双極性障害は、見逃してしまいがちなものです。どうして、見逃してしまいがちなのでしょうか。その理由を掘り下げていこうと思います。
「双極性障害」のおさらい
以前書いた記事で、双極性障害についても触れていますが、
今更だけど、発達障害って何?双極性障害って何?(←過去記事へのリンクです!)
その「深み」の説明はしませんでした。
双極性障害は、二種類にカテゴライズされています。双極Ⅰ型障害と、Ⅱ型障害です。分かりやすいポイントで説明をすると、躁状態の程度が違います。躁状態とは、気分がハイになり、金銭面や生活面、もちろん人間関係にも仕事にも、勉強をしたとしても勢いがつき過ぎて、プラスではなくマイナスに傾いてしまう状態のことです。Ⅰ型障害では激しい躁状態を起こし、Ⅱ型障害は軽躁状態を示します。しかし、躁状態は体調が改善したかのように感じ、もう病気から解放されたと思う人がほとんどです。
共に示す状態はうつ状態です。基本的に、双極性障害のうつ状態はうつ病の状態と変わりません。しかし、躁状態との落差があるために、精神的な負担のかかりかたが少し違うのではないかと私は思っています。双極性障害はこの波を繰り返し続けるのです。
どうして、見逃しがちなの?
単純に、本人がうつ状態しか医師には伝えず、躁状態を放っておいてしまうからです。大抵、うつ状態に気が付いて病院に行きます。しかし、躁状態については、まさかそれが波の一部だと気がつくことはなく、主治医に、
「もう、良くなった」
と伝えてしまうこともあります。それでも、またうつ状態に後戻りし、また身体が軽くなり、またうつ状態になり……と繰り返すところで初めて、
「これはおかしい」
と感じるのです。ちなみに私は双極性障害と診断されるまでに、2年かかりました。
それでも、双極性障害に気がつくポイントとしては、少しのことでも強く怒ってしまうようになる。誰よりも自分が偉いというような振る舞いをする。そして、本人としては次々とひらめきが生まれるようになり、コントロール出来なくなる。まだまだあるかもしれませんが、これはその一部であるとは思います。うつ状態でも言えることですが、自分も周囲も、本来の性格を把握したり、また、それを主治医の先生に伝えておくと良いのではないでしょうか。
そう言われても、どうしたらいいのだろうか。
双極性障害に対して有効なのは薬物療法と精神療法です。
そもそも、「うつ病」と「双極性障害」では処方されるべき薬が違います。うつ病には主に抗うつ剤を処方しますが、双極性障害では気分安定薬、そして非定型抗精神病薬を処方します。
本当は双極性障害なのに抗うつ薬を飲んでいると、躁転といって、突然強い躁状態を起こしてしまうこともあり、しっかりとした診断を受け、きちんとした効果を示す薬を服薬することが重要です。もしも、抗うつ薬をしっかり飲んでいるのにほとんど改善しない! という人は、主治医の先生に相談をしてみても良いかもしれません。
精神療法については、一般的なカウンセリングを受けるわけではなく、一度、これまでの自分について考え、それを認めていくことに重点が置いてあります。双極性障害はうつ病のように「治る」ではなく「寛解」を目指す病気です。長い長い付き合いになるために、自分を嫌わないための精神療法を受け、それを受け入れることが大切なのではないかと思います。
双極性障害には、まだまだスポットが当てられていないでしょう。自分も周囲も、いざ触れてみると戸惑ってしまうかもしれません。伝えられることが少ない中で、この記事が何かを知るきっかけになることを願っています。