大切な愛猫の命、人間の不注意で奪わないために
愛猫家にとってちょっと特別な日、2月22日「猫の日」。日常に癒やしと潤いを与えてくれる猫たちは、大切な家族の一員ですよね。そんな猫たちと暮らす上で気を付けることはたくさんありますが、ここで取り上げるものは”アルコールの摂取”です。コロナ禍以降、手指や身の回りの消毒が習慣となり、消毒用アルコール(エタノール)を使う機会が増えた人も多いのではないでしょうか。実はそのアルコール、猫にはとても危険な猛毒なんです。
ざっくり
猫にアルコールは少量でも絶対にダメ
猫のアルコール摂取が危険な理由は、肝臓でアルコールを分解することができないからです。人間の肝臓内には、アルコールを分解するための酵素がありますが、猫にはその酵素がありません。そのため、少量の摂取でアルコール中毒に陥り、最悪の場合は命を落とすこともあるのです。
消毒目的で吹きかけることはもってのほかですが、手指や服などの消毒や自宅での注射投与の際に消毒綿を使用する場合は、舐めてしまわないよう厳重に注意する必要があります。
アルコールを使った料理もダメ
アルコールの含まれたものは、調理された食品でも注意が必要です。調理の過程でお酒が使用されている料理や食品も危険なため、わからないものは与えない方がいいでしょう。人間用の食品は塩分が高いものも多いので、猫の健康を保つためには猫用のものを与えることが一番です。
中毒症状を引き起こす恐れのあるもの
- アルコール(エタノール)消毒液
- アルコールを使用した料理、食品(料理酒、ワイン、日本酒など)
- アルコール飲料(特に濃度の高いウィスキー、焼酎は要注意)
- 未成熟のパン生地(お腹の中で膨らみ消化管の閉塞や胃拡張、腸管のねじれが起きる)
- アルコールタイプのウェットティッシュ(ウェットシート)
猫のそばで使用しない
スプレーやウェットシートなど消毒や清掃でアルコール類を含むものを使用する際は、猫がそばにいないか、風で流れないかなど、猫に触れないようしっかり確認してから使いましょう。
アルコール中毒の症状
猫の体はとても小さく、アルコールを吸収するスピードも速いため、少量の摂取でも酩酊状態となってしまいます。血液によって全身を巡り呼吸器、心臓、肝臓、腎臓などに甚大な悪影響を及ぼします。直接舐めてしまった場合は、よだれがどんどん垂れてきたり、酔っ払ったようにふらつくといった症状が見られます。粘膜に触れてしまうと痛みを感じたり、目が充血することも。重症化してしまうと昏睡状態となり死に至ることもあります。
主な症状
- 嘔吐、下痢
- 目の充血
- よだれがたくさん垂れてくる
- 呼吸困難
- ふらつき(酩酊状態)
- 虚脱状態(心臓が弱り体力、気力がなくなる)
- 低体温
- 昏睡状態
- 呼吸停止
- 心停止
すぐに動物病院に連絡を
アルコールに猫が近付かないよう届かない場所にしまっておくと安心ですが、アルコールを舐めた、誤飲してしまった場合は、すぐに動物病院に連絡し医師の指示を仰いでください。その際、現在の症状や様子と併せてアルコールの名前や種類、度数、摂取した量や時間など、わかっている情報を伝えることで正確な対処方法の指示につながります。
小さな命を守れるのは人間だけ
人間と同様、緊急時に相談できるかかりつけの動物病院をつくっておくことは、猫の命を守る上でとても大切です。猫は苦しくても言葉で表現できないし、弱っていても隠そうとする習性があります。異変に早く気付き治療ができれば軽症で済む可能性は充分あります。普段の様子をよく観察しておくと、いつもと違う場所で横たわっている、食欲がない、水ばかり飲んでいるなど、ちょっとした異変にも気付きやすくなります。
猫にとって危険なものは意外と身の回りにあり、好奇心の強い猫は匂いを嗅いだり口に入れたりしかねません。全てを取り除くことは難しいですが、人間の不注意で命を奪うことがないよう、小さな命を守るためにできることを考えながらともに暮らしていきたいものです。
故意に与えることは虐待であり犯罪
興味本位で猫にアルコールを舐めさせて傷付けることは虐待であり、動物愛護管理法(動物愛護法)に反する犯罪です。絶対にやってはいけません。