2018.5.10:フリーペーパーVol.26発刊!

本橋麻里と藤澤五月率いる「LS北見」が英国との3位決定戦へ

平昌オリンピック女子カーリング準決勝、日本対韓国の試合は延長第11エンドまでもつれ込んだ。常にリードを許す展開の日本・LS北見は、大量失点を紙一重でかわしながら粘り強く韓国に食らいつき、少しずつその差を詰めていく展開。

そして最終第10エンド、不利とされる先攻ながら韓国から1点をスチールして同点に追いつく。

延長第11エンドはまたも日本は不利な先攻だったが、序盤とは打って変わってストーンの精度は日本が良くなり、韓国は要となるスキップにさえ小さなミスが出始めた。

ここまで何度も決めてきたダブルテイクアウトのミス、フリーズのミスなどから日本にスチールのチャンスが生まれる。

残り1投ずつとなり、日本のスキップ藤澤はかろうじてナンバー1を残し韓国のラストストーンを待つ。

韓国のスキップ、キム・ウンジョンは見事にコントロールされたストーンを投げ、藤澤の残したナンバー1の内側にピタリと止めた。1点を取ればその時点で勝ちが決定する延長第11エンドに韓国が得点し決勝進出が決まったのである。

3位決定戦

日本は、準決勝のもう一組、スウェーデンに敗れた英国と今夜20時05分から3位決定戦を行う。
勝てば日本カーリング競技初のオリンピックでのメダルとなる。

対韓国戦は惜しかったが、日本が準決勝に進んだ星勘定は5勝4敗。

後続する中国、カナダ、アメリカ、スイス、が4勝5敗の団子状態で5位と続く、僅差の4位通過という点を踏まえれば、3位決定戦にも思いっきり全力で向かえばいい。

ロコ・ソラーレ北見の誕生

しかし、藤澤五月をスキップとするロコ・ソラーレ北見ことLS北見が、日本の代表チームとして平昌に出場するまでを知るファンは、それほど多くないのかもしれない。

カーリング女子の平昌五輪代表決定戦は、昨年9月8日から地元北見のアドヴィックス常呂カーリングホールで中部電力との間で行なわれた。

レギュレーションは「ベスト・オブ・ファイブ」と呼ばれるもの。5戦して先に3勝したチームが平昌へのチケットを手にする。前評判では、2016年に世界選手権に初出場し銀メダルに輝いたLS北見有利の声が高かった。

単純に技術を比べれば、日本一の司令塔藤澤を抱える北見の優位は変わらない。
しかし、LS北見が現在の形になるには、チーム創設者である本橋麻里による尽力が大いに貢献している。

本橋自身、2006年にトリノ、2010年バンクーバーと、日本の代表メンバーとして冬季五輪カーリング競技に連続出場している。

2010年に所属する青森を離れ、カーリングの聖地常呂町から世界を目指した本橋は、「ロコ・ソラーレ北見」を創設したのだ。

選手の受け皿となるチームの不足

日本のカーリング選手は、4年の周期で構成され、解散されるような環境にあった。オリンピック終了後、長期的に地域に定着するリーグのような選手の受け皿がない状態だったのである。

本橋は、カーリングの聖地とまで呼ばれる故郷の常呂町にいながらにして世界を目指せる環境作りに取り組んだ。

たとえば、LS北見で現在サードを務める吉田知那美にしても、前所属チーム北海道銀行から戦力外通告を受けた後の所属が無い状態だった。

所属の決まらない吉田を誘ったのが、本橋だった。

さらに2015年、日本にとって不動の司令塔、スキップ「藤澤五月」が北見に加わる。藤澤は、もとは日本代表の椅子を争った中部電力の選手だった。北見出身の藤澤を本橋が引き抜いたのである。

今夜8時から行われる英国との3位決定戦で、もし日本がメダルを取ることにでもなれば、日本女子カーリング界にとっての一つの変革だろう。

それは、本橋が求めた長く地域で続けられるカーリングの誕生を後押しする契機となるだろうし、チーム構成で重要視してきた十分なコミュニケーションの必要性を証明するものとなる。

LS北見、ロコ・ソラーレは、「ところ町」の「ろこ」あるいは地域を表す「ローカル」からとった「ロコ」に、「太陽」を表す「ソーラー」に由来する「ソラーレ」をつなげたものだ。

「常呂町から太陽がのぼる」ために必要な人員はすでにそろっている。
昨日の準決勝では予選わずか1敗(日本に敗れた物)で1位通過の韓国を再び破る寸前まで行った。

今日の3位決定戦で同じパフォーマンスを発揮できる保証はどこにもないが、昨日終盤に調子を盛り返したセカンドの鈴木夕湖も期待要素の一つだ。

韓国との試合からも、日本がメダルを受ける実力が十分にあることも証明された。
あとは、あたかも当然かのごとく、英国に勝ってしまえばいい。