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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

ひとりの車いすユーザーから見た、新型低床電車 ユートラムⅢについて

この世の中は大概が多数決で決まり、理論的に進められていく

言い方を変えれば、同調する意見が多いほど、効率がよく、関連する過去の経験や出来事の成功例が多いほど、ものごとは決まりやすい。

車いすユーザーが生活するには

わたしは普段、電動車椅子を使用して生活している。

ひねくれた言い方をすれば、多数決の少ないほうで、非効率ともいえる存在だ。

ほとんどが立って歩いている人の目線でつくられている社会では、外でも家のなかでもあらゆる工夫が必要となる。

もちろん、使いやすさや価値観は人によって異なるので、多少の工夫が必要なことは誰にでも言えるだろうし、家のなかは、ある程度自分が住みやすいように変えることができる。

だが、一歩外へ出るとそうもいかない。

たとえば、低床電車について

鹿児島市内は、約5分に1本の割合で路面電車が走っている。

だが、車いすユーザーが乗れる低床電車は1時間に1・2本程度、時間によっては1本も走っていない

そんななか、今年に入って新型の超低床電車 ユートラムⅢが完成し、私は意気揚々と乗車した!

正直に言おう…。何故こうなった!

車いすの乗車スペースが大幅に狭くなっていたのだ。

最初、わたしは1人で乗ったが、そのときはベビーカーが置かれていた。

母親があわてて赤ちゃんを抱きかかえ、片手でベビーカーを折りたたんでくれたため、どうにか乗り込むことができた。

次に車いすユーザー2人で乗ったときは1人が入りきらず、通路を少しふさぐ形になってしまった。

(運賃箱がもう少し出口側に寄っていれば、車いす2台でも通路をふさがずに並んで乗車することができるだろう。)

最近になって、乗車スペースは車両の前後にあること(合計 車いす2台分)を聞いたが、それまでに1度も運転手からの説明はなかった。

今後、低床電車が増えていくことを願って

実際、ユートラムⅢの定員は68人(26座席)、初代のユートラムに比べて10人(8席)増加したという。
車両長は初代のユートラムとほぼ同じだが、運転席を縮小させたことで客室部分を拡大させたそうだ。

だが、旧型のユートラムⅡは車いすユーザー3人でも1台の電車に乗りこめるほどのスペースがあった。

いま、車いすユーザー数人で出掛けるときは、ユートラムⅢが来た場合を考えて乗る時間に余裕をもたせたり、車いすで移動する人と電車に乗る人に分けたりしている。

すでに車いすユーザーが乗り込んでいるときは、見送ることもある。

また、上記のようにベビーカーやスーツケースを持った人が利用していることもあり、車いすユーザーだけが使用しているわけではない。

全体の客室拡大のために車いすの乗車スペースも縮小するのではなく、折りたたみ式の補助席を設けるなどの手立てを考えてほしかった。

歩いている人の場合は電車に乗るか・乗らないか、座れるか・立つかの選択肢になるが、車いすユーザーは電車に乗れるか・乗れないかの一択なのだ。

再度言うが、そのチャンスは今のところ5分に1度ではなく、1時間に1・2度程度しか訪れない。

 

だが、これは今後、低床電車が増えていく兆しなのだと希望ももっている。

すべての電車が低床電車になったら、全体の乗車人数も増え、いま感じている不便さはなくなるだろう。

来年は鹿児島も舞台となる大河ドラマ、2020年にはかごしま国体があり、車いすユーザーの観光客も増えるはずだ。

観光客も地域に住んでいる人も、すこしでも多くの人が快適に移動できるよう、迅速に低床車両が増えていくことを願っている。

そして、これから新しい取り組みを行う際は、さまざまな乗客の意見や思いをもっと取り入れてほしいと切に思うのだ。

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