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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

フリーランスは自由ですか?自由に使い捨てされる在宅の労働力

フリーランスという働き方が、広く行き渡ってきました。翻訳やライター等の場合、パソコンを使った在宅勤務が主な働き方です。フリーランスだから会社に縛られない自由な働き方ができる、という点に魅力を感じる方も多いことでしょう。

フリーランサーにとって、一番問題になる点は報酬です。報酬面で考えた場合、フリーランスとして働くことで、自由はむしろ効かなくなるでしょう。ほとんどのフリーランスの仕事は単価がとてつもなく安いからです。

あるいは、1件の仕事あたりいくら、と決まっている場合、報酬を実働時間で割ると、地方ごとに規定された最低時給にすら届かない例が多くあります。

本当にフリー? 自由という言葉の落とし穴

このような労働形態が労働基準法違反にならない理由は、フリーランスの立場は「請負」に分類されるからです。この「請負」に、最低時給や労働時間の規制などは一切適用されません。

「自由」という言葉の響きに魅了されてフリーランスとしての仕事を始めた方もいるでしょう。しかし、自分の仕事に対する報酬が満足できないものであれば、長く続くものでもありません。

フリーランサーとして十分な報酬を保証されるのは専門性の高い職種に限られます。私は翻訳の仕事をしたことがありますが、フリーランスとしては報酬は高い方だったと思います。それでも、今から10年以上前ですらすでに翻訳という仕事は競争が激しくなっており、難易度の高い納期の短い案件でも翻訳単価は下がっていく傾向にありました。

https://twitter.com/kachihou/status/845045444677947393

フリーランスで働くなら知っておくべきこと

一方、データ入力などパソコンの簡単な操作ができればそれほど専門性が要求されない職種の場合「エクセルシート30枚で数千円」などと決まっており、時給換算すると200円程度にしかならないことがあります。

発注する側が提示する報酬額は、熟練ワーカーが最速で仕上げた場合の最低時給を参考にしているため、慣れない新人の場合、時間ばかりかかって時給単価が最低賃金を大きく下回るというわけです。

フリーランサーは、請負であり、個人事業主ですから、「嫌ならやらなきゃいいじゃん」ということになるわけですが、「雑務を何でも引き受けます」というタイプの働き手の場合、いつまで経っても報酬の単価は頭打ちになってしまうでしょう。

フリーランスとして働くなら、専門性を持つべきです。それができないなら、あまりお勧めできる働き方ではありません。個人事業主ですから、決断はもちろん個人の自由ですけど。

じゃあ、なぜフリーランスで働くの?

私が就いていた在宅勤務のフリーランス産業翻訳の場合、有名なフリーランス登録サイトなどからの仕事ではありませんでした。

専門の翻訳会社や大手のローカライザーに応募し、トライアルという翻訳者登録選考試験に合格して登録して割り振ってもらった仕事でした。

ある程度、実力を把握してもらっていたし、登録契約を結ぶ際に単価の面で交渉の余地があったのです。

どのフリーランサーでも、そういった何らか一つの分野でスペシャリストになり、生活するに十分な単価で働ける自分を夢見て努力を重ねているのだと思います。しかしその実態は、発注元の企業に対する労働力の切り売りにしかなっていないのです。

会社にとって1人の人を雇うことはリスクを伴う大きな投資で、人件費はなるべく抑えたい経費の代表です。フリーランサーなら試しに使ってすぐ切ることもできるし、コストもかなり抑えることができます。

私は、翻訳以外にもフリーランサーとして別の仕事の登録もしていますが、ほとんど受注の希望を出していません。同じことを外に出て勤めて働くと、在宅で稼げる額の2倍、稼げるというのが個人的な実感です。

「フリーランス」という働き方を否定はしませんが、仕事を依頼する側ばかりがあまりにも有利な雇用形態が労働者を経済的に追い詰めています。

子どもさんのいるひとり親家庭などの場合、子どもを置いて外に働きに出る難しさから在宅のフリーランスを選んだ方もいます。

いまさら辞められず、精神的に追い詰められているワーカーもいるでしょう。

厚生労働省などの当局による実態調査と、報酬面における労働者の人権を守るための政策を期待します。それは、いま、政府が進めている「テレワークの普及・推進」にも、必要とされるものだからです。

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3927/1.html

via:クローズアップ現代+

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/18028_02.html

via:総務省

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