当事者が自分の経験を語ることは、非常に重要だな、とずっと思っていました。まさか、自分が体験発表をすることになるとは思ってもみませんでしたが…。

10月24日、鹿児島市民文化ホール 第2ホールで開催された、鹿児島県精神障害者文化・創作活動振興事業『友愛フェスティバル』。

地域で暮らす精神障害者やその家族の文化・創作活動の成果を発表する場、交流・親睦を通して世界を広げる場、市民にも参加を呼びかけ、精神保健福祉について知っていただく場として、平成8年から今年で22回目となる友愛フェスティバル。このイベントの中で、自分の体験を発表する機会を頂きました。

以下、この体験発表のために、わたしが準備をした原稿を掲載したいと思います。発表時は、すべてこの通りに話したわけではありませんが…。約2,000字、ゆっくりしたペースだと5分くらいで読める内容となっています。

心の調子を崩した16年間で経験してきたこと

こんにちは。はじめまして、しんchanと申します。今回はこのような機会を与えて頂き、ありがとうございました。今からわたし自身が体験したこと、感じてきたこと、考えていることの一部を話していきたいと思います。

わたしの今の肩書は、webメディアのライターです。就労継続支援B型事業所「ひふみよベース紫原」に在籍し、ここで運営するweb版「HIFUMIYO TIMES」のパブリッシャー、ライターとして記事を投稿することが主な仕事となっています。

この「HIFUMIYO TIMES」で初めて書いた記事は「あなたにとって精神障害者はどんなイメージ?どんな人たち?」というタイトルで、昨年の「友愛フェスティバル」のニュース記事を読んで書いた物でした。何か、友愛フェスティバルとは不思議な縁を勝手に感じています。

わたしが心の調子を崩し始めたのは約16年前。漠然とした不安から眠れなくなったのがきっかけでした。仕事や恋愛など全ての面において不安定で、25歳のわたしは先の見えない不安に押しつぶされそうになっていたのではないか、と今は思います。

眠れない期間は約1年続き、徐々に「死にたいという願望」が強くなっていきました。当時はいつも「死にたいという気持ち」が心のどこかにあったように思います。今考えると「死にたい」というより「消えたい」「自分の存在を消したい」という表現が正しいかもしれません。

そういうことばかり考えている中、ふとした時に「あぁ、もういいや。ほんとに死のう。」と思い、アルコールと一緒に今まで溜め込んでいた睡眠薬を一気に飲み干しました。横になって、カクテルの空き缶が転がっていくのが見えたのは覚えていますが、病院のベッドで意識が戻るまで記憶は全くありません。

当時の職場の上司が、無断欠勤したわたしを心配して家に来てくれ、救急車を呼び、泡をふいて倒れていたわたしを病院まで連れて行ってくれたそうです。運ばれた病院で、胃洗浄などの処置をしていただいたようですが、わたしはずっと眠っており、目を覚ましたのは1日半たってからのことでした。あの時望んでいた、この世から消えることには失敗しました。

その後、上司と一緒に精神科に行き「うつ病」と診断を受けることになります。

診断を受けて15年、症状は良くなったり、悪くなったりの繰り返し。例えて言うなら、トンネルを抜けたかと思えば、またトンネルに入ってしまうイメージです。だんだん、自己肯定感は低くなり、自分が嫌いになり、人の目が怖くなり、生きている意味を見出すことさえ出来なくなりました。

そういう思考が強くなり「もう、どうでもいいや。」と思う一方、頭の片隅には「うつ病を治したい。」「楽しく生きたい。」という気持ちが少し残っていたように思います。

一応、通院はしていました。でも、薬を貰って飲んでも効いた感覚はほとんどありませんでした。そうしているうちに、薬に代わる何かを、症状を軽減してくれる何かを探し始めている自分がいました。

色々と模索していく中で、しっくりきたものの1つが「WRAP:元気回復行動プラン」でした。WRAPを学んでいくうちに「病気を治す。」という感覚から「いい感じの自分を保つ為に、どのような道具を使って、どのように工夫して生活していくか。」という思考に変わっていきました。

今まで「うつ病」という物が自分の中の中心にありましたが、徐々にわたしにも健康な部分はもちろんあるし、うつ病はわたしの持っている気質の1つにすぎないと思えるようになってきました。

WRAPを取り入れてから、WRAPで知り合った仲間との関わりが始まってから、リカバリーの道を歩み始めたな、という実感が持てるようになってきたような気がします。

わたしはこの16年間で、何度もクライシス(危機的状況)を経験してきました。

その渦中にいる時は本当に苦しいですし、ほんと何の為に生きているか分からないですし、自分を消したい気持ちにもなります。しかし、そこから何度も這い上がっていく中で、その度ごとに違う所に行き着いている自分に出会いました。今考えると、その到着した場所、着地している所が、自分の生きやすいと思える場所に近づいているのではないか…と最近気づきました。

直近のクライシスを脱した後、自分の中で決めたことがあります。それは、「納得したことだけやる、信頼できる、安心できる人としか、今は付き合わない。」ということです。「大切な選択をする時には、特に、自分の気持ちに正直に…つまり、妥協をしない。」ということです。

今の職場も、主治医も、付き合っている人たちも、自分にとってはbetterでなく今のbestです。この選択が今、いい方向に向かっている印象があります。

わたしがリカバリーしているな、と感じる時は「ワクワク感」とか「明日が楽しみ」という感覚が、少し蘇ってきた時です。そして、本気でやりたいことが出てきた時です。

今、やりたいこと、やり遂げたいと思うことは、今の職場「ひふみよベース紫原」から新しい働き方を提案・発信することと、生きづらさを持っている人の「居場所」と「心の拠り所」を創り出すことです。

今、大切にしていることは「丁寧に生きること」「気持ちに余裕を持つこと」「自分で自分を諦めないこと」「自分の大切、を大切にすること」「きっと上手くいくと信じること」です。

小さい頃、夢みていた自分像とはだいぶかけ離れましたが、今の自分も悪くないかも…と最近やっと思えるようになってきました。

今繋がっている全ての人に感謝しながら、わたしの体験発表を終わりたいと思います。

ご静聴ありがとうございました。