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自治体はどこまでボランティアに仕事を期待していいの?

ボランティアで働いた経験が自分にもあります。プロとして目指している職業があったので、無償の仕事でも少しは自分の経験練習になると思い地元の自治体に申し込みました。

その仕事は、県の国際交流協会が発行している薄い英文のフライヤーの記事を、一部分だけ日本語訳するという仕事でした。

仕事は簡単なものでしたがボランティアとしての登録条件があり、協会の実施する筆記テスト面接に合格することが必要とされていました。

または、語学ボランティアの場合、英検準1級以上、TOEIC730点以上で筆記試験は免除となっていました。

ボランティアの本当の意味

英語力として、ボランティアで依頼するならそれは妥当な基準だろうとは思います。自分はボランティアを数回こなした頃に翻訳会社に登録されたので、そのボランティアから早い段階で身を引かせてもらいました。

それにしても日本の各自治体が募集するボランティアにはさまざまなものがありますが、ボランティアであるにもかかわらず活動する人への期待がちょっと高すぎるのではないかと思わずにはいられません。

ボランティアが無償で働くのは仕方のないことだとは思います。自分で希望して働かせてもらうのだから。

でも、「ボランティア」の本来の意味は「無償の」ではありません。有償でボランティアを雇っても矛盾はしません。ボランティアvolunteer)の本来の意味は「自発的な」です。

日本におけるボランティアの捉え方

もし、自分の希望する仕事しかやってくれないのでは困るというなら、依頼する側はボランティアと事前に書面による契約を交わさなければならないし、あるいは報酬を払って雇用契約を結んで労働力を期待しなくてはなりません。

それが嫌なら、初めからボランティアで仕事を依頼しようと思わないことです。

報酬を払って、プロに頼むべきでしょう。

ボランティアとして活躍したい人の側も、「ボランティア」=「タダ働き」という認識だと割り切った上で活動しなければ仕方ないでしょう。

自治体が自分の希望を考慮してくれるなどと期待せず、それでも自分で納得できる仕事にだけ参加しておいた方が無難です。

その仕事をボランティアにして大丈夫?

自治体が、ボランティアに期待していい仕事の範囲を決めるのは難しいことです。

ボランティア本人が希望する労働条件に、依頼する自治体の側が合わせなければならないからです。お金を払って人を雇うように、仕事の範囲がまず決まっていて、労働者が報酬に見合った労働力を提供するという契約関係は期待できません。

例えば今なら、東京都はスポーツの祭典として2020年に開催される東京オリンピックのボランティアを集めているところですが、いったいどこまでボランティアに仕事を任せるのだろうと不安になります。

大事な仕事であればあるほど、報酬を払って人を雇うべきなのに、と。

ボランティア活動することを美談のように捉える風潮が日本では感じられますが、「自分で希望」したのであれば、その仕事はやって当たり前です。

でも本人には、その範囲を選ぶ自由があります。だから、ボランティアに完ぺきな仕事を期待することはできません。それが、ボランティア、という言葉の本来の意味なのでしょう。

ボランティアする側も、完ぺきな仕事という期待に沿う義務もありません。日本の自治体は、依頼したいありとあらゆる仕事をボランティアに期待しすぎです。

もちろん希望する人もいるから、短期的なコスト削減を第一に考えるならボランティアが最善かもしれません。

しかし、地元の雇用率を少しでも上げるという目標に視点を移せば、本来なら報酬を受け取って仕事として成立する業務を一人分、自治体自らが奪っているとも言えるのです。

短期的に見て、ボランティアに依頼することは、とりあえずその仕事の報酬を払うコストを減らすという点で意味があります。しかし、この国は特に若年層を中心に、失業率を下げることを目標にしているはずです。

それなら、長期的に見て収入が安定税金を納め、結婚して家庭を持ち少子化を防ぐことの出来る人を育てることの方が自治体運営の点から見れば経済的には有益だということに、各自治体は気付かなければなりません。

もちろん、自分の生き方を決めるのは自分個人であり、自分が考える生き方を第一に尊重することが重要だということは言うまでもありません。

どんな仕事も労働力の提供なのですから、金銭が払われないことのほうが不自然です。

無償で自分の活躍の場を勝ち取りたいという人がいることは、ある職種に関するスキルの「アマチュア化」を加速させます。

お金を払わなくていいという基準の人選ではなく、スキルの上下で人を雇わなければ、労働者のスキルは低下の一途を辿っていくことでしょう。

人を育てるという意味でも、報酬の伴う募集で、雇用の機会を増やしてもらいたいと切に願います。

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