はじめにー幼い頃から食べていた「かりんとう」
私は最近、黒砂糖を用いた食べ物について気になっています。黒砂糖を生かしたお菓子で、有名なのはやはり「かりんとう」でしょう。はるか昔から継承される実に食べやすい甘さ、このお菓子ならではの絶妙な噛みごたえは、世代を問わず楽しめる色褪せなさを持っています。
筆者も幼い頃からよく食べて育った「かりんとう」について、この記事を通して詳しく見ていこうと思います。
かりんとうの作り方、その味わいの秘訣
かりんとうは、小麦粉を砂糖・水・イーストや食塩・重曹などと練り合わせて棒状に成形した生地を、植物油で揚げ、蜜を絡めて出来上がるお菓子です。
たとえば同じ揚げ菓子であるドーナツには卵が入っていますが、かりんとうには用いられません。卵には保水性や、加熱すると膨らむ性質があり、これによってドーナツはふんわりとした食感になります。一方、卵を用いず、しっかりと生地を練ったかりんとうは、カリカリとした歯触りの良さへと仕上がります。
どんな風に成り立ち、浸透した?
江戸時代になり、幕府がサトウキビ栽培を奨励して砂糖が国産化されるようになった頃から普及への道が開かれ始めたかりんとう。1875年(明治8年)、浅草仲見世の飯田屋が小麦粉を練って揚げたものに黒糖をまぶした商品を販売して好評となり、下町一帯から日本全国へ広がったとされます。
まだ当時は精製された白砂糖が高価であったため、黒糖が用いられたという経緯があります。現代でも、かりんとうの販売量の6割以上は黒糖を使ったものとなっています。
かりんとうの発展をさらに見ていくと……。
日本国内の中でのかりんとうのあり方を詳細に見ていくと、興味深い事柄が多々あります。
発祥については諸説ありますが、関東のかりんとうは奈良時代に遣唐使が持ち帰った「唐菓子」が起源とされるのに対し、関西のかりんとうは安土桃山時代に箔南蛮菓子として長崎に伝えられたものが、西日本の庶民に広がったとされています。
寒い北海道においては高カロリーな食品が好まれるというのもあり、黒糖などを用いたこっくりとした甘さのかりんとうをはじめ種類が豊富です。一方、関西地方では、細くてあっさりとした味わいのものが親しまれているといい、各地域のかりんとうの味わい方を見ると、その傾向の幅広さに驚きます。
現代においては健康食品としても見直され、かりんとうの専門店も多数存在しています。
宮城県では瓦屋根を模したともいわれる四角い形状で、地元産米粉を使った「岩出山かりんとう」が大崎市岩出山の名産品となっており、大きな一斗缶で販売されるなど、独自の進化を遂げたかりんとうが支持を集めています。
色褪せない魅力の継承。再発見に今後も期待大!
江戸を中心に広がり、伝統を継承するとともに多様なパターンへ派生していった「かりんとう」というお菓子。近年の2007年(平成19年)には東京駅のグランスタに「かりんとう専門店―錦豊林」が出店したことがきっかけで「かりんとうブーム」が起きる、という事例もあり、この頃から「かりんとう饅頭」「かりんとうドーナツ」など、黒糖を用いた菓子類にも「かりんとう」の名を冠して発売する例も見られます。
何年も前に出来上がったお菓子でありながら、今もその洗練された甘さと歯応えの特別さに触れると、いずれまたかりんとう人気の再来が始まるのではないか?とも感じるのです。

