思い出深い「ふくれ菓子」の魅力
幼少期にもっとも私が慣れ親しんだ郷土菓子として、はじめに回想するのはなんといっても「ふくれ菓子」です。
よく親族同士の集まりなどでも振る舞われ、昔から近隣のお店でも途切れず見かけるこのお菓子。黒糖味のお菓子という珍しさ、その深味を持ったおいしさは幼心に印象深いものでした。今回はこの「ふくれ菓子」について色々な視点から紐解いてみたいと思います。
ふくれ菓子とはどんなお菓子?
ふくれ菓子は褐色の蒸しパン風のお菓子で、小麦粉、重曹、黒糖などを混ぜて蒸した郷土菓子です。鹿児島県や宮崎県といった九州南東部地域で作られており、ふんわりとした食感、わざとらしくない甘味がとても親しみやすいお菓子です。
蒸し上がると二倍以上によく膨れることが由来で、この名称が定着しました。重炭酸ソーダを使うため「ソーダ菓子」という別称もあります。
その起源と成り立ちを追う!
ふくれ菓子は、昭和時代から家庭で子どもたちのおやつとして作られています。
遡って江戸時代、薩摩藩では奄美や琉球からの黒砂糖が重要な財源として扱われ、黒糖の生産が盛んになりました。そして、黒砂糖を用いた郷土菓子のひとつとして誕生したのがふくれ菓子です。
江戸時代後期の記録には、奄美において様々な種類の蒸し菓子が食べられていたことが記されているなど、発祥の時点で生活と身近なお菓子であったことが伺えます。地域で思い思いに作られ、根付いてきたふくれ菓子は、現代では流通の発展にも伴い、食品スーパーなどでも販売されています。
黒糖が持つ効能にも注目したい!
さらに、ふくれ菓子の主である黒糖についても見ていきましょう。
黒糖にはカルシウムや鉄分、カリウムなどのミネラルやビタミンが豊富に含まれており、おいしいものであると同時に、健康への効能も確認されています。
古来より黒糖は長寿食品とされ、2023年には黒砂糖摂取が、がん全体、胃がん、乳がんの発症リスク低下と関連することを示すコホート研究がアジアパシフィックジャーナル誌に掲載されてもいます。健康食品として扱われることも多く、今後も普遍的に重宝され続けること間違いなしの特産品なのです。
今日にも魅力が伝わる、素敵な郷土菓子
食べやすく、馴染みやすく、優しいその味わいとともに、健やかな生活にも一助を担ってくれる面まで兼ね備えたふくれ菓子。
今日においては専門店などもできており、現代においても十二分にその魅力が味わえる、素敵なお菓子となっています。

