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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

若く見える/見えない問題

あられもない祈り

若く見えるね、は褒め言葉?

昔転職した初日、女性社員に「くまさんていくつなの」と聞かれた。私が25歳ですと答えると、その人は大層びっくりして、「え! 若い。23歳くらいかと思った」と言った。

28歳の時、新入社員の女の子に年齢を聞かれ答えたら、「え! 若い。26歳くらいかと思ってました」と言われた。なにか違和感を覚えた。

その1年後、新しく入ってきた女の子に年齢を聞かれた。29歳ですと答えたら、女の子は「信じられない」という顔をして、「まったく、見えませんね。27歳くらいかと思いました」と言われた。なんだかもやっとした。

そしてさらに翌年、知り合って間もない女の子と食事をしていたときに年齢を聞かれた。私は三十路だと答えた。

女の子は「この世の終わりだわ」という驚愕の表情を浮かべ、「すっごく若いですね!28歳かと思いました!」と瞳孔を見開いて言った。

きっと彼女たちは褒め言葉として言ってくれたのだろうし、(個人的には年齢相応より年上に見られたくあるのだけれど)若くみられること自体は悪い気はしない。ただ、

彼女たちの驚きようと、「2歳」というのが繋がらない。

30歳の人が24歳くらいに見えてびっくり、ならわかる。でもたったの「2歳」って、言葉を失うほどの衝撃を与えるものなのだろうか。

でも事実そうだったのだからしょうがない。そして、若く見られたからといってその女の子たちと恋仲になれたわけではないのもしょうがない。

美醜への感度

それとは別に、私は結構な年齢になったあとも「学生さん?」と聞かれることが多かった。これに関しては持論があって、他人の美醜にさして関心がない人にとっては服装や雰囲気で二十歳も三十路もさして変わらなく見えるのだろうと思っている。

ただ、流石に30代になって2,3年経ってからは「学生さんですか?」言われることが極端に減った。しかし先日、美容室に行ったときに久しぶりに「学生さんですか?」と聞かれた。マスク効果があるにせよ30代中盤だともはや無理があるだろう。

この歳になると、若く見られる=未熟・幼いという風に邪推してしまうので嬉しくはないのだけれど、「学生さん?」と言われるのは人生で最後だろうなと思った。

まぁとにかく私は、“まだ過去形で語られる前の美貌を留めている”らしい。と、さらっと先日読んだ小説『あられもない祈り』で響いた言葉を引用する。美しい言葉がたくさん出てくるから、ストーリーを抜きにしてもおすすめだ。恋愛ものです。

それと、今回のエッセイは「私はまだ若々しさをぎりぎり保ってますよ」というアピールを、いやらしさを出して書いただけのものだ。

若い=モテる、の思考回路じゃあ昨今ではなおモテないのにな。でも祈ってしまうのだよな。あられもなく。

このエッセイの着想を得た本

『あられもない祈り』島本理生/著

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