フィンランド語の指示代名詞
フィンランド語の指示代名詞は基本的に三つあり、それぞれ単数と複数に分かれています。これらは人間以外の生物や無生物に対して使われます。
ここではフィンランド語の指示代名詞を見ていきます。
指示代名詞
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- tämä
「これ」を表します。単数形です。
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- tuo
「あれ」にあたります。単数形です。
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- se
「それ」という意味です。単数形です。
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- nämä
「これら」です。複数形です。
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- nuo
「あれら」です。複数形です。
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- ne
「それら」です。複数形です。
tuoとse、nuoとneの違い
tuoとse、nuoとneには細かな違いがあります。
tuoとnuoは、聞き手からも話し手からも離れているものを指します。視覚的に見えているものや遠くにあるものを指し、物理的な距離を強調するために使います。
Tuo on kaukana あれは遠くにあります
一方seとneは、文脈上すでに話題に上がったものに関して使われます。距離より話題の共有が重視される表現で、主語としても使われます。
se kirja その話題に出ている本
Se on hyvä それは良い
三つの指示代名詞が表す違い
「これ」を意味するtämäは、「話し手に近いもの」だけではなく、心理的に重要であったり、親しさを感じさせるものにも使われます。
たとえば「Tämä kirja」「この本」は「目の前にあって手に取れるこの本」だけでなく、「今読んでいる大事な本」という意味にもなり得ます。
一方「あれ」を表すtuoは遠いものだけでなく、話し手から心理的に距離を感じるものに使います。
たとえば「Tuo kirja」は「遠くにあるあの本」にも、「そこにあるけど興味が薄い本」という意味にもなります。
seは既に話題に出た既知のものを指します。
話題に出ているかどうかが重要で、視覚的な位置とは無関係に使われます。
曖昧な主語としてのse
フィンランド語では、特定されていない主語や文全体を表すものとしてseがよく使われます。
Se sataa 雨が降っている:天候を指すためにseが使われています。
Se on vaikeaa それは難しい:状況を表すseの表現です。
英語ではそれぞれ「It is raining」、「It is difficult」と表現されるので、理解の補助になると思います。
参考
ニューエクスプレスフィンランド語(白水社)
Finnish grammar(Wikipedia英語版)