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2024/11/10:フリーペーパーvol.104発刊!

インフルエンザ治療について1―診断キットで陰性でも診断書や薬をもらえるの?

総合診療(プライマリ・ケア)を信条とする医師、森田洋之先生に質問してみるコーナー第1弾では、現在猛威を奮っている「インフルエンザ」についてとりあげます。

いま、全国的にインフルエンザの患者さんが急速な勢いで増えています。もしもインフルエンザに感染してしまったら、私たちはどのように治療していけばいいのでしょう。

名人「インフルエンザの診断書が出されるのはなぜですか?」

森田「通常、インフルエンザが疑われる患者には診断キットを使い、感染の有無を調べます。
陽性なら感染、陰性なら非感染ということになるわけですが、仮に陰性反応が出た場合でも、感染していると医師が判断すれば、インフルエンザに感染しているとして診断書を書くことができるわけです。具体的には、学校や職場、家庭など、周囲の環境にインフルエンザの流行が認められる場合など。診断キットの精度も100%という訳ではありませんし、診断は医師による「総合判断」に委ねられます」

名人「検査と処方はどのように行われますか?」

森田「インフルエンザを診断する際、日本では通常、ほとんどの医療機関で検査キットが使用されます。しかし、国際的に見た場合『検査は必須』ではないとの考えが主流です。以前、イギリスで医師をされている澤憲明先生(日本人として英国家庭医学会【Royal College of General Practitioners】の専門医を取得、NHK「視点・論点」にも出演)との対談のなかで、『インフルエンザ診療の日英の違い』という内容で意見交換をしました。そこで分かったのは、おおよそ次のようなものでした―

例えばインフルエンザが疑われるとき、日本では簡易検査キットによる検査がかなり行われる傾向にありますが、イギリスの状況は異なります。インフルエンザが流行している時にインフルエンザが疑われる症状(高熱・咳など)を持つ患者さんに遭遇した場合、検査に頼らなくてもそういう状況を総合的に判断し、インフルエンザの診断を下すことができるそうです。これを、臨床的診断と言います。

ただしそれは、インフルエンザの検査はほとんどしない、ということではないのです。

検査の実施は日本ほど多くはないかもしれません。学校や職場、地域で流行している時に典型的な症状になったような地域住民の方の場合、ほとんど検査はしないそうです。検査をするのは、今は流行ってないけどこれから流行りそうな時期の典型的症状を訴える方などです。

インフルエンザ検査も他のあらゆる検査同様、その精度は100%ではない上に、インフルエンザがどれくらい流行っているかによっても検査の的中率は大きく変わってくるので、ニセの結果と想定できるケースもあるのだそうです。

本当はインフルエンザにかかっているのに検査結果は陰性になってしまう、という偽陰性と呼ばれるケースなどです。

しかし、この患者さんがインフルエンザじゃないのか、というと困るわけですね。症状も周辺状況もほぼインフルエンザという状況なのですから。

医学的に言えば、インフルエンザの可能性が高いと臨床的に判断されるのであれば、たとえ簡易検査キットの結果が陰性であったとしても、インフルエンザの確率は高いままです。診断は変わりません。

診断とは、疾患が存在するかしないかではなく、その可能性はどれくらいかという確率の話です。

検査にかかるコストや時間など、デメリットもあります。それぞれ小さいデメリットかもしれませんが、インフルエンザはよく流行りますから、検査を受ける対象者が多くなれば、その分、総合的なデメリットは大きくなります。

こうした状況を総合的に判断し、イギリスではあえて検査を使わない傾向にあると、澤先生はお話されていました」

 

―インフルエンザの感染が認められても、タミフルやリレンザなどの処方が行われないこともあります。患者としては薬をもらった方が安心するのかもしれませんが、病気を治すのは薬だけではありません。

むしろ、患者本人が持つ免疫力によるところが大きいのです。「安静休養栄養」、これらが治療に最も重要な要素となります。「インフルエンザ治療について2」では、の面からさらに森田先生に掘り下げていただきます。(「インフルエンザ治療について2」へ続く・1月15日公開予定)

医療崩壊のすすめ?

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財政破綻により病院がなくなってしまった夕張市、
しかも高齢化率は市として日本一。
果たして夕張市民の命はどうなってしまうのか?‥。
しかし財政破綻後のデータは、夕張市民に健康被害が
出ていないことを示していた。

事実、夕張市民は笑顔で生活していた。
「病院がなくなっても市民は幸せに暮らせる! 」
それが事実なら、それはなぜなのか?

本書は、その要因について、先生(元夕張市立診療所所長)と
生徒2人の講義形式でわかりやすく検証してゆく。

夕張・日本・世界の様々なデータを鳥の目で俯瞰し、
また夕張の患者さんの物語を虫の目で聴取するうちに3人は、
夕張市民が達成した奇蹟と、その秘密を知ることとなる・・。

少子高齢化や財政赤字で先行きが不透明な日本。
本書は、医学的・経済学的な見地から
医療・介護・地域社会の問題を鮮やかに描き出し、
日本の明るい未来への処方箋を提示する希望の書である。

森田洋之 著

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森田 洋之

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