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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

「高田明」J1・Vファーレン長崎社長が故郷に届ける逸品

2017年11月11日、明治安田生命J2リーグ第41節でカマタマーレ讃岐をホームに迎えた1戦はV・ファーレン長崎が3-1で勝利を収め、J1に自動昇格するJ2の2位以内を確定した。

昇格のため上位の名古屋、福岡などと争っていた長崎は、昇格までマジック1ということもあり、シーズン始めにクラブ社長に就任したジャパネットたかた創業者、高田明社長も試合の様子を見守っていた。

長崎は、前田悠佑のゴールなど3-1で讃岐を破り、クラブ開設初となるJ1への昇格を果たしたのである。

J2長崎での奮闘

ジャパネットたかた創業者として有名な高田明さんがJ2のプロサッカーチームV・ファーレン長崎の社長になったのが2017年4月20日。同日、ジャパネットホールディングスはクラブ運営会社の89.5%の株式を取得し、チームを子会社化した。ここから、ジャパネットの本格的な支援が始まることとなる。

高田社長の改革は、徹底した経営者の視点から行われた。

もともとスポーツが好きでV長崎の試合も観ていた高田社長だったが、当初目標としたのが「選手が安心してプレーに専念できるクラブ経営」だった。

通販大手であれサッカーチームであれ自分の役割はビジネスと考え、高田社長は正常とは言い難かった当時のクラブ収支に安定したバランスを取り戻すことに専念した。

付属する鍼灸院の不適切な保険請求問題などから選手の給料も払えず、財政状況からJ3への降格も危ぶまれていたV長崎だったが、高田のアイデアがふんだんに盛り込まれたお客さま第1の経営によりJ1昇格を決めた。

ジャパネットたかた創業者の高田明

高田社長が行ったことは、考えてみれば当然のものだったのかもしれない。

長崎は県本土と多数の離島で成り立っており、サポーターが必ずしも長崎市など観戦しやすい県の中心部に住んでいる訳ではない。スタジアムまで行くのも東京などの都市部ほど便利ではないし、交通機関もそれほど充実しておらず、交通費一つとっても高額になる。

そのような状況を踏まえ、V長崎の試合を観戦することで1日楽しめるよう、スタジアムに併設されたフードコートを充実させたり、子どもが楽しく遊べる施設を増やしたり、オトクな年間チケットの販売価格を努力したり販売方法を工夫したり、花火を上げたり自らベンチのお客さまとコミュニケーションをとったり、お客さまであるサポーターのため社長自らが行った努力は計り知れない。

昇格を果たせば、それはそれで「昇格Tシャツ」を販売したり、一代にしてジャパネットを大企業に発展させた高田明だからこそのアイデアがふんだんに込められている。

九州の離島で高額商品を買うということ

高田明は故郷長崎県の佐世保で、小さなカメラ屋から商売を始めている。フィルムを受け取ったら即日に現像し写真を手渡しするスタイルは、現在のスピード重視の通販経営にも通じている。

高田は1980年代に地元長崎のラジオ局の依頼でラジオショッピングのMCを務め、1996年には後に有名となる「ジャパネットたかたテレビショッピング」を開始した。

長崎県は、地形の入り組んだ本土と多数の離島から成り立つ九州の一地域だ。交通網も便利とは言い難く移動手段も全国的に見ても便利とは言い難い。

そのような土地で、ましてや離島で、現在の楽天Amazonのようなネット通販も存在しないなか、大形な高額商品を購入すること自体不便が伴うものだったし、消費者として価格的にも選択の幅が許されるものではなかっただろう。

自宅まで届けるだけで運賃送料で高額となり、かりに商品に不備があっても返品はややこしく面倒なもの。インターネットすらまだ普及しておらず、同じく鹿児島の離島に住む人もほんの30年昔は、今ほど消費者として有利な買い物はできなかった。PL法もまだ成立前で、離島では実質的に泣き寝入りのような買い物も存在していた。

V長崎の高田明社長の目指すものはジャパネットたかた時代と何ら変わらないように見える。

試合という良い商品をできるだけ良いコンディションでお客さまに届け、出来るだけ喜んでいただくために価格も工夫して提供する。

選手という社員が試合で良いパフォーマンスを発揮できるよう、経営状態を良好にし精神的なモチベーションを高める。チケットは売りっぱなしにせず、アフターサービスも充実させスタジアムのお客さまへのサービスと感謝の気持ちを忘れない。

すべて「ジャパネットたかた」が実践してきたことだ。

今季、V長崎は序盤数試合をこなしてJ1の下位にいる。上位に食い込んでくるか再びJ2に戻るのか、それは誰にも分からない。

しかし、一度高田の精神を注入されたV長崎の選手たちは、やるべきことは学んだはずだ。すべての工夫と努力を出し切ったあとの心地よさが高見に立つための条件であることも知っている。

サッカーというビジネスで一つの結果を出した選手と高田社長がどこまで上に行くか、それは彼ら自身が自らのプレーと経営手腕で決めてくれることだろう。

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