昨今の将棋界を代表する人気棋士といえば、藤井聡太四段がその代表格といえるでしょう。

史上最年少の14歳2ヵ月でプロ棋士となり、デビュー後は無敗のまま29連勝の新記録を樹立。順位戦A級棋士やタイトル保持者とも対局を重ね、10月27日現在で勝率8割6分4厘の1位、勝数38勝で1位、29連勝の後となる継続中の連勝数も9連勝で1位です。

そんな藤井四段がプロとなるため修行時代を過ごした「奨励会」もメディアにとりあげられ、これまで将棋に関心のなかった人にも知られるところとなりました。

それでも、多くの人が知るのはプロデビュー後の藤井四段です。

当時まだ三段だった藤井奨励会員が1位で通過し四段入りを決めた、第59回三段リーグで残した成績は13勝5敗でした。

「5敗」しているのです。

この点に、注目してみました。

九段だから四段より強いの?

プロ棋士は四段から始まります。規定の成績を収めることで段位は上がり、より強い棋士として認められていくのです。

昇段は、勝数、順位戦の結果、各タイトル戦予選での成績、タイトルの獲得など、さまざまな理由によって決まります。

名人順位戦C級1組に上がると五段、B2で六段、B1で七段、A級に上がると八段で、名人になると九段、など。

そして、一度上がった段位が下がることはほとんどありません。
仮に、実力が衰えたとしてもです。

日本将棋連盟の公式ホームページにも公開されていますが、現在、勝率や勝数で高い成績を上げている棋士はほとんどが20歳前後の若手棋士です。

段位も四段からせいぜい六段程度にすぎません。

プロだから奨励会員より強いんでしょ?

プロ棋士は段位に関係なく名人を争う順位戦や、その他のタイトル戦挑戦者を決める予選などで順位を決め、その実力をランキング化しています。

事実上、九段や八段がの棋士が、下の段位の棋士より数字通り上にいることはそれほど多いわけではありません。

ピークだった若いころの成績をあとで認めるような形で、将棋界では段位が与えられるシステムになっているからです。

そして、棋界で華々しいタイトル戦が繰り広げられる一方で、ドラマ性にあふれたもう一つの舞台と言える場が奨励会です。

奨励会三段から四段のプロ棋士に上がるため、多くの棋士がこの三段リーグで悩み苦しみます。現行の三段リーグの制度に、アンフェアな思いを抱くのは、将棋に関して私が所詮アマチュアだからなのかもしれませんが…

実力入れ替え制の実現

現行の制度では、半年で2人、年間でたった4人しかプロになれません。そんな狭き門でも、現在すでにプロとして活躍する棋士の実力と比較して、それが妥当なものであれば問題はないでしょう。

しかし現実には、段位は九段でありながら順位戦C級2組にすら留まることができず、その下のフリークラスに在籍し、対局数も少なく若手の四段にも負け越すようなプロが「プロ」として居続けるのです。

そして、少なくとも彼らより高い実力を持ちながら制度に遮られ、奨励会三段に甘んじなければならない若者が多数存在します。そのことを思うと、将棋界が実力の世界になっているとは、到底思えないのです。

その元凶は、奨励会員とフリークラスプロとの間で純粋な実力を計るための直接対決を行わないからだと思います。直接対決して成績に従い入れ替えればいいのです。

勝負の世界」なのですから。

おそらく、入れ替え戦を行えば、数十人のプロ陥落棋士が現れ、奨励会からは数十人のプロ棋士が一挙に誕生するでしょう。

新人の四段が強いのは藤井四段だけではありません。プロになってから86%勝っている藤井四段が、その下の組織である奨励会三段リーグでは72%しか勝てていません。

無敗のまま29連勝した藤井四段に、三段時代ではありながら、当時勝っている奨励会員が5人存在します。

そして彼らは、今も奨励会員です。

実力入れ替え制は、棋士の立場を危うくする制度で、すでに地位を持っている棋士にとっては耳の痛い話でしょう。

だから、入れ替え戦など実現しないことは分かっています

それでも、このまま三段として終わっていく多くの実力者がいることは知っておきたいし、実力的に彼らに及ばないのにプロであり続けることのできるフリークラス高段者には、去っていく元奨励会員の分まで、精魂込めて勝ちを目指して将棋を指していただきたいと、願うのです。