全仏オープンテニスが今年も開幕しました。
ATPランキングを9位に落とした錦織圭ですが、今季もグランドスラム優勝が大いに期待されるところです。
選手のランキングが頻繁に変動することはニュースで報じられていますから、テニスをあまり見ない方でも錦織が5位だったり6位だったり9位だったりすること自体はご存知ではないでしょうか。
では、1位の選手は2位の選手より強いのか、10位の選手は3位の選手に勝てないのか…
もしそうなら、成績を基準に割り出されたポイントに基づくランキングの上位から、今大会の優勝は1位の〇〇選手で準優勝は2位の△△選手にしましょうと決めれば良いわけです。試合などせず。
【現地より】
錦織圭選手、現地午後3時より練習を行いました。元全仏チャンピオンのマイケル・チャンコーチもパリっ子から人気です。https://t.co/IQfAlBCCrT #wowow #tennis #RG17 #錦織圭 pic.twitter.com/y2hYE0sYGR— WOWOWテニス (@wowowtennis) May 27, 2017
すべてのポイントがギリギリの攻防
でも、大会が終わってみればランキング9位の選手が優勝していたり、「ベスト4」に進出した選手が10位だったり5位だったりします。
これは何を意味しているかというと、上位10位以内あるいはさらに下まで対象は拡大すると思われますが、テニス選手の実力の違いは極めて微差であるということです。
最近まで長くATPランキング1位に君臨していたノバク・ジョコビッチが1回戦で負けるニュースを見る機会がたびたびありました。日本期待の錦織圭もトップ10をキープし続けていますが、時には3回戦で敗退することもあります。
錦織の試合はセットにおけるゲームカウントが6-4や6-3など安定していますが、1ゲームの内訳となるポイントの内容は僅差である場合が多いのです。
40-30まで追いつかれながら辛くもキープしたり、0-30から逆転で取ったりするゲームも多くあります。
【全仏OP】今日は錦織圭はモンフィスと練習。練習後にがっちり握手。 pic.twitter.com/O1TrbIJkxp
— スマッシュ編集部 (@smash_monthly) May 28, 2017
勝負は紙一重、雌雄を決する1ポイントの差
ラブゲーム(相手に1ポイントも与えずにストレートで取るゲーム)はそれほど多くありませんし、試合終了後のスタッツ(ポイントに繋がるさまざまなデータ)を見てもそれほど差がないことが分かります。
タイブレーク(セットにおけるゲームが6-6になった場合7ポイント先取の1ゲームでセットを決めるルール)のセットをものにする勝負強さもデータとしてあがっています。
最高4位までランキングを上げた錦織ですが、これまでギリギリの勝負をものにして獲得したランキングなのです。
長い1セットの末あと一息で手に入る勝利が、1球のミスで反対側に転ぶ場面を何度も見てきました。
たった1ポイントで試合の流れはガラリと変わります。流れのなかで変調をきたし、勝てる試合を落とす恐れもあるのです。
https://twitter.com/kotorisho_prtc7/status/868740489884844032
ランキング通りとは限らない勝負の行方
例えば今年初めに開催された全豪オープンでは、第5シードの錦織が第17シードのロジャー・フェデラーにフルセットの末破れました。
フェデラーはその後勝ち進み、この大会で優勝しています。
長いブランクのせいで第17シードではありましたが、かつて長く1位に留まっていたフェデラーは、実力的には錦織に負けず劣らずだったはずです。
フェデラーの場合その知名度から、日本のファンも錦織の敗北を意外なものと捉える向きは少なかったと思います。
しかし、日本人にあまり知られていないランキング下位の若手有望株と対戦して負ければ、メディアはここぞとばかりに「格下に敗北」といった報道をしがちです。そして批判が始まるのです。
スマッシュ速報 : 全仏ドロー発表!錦織はマレー山!結構良いドローじゃね?って4Rでズベか・・・ズベレフか・・・・・・ https://t.co/B5fNnkWhe1 pic.twitter.com/HwCFgNnMIi
— スマッシュ速報 (@tennisblogger80) May 27, 2017
そもそも、格下格上という概念はランキングだけで決められないところがあります。選手同士の実力は僅差であるうえに三つ巴の様相を呈しており、相性もあって2位には勝てるが8位には勝てないということなど頻繁にあります。
今大会の全仏オープンで、錦織は1回戦から全力を尽くし相手の選手に敬意を示してベストのプレーを心がけるでしょう。
どこまで勝ち上がるのか、それは誰にも分かりません。
でもそろそろ、錦織が仮に100位の選手に負けたとしても、「格下に不覚」みたいな報道はやめてほしいのです。
誰もが一夜にしてトロフィーを掲げる可能性は大いにあります。
錦織のコーチであるマイケル・チャンが、当時の4大大会最年少優勝記録である17歳3カ月で全仏オープンを制覇したように。
新鋭の有望株であるほど、ランキングが実力に追いついていない例が多くあります。
錦織がランキングを9位に落としたことは、日本中から集まっている過剰なプレッシャーから少しでも解放されるために良かったのかもしれません。
試合が始まってしまえばランキングは関係ありません。目の前の対戦相手に1人ずつ勝ち続け、決勝戦まですべて勝ち切ることができれば、どの選手でも優勝できるのですから。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/
http://www.nikkei.com/article/DGXLSSXK00482_Y7A520C1000000/
via:日本経済新聞
https://www.thetennisdaily.jp/players/contents/0000499.php
via:THE TENNIS DAILY
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