私がまだ大学生だった頃、ゼミを担当する先生が「鹿児島空港の店頭でさつま揚げ食べたけど美味しかったよ」と言われたので、先生に同意しながら「(いやいや、そういうわけでもないですよ…)」と、複雑な気持ちになったことを思い出します。
当時と今では、地元の空港の設備も出店している店舗もその数もずいぶん変わっているはずですから、また違った事情になっているかもしれませんが、少しでも鹿児島の本当を知りたい方のために少しだけ主観的なことを書きます。
夜の鹿児島の屋台での一杯🍺
さつま揚げと共に😋 pic.twitter.com/N85aThCv8S— ジウジウ (社蓄人間) (@Itoh0609) June 12, 2017
地元の人は普段、お土産品のさつま揚げを食べない
どの地方でも同じことが囁かれていると思いますが、新幹線の駅の売店や地元の空港に出店しているお土産物屋で売っているような商品を、地元の人は普段めったに食べません。
そういうところで売っている商品は確かに美味しいのですが、簡単に言えば、まず「値段が高い」。
地元民にとっては普段のおやつだったりおかずだったりする日常の食品なので毎日そんな高級品を食べているわけにはいきません。
さつま揚げ10枚程度入ったセットで3,000円とか、頻繁に食べようとは思いません。もちろん、とても美味しいのです。品質も高く材料もかなりいいものを使っていると思います。
そこは否定しないし金銭的に許すものならそういう高級品を日常の食卓でいただきたいと思っています。
旅行などで鹿児島に訪れた方にしてももちろん、旅行だからこそ制約を設けず自由な気分を味わいたくて、その一環として高級さつま揚げを買っていることもよくわかります。
まずは夕食から。
奄美地方の郷土料理?の鶏めし、
さつま揚げ、
黒豚のコロッケ。いただきます! pic.twitter.com/jXzCDpjMhl
— ✈ばきちん⊿ (@backy_8984) June 11, 2017
旅行客用にアレンジしているものもある
鹿児島の醤油が甘いことをご存知でしょうか?
今となっては割と知られていることだとは思いますが、鹿児島のしょうゆは甘みを強くしてあります。きびなご、などの地の魚を刺し身にして鹿児島特有の甘い醤油で食べると美味しいですよ。
そういった、地元の食の嗜好が、違う土地の方々にとっては苦手になることも多々あるのです。
そんな味のミスマッチのためにせっかくの商売の機会をフイにしないためにも、各メーカーは少しだけ地元で普通に安価で売られている商品とは違うもの、大市場でもある東京などの好みに合わせた商品も用意しています。
甘い醤油が苦手なら弁当についている小さなパック醤油の中身を塩辛いものにしておくとか、とんこつラーメンの香りを少しだけ地元の商品よりマイルドに抑えておくとか、さつま揚げなら生地に練り込む砂糖の量を少なめにしておくのです。
鹿児島の食べ物って、やはり全体的に甘めですから。
ORI☆姫隊、吾愛人さんで鹿児島郷土料理をいただきましたーーー💓SEIKAとさつま揚げ✨✨、ERINと黒豚🐷🐷
美味しすぎて幸せいっぱい😍 pic.twitter.com/6HWucXekyz— みちのく仙台ORI☆姫隊公式 (@ORIHIMETAI) June 9, 2017
でもやっぱり鹿児島の本当の味が食べたいなら
そういった、旅行客用にアレンジした商品でおもてなしされるよりも、せっかく旅行に来たのだから情け容赦無く地元、鹿児島なら鹿児島のネイティブが食べている本物を食べたいというなら、簡単な手段があります。
地元の人が普段の食生活を送るために利用している場所、「スーパーマーケット」に行ってください。
もちろん、イオンやイトーヨーカドーでもいいのですが(ちなみに鹿児島にはイトーヨーカドーはありません)。
タイヨー、サンキュー、ニシムタ、山形屋ストア、グラード、プラッセ、ラークス、クッキー、スーパーハルタ、ライブ、生活協同組合コープかごしま、
九州ならマルキョウ、マルショク、サンリブ、などに売っている、
つけあげ(鹿児島ではさつま揚げを「つけあげ」とも呼びます)3ないし5枚入りパック198円などの商品を買って、しょうゆも何も付けずに食べてください。
それが、本当の鹿児島のさつま揚げの味です。
少なくとも、ネイティブが食べているのはその味です。
この空港のうどん、美味しいんだ〜❤︎
さつま揚げも入ってるの。 pic.twitter.com/hrL1CFtrSV— 城 南海(きずき みなみ) (@kizukiminami) April 2, 2017
かなり甘めで揚げ色も濃い目かもしれません。ご飯のおかずや、焼酎のあてにするなら、そういった味が好まれます。
うどんの透き通ったスープの上に甘めのつけあげを一枚ぽんと乗せると、だしと相まって美味しいですよ。
大学生だったそのとき同じようなことを先生にお伝えしたかったのですが、当時の私はまだこの事実に気付いてすらいない視点の甘い若輩者でしたから、美味しいさつま揚げを食べられる場所すら提案することができませんでした。
ものすごくお世話になったのに、先生ごめんなさい。
しかし、それもずい分前の話です。今では空港や新幹線の駅やその周辺のお土産屋さんで売られているものでも、旅行客用にあえて容赦しない商品もきっと用意しているはずだと思います。
よほど味に好き嫌いがあるわけではないなら、スーパーに売っている安くておかずになる甘いさつま揚げを食べてもいいし、なかなかそこまで足を運ぶ時間もない仕事で訪れた方なら、「地元のスーパーで売ってるようなさつま揚げがいいです」って空港で言ってくれれば、あればそれを出してくれるでしょう。
そして、少しずつそういう商品が多く鹿児島空港の店頭に並ぶようになるはずです。
さつま揚げとしても高級ブランドの商品は多くあって、それはものすごく美味しいです。
ただ、さつま揚げを専業としていない、地元チェーンのスーパーにしか並ばないようなメーカーのさつま揚げが、空港売店のような表舞台に立つこともなく全国の舌に触れることもなく、ひっそりと地元庶民の毎日の食卓を豊かにしているような例が、あるのだろうなと、思っています。
http://www.koj-ab.co.jp/
via:鹿児島空港
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via:Wikipedia