先日、鹿児島で活動している「ブラインドランナーズ」の練習の見学、取材をしてきました。ハートピアかごしま(鹿児島市小野1丁目1-1)を中心に活動し、県内の大会はもとより、日本中で開催されているマラソン大会に参加されているそうです。
ブラインドランナーズチーム
2005年1月、鹿児島県において三雲明美さん率いる「ブラインドランナーズ」が結成されました。生まれつき目が見えない人や、目が途中で見えなくなった人に、走る喜びを感じて欲しいと思って結成されました。
三雲さん自身、40歳になって陸上競技を再開。
最初は伴走者と走る事は怖かったけど、伴走者と一緒にコミュニケーションを取りながら走る事によって怖さはなくなり、思いっきり全力で走れるように楽しくなったとの事でした。それを走りたい視覚障害者にも味わって欲しいと思っているようです。また、走る事によって目標や夢も出来る事をみんなに感じて欲しいとの事です。
ブランドランナーズ結成当初、ランナーが5名・伴走者4〜5名で伴走者が足りなくて大変で、伴走者が0の時もありました。その時は、ストレッチや筋力トレーニング補強に努めていました。
2007年、県障害者陸上連盟に伴走部会を発足。
ポスターを作って配ったり、伴走者が口コミで広げていきました。
また SNS を利用して広めていき、現在は伴走者が15名・ランナー23名までになりました。
活動
ブラインドランナーズの練習は毎月2回、日曜日にハートピアかごしまのグラウンドで、午前10時から12時までの2時間行われています。
どんな練習をしているのかな、と実際に足を運んでみました。その日はあいにくの天気で体育館での練習でした。
午前10時、三雲さんの合図とともにみんなが円になって集まりました。人数確認・今日の練習内容確認・一人一人の近況報告をみんな笑顔でされていました。
その日は、「準備体操・ストレッチ→体幹を中心とした筋力トレーニング→走るために基礎となるドリル練習→体育館内を軽くジョギング→整理体操」の流れで練習されていました。
三雲さんの指示を、伴走者が各ランナーに伝える形で一緒に楽しく動くスタイルで、お互い、おしゃべりしながら笑いながら楽しくトレーニングされていました。その日は伴走者・ランナーを含め26名が参加されていました。
ランナーと伴走者との信頼
ご本人の気持ちを聞いてみました。
(ランナーの気持ち):ランナーとして、私たちが走りたいから伴走者が欲しい。伴走者がいて走れる生きがいになっている。
(伴走者の気持ち):伴走者として、1人で走るより2人で走れる事により2人で歩む楽しさがあるから続けられる。
伴走者の中には元々陸上選手だった方もいました。現役引退してからも、自分が走る事によって人の役に立つ喜びを感じている様でした。
伴走者問題
県内・県外のマラソン大会に参加されているのですけど、昨年まで、地元で行われる鹿児島マラソンだけが、伴走者が各ランナーに1人しか登録出来なくて伴走者・ランナー共に悩んでいました。
パラリンピックや他のマラソン大会においては、伴走者が、もし事情で走れなくなっても、各ランナーに2人以上の伴走者交代が認められています。
3回目を迎える今回の鹿児島マラソン(2018年3月4日開催)。
ブラインドランナーズからは4名がフルマラソンに参加するとのこと。
課題の伴走者も今年から世界的なルール、視覚障害のあるランナー1人に対して、途中交代で2人の伴走者の参加を認めることになりました。
今後、生涯スポーツとしてのマラソン大会だけでなく、このブラインドランナーズから競技として陸上をされる方が出てきて、日本選手権・ジャパンパラ大会・パラリンピックに出場出来る選手を作っていけたら良いな、と希望と夢も持たれていました。