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2024/11/10:フリーペーパーvol.104発刊!

少子化は、望んで産まない選択をしたことだけが原因なのか?

少子化は、女性が望んで産まない選択をしたことだけが原因なのか?

「子どもを産まないほうが幸せじゃないかと勝手なことを考えて(いる人がいる)」という、自民党の二階俊博幹事長の言葉により、事情も知らずに勝手なこと言わないでと傷付いている女性が多くいることでしょう。

自らの意志で子どもを望まないことも本人の自由ですし、子どもを望んでいるにもかかわらず事情があって出産できない女性もいるはずです。

女性の社会進出と少子化だけで片付けるな

少子化問題でその理由としてすぐに挙げられるものとして、女性の社会進出があります。

社会進出が原因であってはならない

働く女性が増え、取締役や管理職など重要なポストに女性を起用することも、女性が家庭に収まり夫や子どもの世話をするといった旧来的な日本家庭が減少した理由として頻繁に挙げられます。

では、女性は社会進出しない方がいいのか? いいえ、問題は、社会進出することで女性が子どもを持ちづらくなっている社会構造の方にあります。

性別の議論ではない

社会で女性が活躍するのは、男女が等しく権利を持つ前提に立てば議論される必要すらない当たり前のことです。そのことが子どもを持ちづらくさせているのなら、原因は自由に女性が働いて活躍できないような社会です。

親族の無配慮

夫婦の間の問題でも、それぞれの両親から自分の配偶者に対して心無い言葉が投げられることもまるでお決まりのようになっています。

「子どもはまだなのか」「女は子どもを産んで一人前」「孫の顔が見たい」「働いてばかりいるから子どもが出来ないのではないか?」

義理の親が、女性の最も心理的にデリケートな部分にずかずかと無遠慮に踏み込むべきではありません。

少子化対策は現状を把握することから

子作りのため、一時的に仕事量を調整したいと女性が望んでも、その時の組織の人手や仕事の量によって自由なライフプランなど組めないことが大半です。

変化した雇用環境

生活と仕事のプランを自由に立てられないような労働環境から、まだ日本は脱していません。

終身雇用で年々年収が増加していくことが期待できた、以前のような収入体系を期待して仕事していくことは、男性にも難しくなりました。出産し子どもを育てていくにはお金がかかりますから、育児を前提に仕事を続けるといった事情もあります。

所得の問題

産めよ増やせよの意識が今でも根強い政権にありますが、そのために必要とされる、女性が一時的にも家庭に収まる期間を持てるような法令の整備がなされているとは言い難いでしょう。現在の労働条件で、数十年前の価値を持ってこられて出産を要求されても、対応できないのはあたり前です。

平均年収自体が日本人収入のピーク時1997年当時より50万円ほども下がっている現在です。安定した継続雇用も無くなりました。少子化とともに高齢化も進み、社会保障費の負担額も増加しています。

子どもができない個々の事情

勤務時間が不安定になれば、夫婦が生活をともにできる時間的な融通も効かなくなります。

子どもが欲しくない女性などいるのか

単に子どもを作っている暇がないから子どもを持てない、という夫婦もいるのです。

仕事に追われるまま妊娠率の低下する40代を迎え、「なぜ子どもを作らなかった」「少子化の原因」などと赤の他人から批判され、自分たちの声を聞いてもらう機会もないまま「子どもを産まないほうが幸せじゃないかと勝手なことを考えて(いる人がいる)」などと政治家に批判される。

女性たちは一体誰の声を聞いて社会に貢献すればいいのでしょう。

妊娠率

社会進出などという言葉のなかった時代に出産の時期を逃した女性社員が、子どもを持つ他の女性社員の学校行事のため、上司から仕事を頼まれることがあります。

自分も同じように子どもを望んでいるけれど、子どもを持つ同僚とその子どもを気遣い仕事を引き受ける子どものいない女性社員が、何を思いながら仕事しているのか考える人は少ないでしょう。

少子化の根本の原因

身体的な問題で子どもができず悩んでいる方もいらっしゃるでしょうし、生活や仕事のリズムの問題で子どもを作る機会すら得られず悩んでいる方もいることでしょう。

産まないさまざまな理由

もちろん、意図的に子どもを持たない方もいるでしょう。しかし、子どもが欲しくても得られない女性に対する配慮の欠けた発言は控えるべきです。

女性が子どもを産まないのではなく、社会が女性に子どもを産めなくさせていることを、少子化問題を取り上げる政治家は知るべきです。

政治家だけでなく、被害者の立場にありながら声を出す機会さえ奪われてしまった女性の心を、将来を心配する国民なら知る必要があるのではないでしょうか。

女性個人の原因にしてはならない

少子化を女性やパートナー間の問題として限定することはできません。現在の労働環境で都合よく使われてきた結果という面も考慮しなければなりません。

将来的な人口減少が、社会にも経済にも損害をもたらすことはかなり前から叫ばれてきました。

女性個人を批判すると行った浅い意識から脱却し、国の制度や労働環境の改革を、国民全員が協力して考えなくてはいけません。

やるべきことやめるべきことはたくさんあります。いつまでも愚図々々している暇はありません。

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