あえて恋愛感情を付加する必要のない生き方を「アロマンティック」と呼べるのかもしれません。アセクシュアルとアロマンティック、彼らの心が理解できないなら私たちは今はただ、その生き方を尊重しましょう。だから子孫はどうなるのか? 少子化問題は? などといった政治的な議論を、個人の生き方に反映させる権利など、誰も持ってはいないのですから。

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