はじめにー特徴的な名前、親しみやすい味わい
これまで多く知ってきた鹿児島県の郷土料理の中で、はじめその名前に聞き慣れない感触を持ったのが「がね」という料理でした。
その実とても親しみやすい味わいを持つこの料理は、同県を代表する名産品であるさつまいもを食材とした郷土料理です。
パターンも豊富!「がね」とはどんな料理?
「がね」は、さつまいもや人参、にらなどの野菜を太めの千切りにし、衣をつけて揚げた料理です。その見た目が蟹(鹿児島弁でがねという)に似ていることから、この名称が定着しました。
衣の粉には小麦粉、お米の粉、もち米の粉、そば粉と、様々な種類が用いられます。かき揚げにも似ていますが、がねのほうが甘味が強かったり、ふわりとした食感が特徴的であったりと、随所に異なる面もあります。
郷土を支える「さつまいも」が活きる
がねは昔から正月料理に加えられたり、焼酎の肴やおやつとしても親しまれたりと、ふるさとの特色ある料理として多くの場面に根付いてきました。
鹿児島県の大部分はシラス台地で水捌けが非常に良く、台風の時期には農作物に被害が及びやすい点があります。ゆえに土壌がやせていても育ちやすく、地中で成長するために台風の被害を受けにくいさつまいもの栽培が盛んになっていきました。そんなさつまいもを活用した新たな料理として「がね」が成り立ったのです。
さつまいもの効能にも素晴らしい真価が!
ここからは、さつまいもという食べ物自体にも注目してみましょう。
さつまいもは栄養価から見ていくと、そのビタミンCはりんごの五倍以上とされ、加熱してもデンプン質によって熱から守られ壊れにくいという長所を持ちます。また、食物繊維はジャガイモの約二倍に及び、腸の働きを活性化させてくれる効能があります。
歴史を遡ると西日本の大飢饉の折、鹿児島で餓死者を出さなかったことから、凶作の年でも収穫の見込める「救荒作物」として重要視されるようになったという経緯があります。太平洋戦争中には、軍事統制下に生じた深刻な食糧難からさつまいも栽培が大いに奨励されました。これまでの混乱した情勢の只中においても、さつまいもは多大な役割を果たしているのです。
現代においても「がね」の魅力は根付く
がねは現代においてもスーパーマーケットや道の駅など、地域に根ざしたお店でよく売られています。身近に手に入る食材で簡単に作れることや、甘くて食べやすく健康面にもプラスに作用するさつまいもを主としたメニューであることが、長きにわたる人気の理由でしょう。
その豊かな遍歴とともに改めて注目したい、素敵な郷土料理です。
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