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2024/10/10:フリーペーパーvol.103発刊!

社労士が説明する「働く人が難病を患ってしまったときに使える6つの制度」

「休暇・休職」「手当」「医療費」「控除」など、働く人が難病を患ったとき使える6つの制度

病気などをせずに、いつまでも健康に働きたいということは誰しもが思っていることだと思います。しかし、不幸にも難病を患ってしまうことがあります。

そのようなとき、会社を辞めなければならないのかとか、収入が無くなってしまったらどうやって生きていけば良いのかなど、不安になると思います。

今回は、万が一、難病を患ったときのために、治療に専念したり、生活を守ったりするために、働く人が知っておきたい法律の制度を6つ紹介したいと思います。

有給休暇

まずは有給休暇です。中小企業ではとくに、まだまだ有給休暇の利用が進んでおらず、付与された有給休暇をほとんど利用していない人もいると思います。

働く人の権利

「うちの会社は有給休暇制度が無い」と勘違いしている人も中にはいるようですが、有給休暇は法律で認められた権利なので、会社の制度や方針にかかわらず、全ての働く人が利用することができるものです。

治療に有給休暇を

勤続年数や利用状況にもよりますが、有給休暇は最大で40日間保有することができます(付与日から2年で時効消滅するため)。ですから、難病にかかったときは有給休暇を利用して治療に専念することを検討しましょう。

休職制度

有給休暇を持っていなかたり、有給休暇の日数ではカバーできないような難病にかかった場合は、会社の休職制度の利用を考えることになります。

私疾病による休職

ほとんどの会社の就業規則には休職制度が定められており、私傷病による休職が認められています。休職制度が適用されている間、会社は原則として解雇をすることができませんので安心して治療に専念することができます。

退職となる例

ただし、休職期間が満了しても復職できない場合は、自動的に退職扱いとなることが通例ですので、この点は注意が必要です。

傷病手当金

休職期間中は解雇にならないとはいえ、収入が途絶えてしまうことは働く人にとって大問題です。

そこで、健康保険の「傷病手当金」を申請するようにして下さい。

病気治療に専念

傷病手当金は、私傷病により仕事をすることができない場合、最大で1年6ヶ月間、元の給料の約3分の2の金額が保険者から支払われる制度です。

生活を維持しながら、病気治療に専念できる制度ですので、是非活用して下さい。

なお、傷病手当金は健康保険独自の制度ですので、国民健康保険には残念ながら傷病手当金はありません。

高額療養費と限度額認定証

難病を治療するための医療費は高額かつ長期になりがちですので、健康保険や国民健康保険を使っても3割負担がつもり重なると経済的負担は大きなものになります。

高額療養費

そこで、健康保険においても国民健康保険においても高額療養費という制度が定められています。この制度を使えば、3割の自己負担額の累計が収入に応じて定められた上限額を超えた場合、その上限を超えた部分の金額が払い戻されます。

申請して確認

なお、高額療養費は国が自動的に還付をしてくれるわけではありませんので、医療費を負担した人が申請を忘れていたら損をしてしまいます。ですから、3割の一部負担金が高額になった場合には、高額療養費の制度が使えるかどうか、必ず確認をするようにして下さい。

限度額認定証

また、明らかに3割の一部負担金が高額になることが予想される場合には、あらかじめ保険者に申請をして「限度額認定証」という証明書を発行してもらいましょう。

この証明書を医療機関に提示をすれば、高額療養費を超える一部負担金は初めから請求されませんので、患者本人は立替払いをすること自体も回避をすることができます。

指定難病医療費助成制度

国が指定する一定の範囲の難病に該当する場合には、さらに一部負担金の上限が軽減されます。

対象は331疾病

該当する難病は、平成30年4月1日現在で331疾病あります。対象となる病名は難しいものばかりですのでここでは掲げませんが、難病の治療を受けている方は、自分の病気が指定難病医療費助成制度の対象になるかリストを確認するようにして下さい。

自己負担額

本制度の対象となっている場合は、医療費の最終的な自己負担額は、収入に応じて段階はありますが、0円から3万円の範囲に抑えることが可能です。

医療費控除

難病の治療のために多額の医療費を支払った場合、税法上の優遇制度も利用することができます。

確定申告

確定申告による申出が必要ですが、実際に支払った医療費200万円を上限にその年の所得から差し引くことができ、その結果として、所得税や住民税の軽減につながります。

まとめ

難病を患ってしまった場合は心身に大きな負担がかかります。金銭的にも苦しくなってしまいます。ですから、そのような苦しい状況を少しでも楽にして安心して治療に専念できるよう、万が一のときの備えとして、法律上の諸制度を是非頭に入れておいて下さい。

 

プロフィール

榊 裕葵(ポライト社会保険労務士法人代表)

大学卒業後、製造業の会社の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。その後、社会保険労務士として独立し、あおいヒューマンリソースコンサルティング代表に就任。勤務時代の経験も生かしながら、経営全般の分かる社労士として、顧問先の支援や執筆活動に従事している。

主な寄稿先:東洋経済、DODA、シェアーズ・カフェオンライン、創業手帳Webなど

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